フリーシナリオRPG『Time Flow』。あなたが選び取る物語と、名作から受け継がれた冒険の楽しさ

フリーゲームの特徴のひとつとして、コンシューマーゲームのファンが2次創作のゲームや精神的続編を作ることがあります。シリーズ続編がなかなか出ないことをきっかけに、自分達で作り上げてしまおうという動きは、国内外問わず大きく広がっています。日本だと有名RPG「サガシリーズ」はその傾向が特に強く、多くのフリゲ作者が大なり小なりその影響を公言しています。

さて、今回ご紹介するのはフリーゲームRPG『Time Flow』です。制作者はAT氏で、今年9月に発表されました。本作は骨太の大作RPGであると同時に、サガシリーズのオマージュを強く打ち出しています。決められた物語に縛られず自由に冒険できる「フリーシナリオ」や、戦闘中に突然技を覚える「閃き」など、サガシリーズの特徴的なシステムを継承しています。もちろんただリスペクト先を真似たものではなく、精霊の謎を追ってゆく物語や、フリーシナリオ初心者向けへの配慮、シナリオ進行速度を自由に選べる難易度設定など、このゲーム独自の魅力も備えています。

自らの選択で物語を綴ってゆく「フリーシナリオ」の楽しさ

そもそも、「フリーシナリオって何?」と思う方もいるでしょう。フリーシナリオとは、RPGにおいてプレイヤーの行動次第で物語の展開や順序が大きく変わってゆくものを指します。例えば複数用意された主人公のうち誰を選んだか、誰を仲間にしたのか、どこヘ行ってどんなイベントを進めたのか、イベントの最中どんな選択肢をしたかによって物語は変化します。決められた順序のない自由な冒険に、多くのRPGファンが心を鷲掴みにされました。

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『Time Flow』では主人公を4人のキャラクターの中から選ぶ。キャラクターによって能力の成長率やパートナーが変わる

『Time Flow』の舞台は火・水・風・土の精霊を信仰している世界「エスティカの大地」。「精霊祭」が行われる精霊の村に集まった主人公達は、謎の爆発事故に巻き込まれてしまいます。村が消滅した理由を探るため冒険へと旅立ちますが、出発地点以降は次の目的地が指示されません。各地には様々なシナリオが用意されていますが、それを進めても進めなくてもかまいません。手近な街の依頼から進めてもいいし、大陸をどんどん渡って果てを目指してもいいのです。目的地だけでなく、どんなキャラクターでパーティを組むかもプレイヤー次第。迷いながら自分で選ぶ楽しさがフリーシナリオの醍醐味なのです。

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仲間や町の住民達のエピソード、進むにつれ悪事が明らかになる黒幕、精霊に秘められた謎。多彩なシナリオを自分の手で選び取れる

本作ではダンジョンにいる敵との戦闘を繰り返し続けると、より強い敵が出現するようになります。それと同時にシナリオの進行度が1つ分増え、各地に出現するシナリオが増えていきます。こちらは『ロマンシング・サガ』シリーズで使われる方式に近いですが、このゲームでは具体的な数字で進行状況が表されているので、より計画的に進めることが可能です。いくつかの急ぎの依頼はやがて消滅することがありますが、シナリオ進行度で4つ分以上の余裕があるので、ペースを考えながら進めると良いでしょう。

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戦闘はシンボルエンカウント式。厳しい場面で敵を避けたり、戦闘中逃げたりも出来る

ピコーン!「閃き」「連携」「陣形」「ドライブ」が戦闘を熱くする!

『Time Flow』の戦闘も、サガシリーズの良い部分を受け継いでいます。ターン制の戦闘を採用し、ステータスの素早さの早い順から行動していきます。キャラクターは剣や槍など武器種別ごとの技や得意な術を使って戦いますが、使い続ける内に派生した新たな技をランダムで「閃く」事があります。強い敵と戦えば戦うほどより強力な技を覚える可能性が上がるので、進んで強敵に挑むメリットがあります。ちなみに本作のボスは総じて強めです。キャラの成長を待たずして挑んだプレイヤーは、簡単に返り討ちにされるかもしれません。

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ピンチの時ほど閃く確率が上がる。敵に追い詰められたときに閃いた技で勝った時には、最高の気持ちよさがある

「閃き」だけでなく、敵の攻撃を回避する「見切り」を習得することもあります。見切りは相手の技ごとに習得するので、上手く使えば強敵でも有利に立ち回ることが出来るでしょう。

