ビルを殴ってコースを破壊、飛んでるボールに体当たり。巨大ロボたちの“ゴルフ”バトルゲーム『100ft Robot Golf』で決めろ必殺スーパーショット!

Steam,アクション

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そろそろアニメの放送クールが切り替わるシーズンだ。気に入っていた作品の最終回に涙し、新しい作品に期待を寄せる。アニメファンの皆さんは今、さぞかしそわそわされていることだろう。さて、今回はそんなアニメへの愛が詰まったゲーム『100ft Robot Golf』を紹介しよう。

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『100ft Robot Golf』はアメリカ、シアトルに拠点を置くインディゲームディベロッパーNo Goblinが開発した作品だ。このゲームが発表されたのは2015年のPlayStation Experience。PS4は発売よりインディゲームの配信に力を入れており、本作もそうした作品の一つとして大舞台で発表された。

No Goblinは、海外ゲームメディアのEurogamer.netなどで評価された『Roundabout』の開発として知られており、あの有力なディベロッパーの新作がPS4で!と世界に発表されたのである。筆者の私もこれはすごいぞと当時興奮していた。

だが、悲しいかな。そこはインディゲームである。世界に向けて情報が発信されようとも、ローカライズされるとは限らない。本作は2016年10月にPSStoreで発売されたが、日本向けのローカライズはなされず日本のPS Storeでは配信されなかった。非常に残念なことではあるが、仕方のないことだ。本作に注目していた日本のファンは、正規の方法で遊ぶ方法はないと半ばあきらめていたのである。

だが、そんな暗闇に突然光明が差した。Steam版が配信されたのである。これに日本のファンは沸いた。ついに!ついに『100ft Robot Golf』が遊べるぞ!

ただ、PS4版の売りのひとつであったPSVRモードは、HTC ViveやOculusに対応せずオミットされた。VRゲームとして本作に期待していた人は、PS4版の日本ストアでの発売を待ってほしい。

スイング&デストロイ!バーディーチャンスは自ら作れ!

本作は『100ft Robot Golf』のタイトル通り、100フィートの巨大ロボを操作するゲームだ。プレーヤーは多種多様なロボに操り、アツいバトルへと身を投じる。

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だが、このゲームのバトルとは格闘戦のことではない。そう、ゴルフだ。このゲームは巨大ロボを操り、ボールをカップめがけてショットする紳士のスポーツ「ロボットゴルフ」で勝利を目指す巨大ロボバトルゴルフゲームなのだ。

このゲームは1人プレイだけでなく、4人までのローカル対戦とインターネットマルチプレイに対応しており、いつでもお友だちとロボットゴルフで雌雄を決することができる。

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ではロボットゴルフとはいかなるスポーツなのか?

その基本となるゴルフ部分は一般的なゴルフゲームとそう変わらない。風や勾配を考慮してショットする場所を決め、ボールの打点を調整し回転をかけ、ゲージを狙ったところで止めてショットする。巨大ロボに乗ってはいるが、意外なほどまっとうにゴルフゲームをしている。

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しかし、このゲームでボールを打つのはロボだ。そのためショットの成否を左右するゲージのシステムがロボによって変わってくる。一般的なゴルフゲームと同じタイプ、2人のパイロットが息を合わせるタイプ、ロボとのシンクロ率をゲージで図るタイプ、コントローラーの左右トリガーでアクセルを踏んでパワーを調整するタイプなどいくつかのショットシステムが搭載されている。

難しく見えるが、どのシステムでも飛ばしたい場所を指定すればゲージをどこで止めればよいかロボが計算してくれるようになっている。慣れればどのロボでもかなり正確なスイングが行えるだろう。

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だが、ロボットゴルフはコース上にビルや橋などの建造物があるのが常である。巨大ロボ用の専用コースなんて巨大な平地があれば、人間が住んでしまうのはしかたがない。だが、これらの建造物は我々ロボットゴルファーにとって障害物となる。これではいくら正確なスイングができたとしても、カップインなどできはしない。どうすればいいのだろう?

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……お前は何に乗っている。その巨大ロボの屈強な腕で、ビルを破壊してしまえ!

