作者に牛丼が奢れるだけじゃないスマホRPG『ワーズ・アンド・マジック』の優れたゲームデザイン

今回は、スマートフォンで遊べるハック&スラッシュRPG『ワーズ・アンド・マジック』を紹介する。ハック&スラッシュ(以下、ハクスラ)とは「次々と敵を倒し、レアアイテムを入手してキャラを強化。そしてさらに強い敵を倒していく…」ということを繰り返す、RPGにおける「戦闘とアイテム収集」の面白さに重点を置いたジャンルだ。
今回紹介するこのゲームは「作者に牛丼をおごるボタン」という、ゲーム内課金と作者の生活感を繋ぎ合わせたシステムが話題となった作品で、SNSやニュースサイトなどを中心に続々と取り上げられている。

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画像下部の「作者に牛丼をおごるボタン」とは、要するに「100円を支払うことでゲーム内広告を取り除く」ことができる要素なのだが、そのユーモラスなネーミングセンスと、製作者の顔が見える切実なメッセージ性が好意的に受け取られた。

本作は、この特徴的な要素で話題となっている。しかし、それだけでなくゲーム内容としても、絶え間ない連続攻撃を繰り出す感覚のタイピングバトル、そして次々と敵を倒し、キャラクターを強化、レアアイテムを入手する…というハクスラの根源的な快感が、非常にバランス良くまとまったゲームデザインとなっていることにも注目したい。さっそく紹介していこう。

本作の肝となる「クエスト」と「タイピングバトル」

このゲームでは、オープニング画面からゲームを開始すると、まずチュートリアルが流れる。それに従ってまずゲームの進行に必要な「冒険者」を雇おう。冒険者には前衛・後衛の2タイプがあり、前衛タイプである「戦士」、後衛である「魔法使い」、そして同じく後衛の弓・銃使い「スカウト」の3タイプが存在する。これらの中から好きなタイプを組み合わせ、最大6人のパーティーを組むのだ。なお、一度読み終わったチュートリアルは、いつでも見直すことができるので、困ったときには参照しよう。

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冒険者を雇う画面。チュートリアルではまず2人ほど雇うことを勧められる。最初は前衛である「戦士」を1人は入れておいたほうが無難だ。

また、冒険者は武器や防具である「アイテム」の装備と、特殊技能である「スキル」の設定を行うことが出来る。アイテムは、後述する「クエスト」にて宝箱を入手したときや、ショップで購入することの出来る武器・防具を装備することができる。ゲームを始めたばかりではスキルはまだ設定できないため、冒険者を雇い終わったら早速クエストに向かおう。

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クエストの選択画面。物語を想像させるテキストに味がある。

クエストの進行は基本的に、表示されるメッセージをタップして進めていく。クエストを進めていくごとに「進行度」が上昇し、これが50、100になると現れるボスをそれぞれ撃破すると、クエスト達成となる。またクエストを進めていくうちに、様々なイベントも発生する。

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クエストの最後に待ち受ける強大なボスを倒すことが目的だ。

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イベントは、お金を拾う、生命の泉を見つけてHP回復、宝箱を発見する、道に迷ってしまいクエストの進行値が下がる…などバリエーション豊かなものとなっている。

そして、敵と遭遇した際には、本作の肝である「戦闘」が発生する。こちらはタイピングで戦う特徴的なバトルシステムとなっている。
バトルシステムの基本としては、画面に表示される単語をプレイヤーが打ち込むたびに、冒険者が行動を行う、といったものとなっている。敵の行動については、タイピング文字の表示されるボックスの上にあるタイムラインに沿って、アイコンが左から右に流れていき、右端に到達すると攻撃を行うことになっている。

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クエストで発生する戦闘画面。画像中央、タイピング文字の上部にある細い線の上に、敵のアイコンが表示されている。これが画像右端の剣のアイコンまでたどり着くと、攻撃などの行動を行う。

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敵と遭遇した場合「戦う」か「逃げる」か選ぶことができる。逃げることに失敗した場合も特にデメリットはないため、余裕がないときは積極的に敵から逃げていこう。

この戦闘が本作の特徴的なシステムとなっていて、単語を打ち終えて冒険者が行動している間は、敵の動きが少しだけ止まる。そのため、現れる単語を絶え間なく次々と入力することで、相手の攻撃を許さず、まさに絶え間ない連続攻撃を繰り出す感覚が味わえる
また、単語入力に成功することで画面右端の「コンボゲージ」もたまり、これがMAXになると、冒険者全員による総攻撃である「コンボアタック」が実行される。コンボアタックは一気に大ダメージを与えられるため、強力なボス敵との戦闘や、闘っている敵の数が多いときに非常に有効だ。

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タイピングを成功させ、画面右のコンボゲージが貯まると一斉攻撃を行う。タイピングで入力する文字数は、後半のクエストになるにつれ長くなっていくが、一度に入力した文字数が多いほど、その結果行動する冒険者の人数も増えていく、という形でバランスが保たれている。