また、技や術を連続で使うことで「連携」が発生することがあります。攻撃がどんどん繋がって威力が増し、敵に大ダメージを与えることが可能です。キャラクターたちがどんどん連携していく様は、見ていて爽快です。

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強敵を打ち破るには連携が不可欠。最大5人まで連携可能

戦闘を繰り返す内に習得するのは技や術だけではありません。習得した「陣形」次第では、パーティの能力を強化したり、敵から狙われ易い仲間を変えることも出来ます。武器や術を使い込むと覚える「ドライブ」は敵の攻撃を受けるとゲージが溜まり、強力な攻撃技や補助技を使うことが出来ます。ここぞという時の切り札にオススメです。

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戦闘中のパーティの隊列を設定する「陣形」による恩恵は大きい。ただし戦闘不能者が出ると効果がなくなってしまう

戦闘が終了すると、キャラクターはステータスごとに成長してゆきます。どのステータスが育つかはランダムですが、こちらも強敵に挑むほどより大きく成長してゆくのが特徴です。また、HPは戦闘ごとに全回復します。

遊びやすい配慮とプレイヤーに合わせた進行速度

フリーシナリオを始めとした、『Time Flow』に採用されたシステムは一見初心者には取っ付きにくいように感じるかもしれません。しかしゲームのレクチャーをしてくれる「初心者の館」が出発地点からすぐ近くの町にあるので、分からないことがあればじっくり学ぶことが出来ます。また、一度始まったシナリオは一覧としてリストアップされ、手に入れた技能・アイテム・装備・遭遇した敵は図鑑に記載されてゆきます。メニューを開けばいつでも繰り返し確認できるので、冒険を快適にサポートしてくれます。

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敵はステータスまで表記される。リストを埋める楽しみもある

遊びやすさに関わるもう一つの大きな特徴は、バージョンアップ後に追加されたシナリオ進行速度の変更です。ゲーム開始時に「Slow」「Normal」「Fast」「TimeFlow」の中から時が流れる速度を選択することで、ゲームのテンポや難易度が大幅に変わります。「Slow」は基本的にシナリオが進むための戦闘回数に余裕があり、出来ることからしっかりやってゆけば慣れない人でも先に進むことが出来ます。それより早い「Normal」や「Fast」になると敵が強くなる速度が上がり、ひとつひとつの戦闘に手応えが出てきます。その分「閃き」や成長のペースもぐっと上がるので、短い時間で濃厚な体験が可能です。ゲームでは「Fast」は2週目以降を推奨していますが、フリーシナリオを得意とするプレイヤーにもオススメできます。さらに「TimeFlow」にすると・・・ここから先はぜひ自分の手で挑戦してみてください。

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4段階の難易度。自分の実力に合わせて選択できる

さぁ、誰にも縛られない冒険を始めよう

他にも、マップに隠された場所やアイテムを発見する「マップスキル」や、手に入れた素材から強力な装備を作る「鍛冶」などの遊びも用意されています。上手く使いこなせば、冒険が更に楽しくなります。

かつて多くのファンが熱中したコンシューマのRPG。その流れはただのブームで終わらず、インディーズやフリーゲームの作者の強い熱意によってその魅力が受け継がれています。しかしそれだけではありません。『Time Flow』の場合、リリース後に多くのファンがゲームを良くする意見を出し合い、バージョンアップごとに大幅な改良がされてきました。かつてRPGに感銘を受けたファンひとりひとりの思いが、このゲームには詰まっています。

奇しくも本作がリリースされた同月に、サガシリーズの新作タイトルが正式発表されました。これを機に、多くの人が自由な冒険に挑んで頂きたいです。最初は世界に投げ出されたような戸惑いもあるかもしれませんが、その先に自分にしか描けない物語が待っています。

[基本情報]
タイトル『Time Flow』
制作者 AT(制作者様サイトはこちら
クリア時間 30時間ほど
対応OS Windows XP/Vista/7/8
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/10030
(※本作のver1.15以前に、難易度選択に関して大きな不具合が発見されたため、既にDL済み場合はver1.16以上を再ダウンロードし、ダウンロード後のファイルに含まれる「リリースノート」のver1.16の項を参照することを推奨します)

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    ノンジャンル人生(@nongenre_zinsei

    普段からRPGの考察と『メイジの転生録』の話ばかりしている人です。去年もぐらゲームスにて連載「フリーゲームをはじめよう。」を書かせて頂きました。今年も積みゲーとの格闘をしています。自身もRPGを制作しており、現在WEBサイト等を準備予定です。