クラブはボールを打つだけでなく、剣のように振り回すことができる。邪魔なビルは殴って破壊し、バーディーへの道を切り開くのだ。住人の安否なんて細かいことを気にしているようではロボットゴルフでいい成績を残せない。

ゴルフコースは大混雑!敵を蹴散らし勝利を掴め!

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さて、巨大ロボでゴルフをするということがどういうことか分かったところで、ロボットゴルフという競技のルールにも注目しよう。

最も特筆すべきルールは、パッティングを順番に行うわけではなく、全員でそろってスタートし、全員でボールを追いかけコース上を歩き回るところだ。普通のゴルフは、他人の邪魔にならないようパッティングを順番に行うわけだが、そういう気づかいはロボットゴルフにはない。

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ただでさえ巨大なロボが4体もコース上を歩き、各々が好き勝手にクラブを振り回すわけである。となれば、打ったボールが他のロボに当たってしまうのはもはや必然である。ロボットゴルフではロボのボディは飛んでいる鳥と同じだ。当たっててコースが変わってしまっても、打ち直しにはならない。

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ならばと気づいた方もいるだろう。そう。飛んでいるボールに体当たりすれば、敵のボールのコースを変えることができてしまう。他にも、コース上にビルの残骸をばらまいて邪魔するなんてことも許されてしまう。おお、巨大ロボに乗っているのになんとせこい妨害作戦か。

しかし、競技がゴルフである以上この妨害は致命的だ。なんとしても妨害されることは避けねばならない。ならば、相手よりもコースを早く回ることが重要になる。相手よりも前にいれば妨害は受けにくいし、逆に妨害をする余裕も生まれる。だが全員一斉にスタートし、なおかつ正確なショットを打てるロボットゴルフにおいて、相手よりも一手二手先に進むのは難しいのではないか。

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……だからお前は何に乗っている。ロボバトルで相手を叩きのめせ!

このゲームのロボはどれも頑丈で破壊することはできないが、強い衝撃を与えることで吹き飛ばすことができる。敵ロボを吹き飛ばしてボールから引き離すことができれば、敵のショットは遅れ、自分が先にショットを打つことができるというわけだ。だが注意してほしい。スイング体制に入っているロボに攻撃は効かない。むしろ相手のスイングの衝撃で逆に吹き飛ばされてしまう。あくまでロボットゴルフは紳士のスポーツ。相手のスイングまで妨害するのはマナー違反ということだろうか。……マナーとは一体。

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一般的なゴルフはショット数を競うものだが、このゲームではショット数ではなくカップインまでの早さで順位を争う独自のルールが基本となっている。もちろんショット数を競うモードもあるが、早く回らなければやはり妨害の餌食になってしまう。このゲームにおいてコースを回る早さこそが全てだ。

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いかに敵より早くコースを回り、有利なポジションにつくか。自分だけでなく、敵もそれを考え、妨害を仕掛けてくるのはわかっている。ならばこの泥沼の戦いをいかに制するか?ここで重要になるのが各ロボの特性だ。

ロボには武器と必殺ボールがそれぞれ搭載されている。武器は遠隔から建造物を破壊できるバルカン砲、一気に整地と妨害を行える爆撃、迫る敵を吹き飛ばす光り輝く剣などがあり、これらはクールダウンさえ終われば何度も使えるので主力兵器として活躍する。必殺ボールはショットするたびに少しづつ貯まるエネルギーが100%になると発動できる。カップに自動で近づいていくマグネティックボールや、ボールに近づいた敵ロボが一定時間踊ってしまうパーティボールなど強力な能力を備えている。

これらと先述したショットシステムの差で、各ロボに特徴が生まれている。ボールコントロール重視のテクニカルロボ、妨害が得意な爆撃ロボ、すばやい移動で差をつけるスピードタイプ、ゴルフゲームとしては破格の性能だが格闘に弱いロボなど、それぞれに一長一短がある。自分の操作するロボと敵ロボの特性を理解することで、勝利への戦略が見えてくるわけだ。なかなか奥が深い。