本作では、こういったタイピングバトルを繰り返してクエストの達成を目指していく。なお、一度達成したクエストは、タイピング形式ではない「オートバトル」も選択することが出来る。
オートバトルは、戦闘がタイピング形式ではなくなり、冒険者のアイコンが敵と同じようにタイムライン上に設定される。そしてアイコンが右端に到達すると行動を行う、という完全な自動戦闘形式になっている。オートバトルでは、タイピングのかわりに画面に現れる計算問題を解くことで、コンボゲージを貯めることが出来る。

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冒険者たちが自動で戦うオートバトル。タイピングのかわりとなる計算問題は解かなくてもデメリットは無いが、解くことでコンボゲージがたまっていく。

このオートバトルの存在により、一度クリアしたクエストを手軽に再プレイできる。そのためアイテム・経験値・お金を簡単、かつ効率的に稼ぐことが出来るのだ。

本作を楽しむための攻略のポイントを紹介!

ここからは『ワーズ・アンド・マジック』をさらに楽しむためのワンポイント攻略を紹介しよう。本作は、最大6人の冒険者で構成されるパーティのバランスを考え、次に貴重な武器や防具などのアイテムを集め、そしてスキルを組み合わせていく…。このようにして、強い冒険者のグループを編成していくことが特に重要となる。
まずは、バランスについて。本作を一通りクリアした筆者のプレイ感覚としては、編成に迷ったら3つのクラスからそれぞれ2人、計6人の構成で組んでみると、ある程度バランスが取れるはずだ。

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冒険者は予備メンバーを含めると全12人まで雇えるので、とりあえず色々な組み方を試すのも手だ。前衛に戦士を3人集中させてみると、戦闘面の安定性はたしかなものとなる。

また、アイテムに関しては、クエスト中に手に入る宝箱のうち、「金の宝箱」には強いアイテムが入っている。既にクリアしたあとクエストでオートバトルを繰り返し、金の宝箱を手に入れてアイテムの充実を目指そう。

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宝箱を集めてレアな武具で冒険者の装備を固めれば、向かうところ敵なし!

スキルについては、様々な効果を持つスキルがあり、その組み合わせによって冒険者の特徴は変化する。そのため、攻撃一点特化、防御一点特化などというように、役割ごとに冒険者を分けることも有効だ。たとえば、前衛にファイターが2人いる場合、1人には、防御力の高い装備、そして味方のダメージを代わりに受ける「カバー」のスキルなど防御系のスキルで固める。もう一人は逆に攻撃力特化の装備で、スキルも強力な一撃を繰り出す「パワースラッシュ」など攻撃系で固める、といったようにだ。

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スキルは冒険者が成長するごとに増えていく。より効果的な組み合わせを見つけよう。

さらに、探索・戦闘という二つのバランスを考えたスキルの組み合わせも重要となる。後衛のクラスであるスカウトの持つ、敵を事前に察知しやすくなるスキル「偵察」など、補助系のスキルもしっかり装備することで、戦闘だけではなく探索の段階から危険をコントロールできるようになる。
このように、タイピングという特徴に留まらず、冒険者の装備などの組み合わせを考えることも工夫のしがいがあるものとなっている。もちろん、組み合わせを考えることが苦手なRPG初心者にとっても、冒険者のレベルを上げることで対応可能なゲームバランスになっているので安心だ。

作りこまれたハクスラの面白さを楽しもう!

「作者に牛丼をおごるボタン」という印象的な要素から話題性の高まった『ワーズ・アンド・マジック』だが、本作はそのゲームデザインも本格的な作り込み具合となっている。タイピング入力の単語にファンタジー作品やテーブルトークRPG関係が多いことも、製作者のRPGへのこだわりが伺える。お手軽に、しかしその気になればとことんやりこめる奥深いゲームとなっているので、面白いRPGを楽しみたいプレイヤーはぜひともプレイしてみてほしい。
また、もぐらゲームスではハクスラのフリーゲーム作品について、以前にも記事として取り上げてきた。こちらも非常に作りこまれた作品となっているので、興味のある人はプレイしてみてはいかがだろうか。

レベル1の勇者がハーレムなメンバーと一緒に戦う『Hero and Daughter』をプレイしてハクスラについて考える

※なお「作者に牛丼をおごる」ボタンは、2月14日時点ではAndroid版でのみ実装されている。iOS版も実装予定だが、AppStoreの申請結果待ちとのこと。

[基本情報]
タイトル
ワーズ・アンド・マジック
制作者 ねこバタ会議(製作者様サイトはこちら)
プレイ時間 4時間以上~
対応OSと価格 iOS, Android (iOS版は無料、Android版は基本無料、ゲーム内課金あり)

ダウンロードはこちらから

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    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。