なぜゲームの夕暮れは綺麗なのか – 『Alto’s adventure』を遊びながらゲームに流れる時間に思いを馳せる

スマホゲーム

ゲームで見る夕暮れってなんでこんなに綺麗なんだろう?なぜここまでゲーム中の夕暮れの一時って「綺麗に感じられる」のだろうか?

ゲームにはそれぞれ固有の時間が流れている。徹夜で夜通し遊んでもずっとゲームの舞台は真っ昼間なゲームもあれば、会社をサボって真昼間からゲームを遊んでいてもゲーム中では何時までたっても夜の闇に包まれているゲームなんてのもある。

ゲームによって時間の流れは様々だ。そんな中で、擬似的に現実の時間の流れを模しているタイプのゲームというものがある。有名なところだと3D『ゼルダの伝説 時のオカリナ』、古いタイトルだと『ドラゴンクエスト3』なんかがそうだろう。海外のオープンワールドゲームなどは必ずと言っていい程ゲーム中に時間が流れ、朝から昼、夕方から夜へと移り変わりそして夜が明けまた朝が訪れる。『どうぶつの森』のようにゲーム内の時間と現実の時間が同期しているタイプのゲームもある。

今回紹介する、『Alto’s adventure』もまた、ゲーム中に時間の流れが存在するタイプのゲームである。ちなみに、もぐらゲームスでの紹介は2回目となる。

このゲームの本筋というか、主なゲーム内容については以前の記事を読んで頂ければそれで充分だと思う。シンプルにまとまった良いゲームだ。ではなぜ再度もぐらゲームスでこのゲームを取り上げるのかと言えば、このゲームのゲーム部分以上に、このゲームに流れる時間、移り変わる景色が心の琴線に触れる人がもっと沢山居る筈だと思うからである。

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私自身、この手のゲーム中に時間が流れるタイプのゲームが非常に好きだ。私に限らず、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の朝焼けや夕焼けを眺めるのが好きな人や、『オープンワールド』で特に目的もなく世界をうろつきながら時間の変化を眺めるのが好きな人って居ませんか?『Alto’s adventure』はそんなタイプの人にこそオススメしたい!

冒頭の問いかけに戻ろう。ゲームで見る夕暮れってなんでこんなに綺麗なんだろう?なぜここまでゲーム中の夕暮れって「綺麗に感じられる」のだろうか?ゲーム以外のメディア、映画や漫画や小説などでも夕暮れのシーンはあるのだが、なんだかゲームでの夕焼けが妙に特別に感じられてしまうのは、このゲームの非常に上品に纏められたグラフィックデザイン以上に、おそらくはゲームというメディアの本質に迫る幾つかの理由がある。

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夕暮れが綺麗に見える理由の1つ目は「時間の流れを見ることは、それ自体が本来の目的ではない」ということ。だからこそゲームに夢中になればなるほどに、ふと回りを見渡した時の変化が印象的になる。時間経過を眺めることだけが目的になっていたとしたら、それは相当な工夫でも凝らされてでもいない限り、退屈なものとなるだろう。

もう1つは、時間の変化によっておこる光の変化が、誰しも日常的に経験している当たり前のことでありながら、それをより圧縮しインスタントな形で提示されると改めてその劇的な変化ぶりに圧倒されてしまう、ということがあるのではないかと思う。

ゲームとは能動的な態度が要求されるメディアだ。であるからこそ私達はしばしばゲームに対して「疲れる」。そして「疲れる」からこそ、注意力が散漫になったりする時があるからこそ、本来のゲームプレイに直接は関係無いはずの夕日の美しさに「見入ってしまう」。常に一定の集中を要求するゲーム空間と、その要求に必ずしも応えきれるわけではない我々プレイヤーの間に不意に発生する隙間。そんな隙間に『Alto’s adventure』の移ろい続ける時間の流れはスッと潜り込んでくる。

ゲーム内に擬似的に摸された夕日が美しく感じてしまう理由、それは、美しいグラフィックがゲーム内に既に用意されていること以上に、ゲームをプレイし続けることで、受け手の側に美しさを感受するために必要な心の隙間が発生するからではないだろうか。

細かい部分にも触れておこう、『Alto’s adventure』はゲーム中に流れるBGMと環境音の配分も素晴らしい。この手の時間が流れるタイプのゲームはBGMが目立ち過ぎても駄目だし、環境音だけではちょっと雰囲気がストイックになり過ぎるのだが、絶妙の配分と言って良いだろう。遠くまで滑れた時の遠い所へ来た感じのする音楽とかちょっとしたロードムービー感というか、ほんの数分程度なのにちょっとした旅情すら感じてしまう。

ゲームとは日常性をインスタントな形で表現し、体験することが出来るメディアである。今回取り上げたようなゲーム中に時間が流れるタイプの体験性を他のメディア、映画や小説などで体験しようとするのは、おそらくかなり難しい。『Alto’s adventure』は非常にゲームの本質に迫ったタイプのゲームであるとも言えるだろう。そして、そのような本質に根差しているからこそ、このゲームが刺さる人の裾野はかなり広いのではないかとも思う。もっと多くの人に遊んでもらい、不意に訪れる夕日の美しさに心を奪われて欲しい

最近日本語化もされたので、遊び易くなってます。オススメです!

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[基本情報]
タイトル
 『Alto’s adventure』
制作者 Snowman
クリア時間 1分以上~
対応OS等 iOS
価格 360円

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  • hamatsu(@hamatsu

    某ゲーム会社に勤務している会社員。仕事とは別に「枯れた知識の水平思考」というブログも書いてます。ちょっと前に「色々水平思考」というブログを立ち上げてそちらもちょこちょこ更新中です。
    個人ブログ1:枯れた知識の水平思考
    個人ブログ2:色々水平思考