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だが、実際プレイするとわかることだが、勝利を考えない荒らしプレイが簡単にできてしまうし、ゲームバランスが取れていない部分も大きい。強いロボはとことん強いので、競技性が担保されているようなゲームでは決してない。それこそ紳士協定を結んだ間柄でないと不快な思いをしてしまうかもしれない。競技として盛り上がるというよりは、パーティゲームとしてみんなでワイワイ楽しむゲームという印象だ。

しかし、そういったバランスの悪さを差し置いてもロボバトルとゴルフというアンバランスな組み合わせと、そこからくるドタバタのゲームプレイは他のゲームにはない魅力がある。ぜひ『100ft Robot Golf』でお友だちと対戦し、紳士のスポーツから離れに離れたロボットゴルフを体験してほしい。

ロボット作品への愛とユーモアでいっぱい

対戦ゲームとしての『100ft Robot Golf』の魅力を紹介したが、では本作は一緒に遊べるお友だちがいないと遊べないゲームなのか?そんなことはない。このゲームには1人プレイ用のキャンペーンモードがあり、これがロボアニメとその流れにあるロボット作品へのリスペクトに溢れた素晴らしいものなのだ。

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まず目を引くのがストーリーに登場するパイロットたちのキャラクターデザインである。80~90年代の日本アニメを意識したキャラクターデザインは非常に濃い。まさか2010年代後半にさしかかろうという今になって、この濃いキャラデザと出会えるとは思わなかった。

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加えてロボデザインにもぜひ注目したい。いわゆるロボアニメらしいデザインや、生物的なラインを持つバイオロボ、原色5色で構成されたいかにも合体してそうなロボまで、様々なデザインのロボが並ぶ。これらも長く続くロボット作品の文脈から抽出されたものであろうことは容易に想像がつく。

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もちろんリスペクトは見た目だけにとどまらない。ストーリーはパロディの連続だ。ニヤリと笑えるユーモラスな展開が待っている。残念ながら日本語ローカライズはSteam版でもされていないが、英語でもロボット作品好きならすぐにそれとわかる展開ばかりなので、問題なく楽しむことができるだろう。

ロボットゴルフの陰に潜む計画。交錯するパイロットたちの運命。謎のインフィニティボールの存在。そして物語は月面ロボットゴルフトーナメントへと収束する。キャンペーンの最後にパイロットたちを待ち受けるものとは?ぜひあなたの手で確かめよう。

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ただ、英語がわかればなお面白いゲームなのは事実。というのも、このゲームはプレイ中常に実況と解説がつくのだ。キャンペーンだけでなく、マルチプレイのようなストーリーのないゲームであっても実況してくれる。ゴルフ中継の雰囲気をよく出ており、様々なシチュエーションに対応したパターンが数多く用意されている。ゲームのユーモラスな雰囲気を支える大事な要素なだけに、日本語がないのが非常に惜しい。

英語だと避けず、ぜひ遊んでほしい作品

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日本語ローカライズがされず、長らく日本から正規に購入ができなかった『100ft Robot Golf』。やっと日本から遊べるようになったとはいえ、言語の壁は高く避けてしてしまう人も多いかもしれない。だが、本作はロボットアニメとそれに続く文化への愛とリスペクトで満ちている。ならばたとえ言葉がわからなくとも、ロボット文化に浸って育った日本人ならこの作品を楽しめるはずだ。

やっと海を越えて届いたロボットアニメへのラブコール。遊ばないのはもったいない。ぜひハチャメチャなゲームプレイと、愛に溢れるパロディを楽しんでほしい。

[作品情報]
タイトル 『100ft Robot Golf』
制作者 No Goblin(制作者様サイトはこちら)
対応OS 64-bit version of Windows 7 with SP1 or later, Windows 8, or Windows 10
プレイ時間 1マッチ15~20分程度、キャンペーンクリアまで4~5時間程度
価格 1,980円

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  • 洋ナシ(@younasi

    海外インディゲームの情報同人誌を作っているただのオタクですが、声をかけられゲーム記事を書くことになりました。人生何があるかわかりませんね。そういうことがあるのは、もっとこう絵がうまかったりマンガが面白かったりする人だけだと思ってました。他の執筆者の方のように輝かしい実績はありませんが、世界で初めてSurgeon Simulatorでペン回しに成功したという地味な実績があります。

    ブログ:http://tukedai.minibird.jp/blog/