復讐に燃える男”傘銃”で悪を狩る―縦横無尽な傘アクション&バトルで魅せるアクションアドベンチャー『Gunbrella』

アクション,インディーゲーム

傘に仕込まれた武器で戦い、華麗に敵を倒すヒーローと言えば?

そのように聞かれて、特に映画好きであれば真っ先に思い浮かぶのは『キングスマン』のガラハッド(ハリー・ハート)だろう。実際に例のハイテク傘は同作品を象徴するものになっているに限らず、ガラハッドのねんどろいどにもパーツとして付属されている。

また、その影響を受け、作中に似たような武器、その名も「スパイガジェット」なるものを登場させたゲームの例もある。

今回紹介する『Gunbrella(ガンブレラ)』も、『キングスマン』のハイテク傘が脳裏をよぎること間違いなしの作品である。

本作は2023年9月13日より、Nintendo Switch、PC(Steam)で販売中。開発は”真のネコロイド”たる探索型アクションゲームGato Robotoを作りしdoinksoft。日本語ローカライズも『Gato Roboto』に引き続き架け橋ゲームズが担当している。

手がかりの傘銃「ガンブレラ」を駆使して復讐を果たせ

ある田舎に、妻と生まれて間もない子供と平穏に暮らしている男がいた。ある日、男は妻からの頼みでキノコ狩りへと出かけた。そして、キノコの採取を終えて帰路についた彼は、自宅から煙が出ていることに気づく。

すぐさま自宅に戻った彼が見たのは、何者かによって惨殺された妻と姿を消した息子。
そして、その場に残された傘の形をした銃「ガンブレラ」だった。

男は残された手がかりである「ガンブレラ」を持ち、妻を殺し、子供を連れ去った犯人を見つけ出し、復讐を果たすため、旅へと出る。このような血なまぐさいオープニングと共に本作は幕を開ける。

ジャンルは横スクロールで展開されるアクションアドベンチャーゲームとなる。プレイヤーは主人公である男を操作し、武器であり、事件のカギでもある「ガンブレラ」を駆使して復讐を果たすための旅を繰り広げていく。具体的にはストーリーに沿って発生するクエストを攻略しながら進めていく形だ。

ステージとステージクリアの概念がないことから、開発のdoinksoftが手掛けた前作『Gato Roboto』と同じ探索型アクションゲームを想像するかもしれないが、ゲームデザイン的にそう言うのは非常に際どい。探索要素に謎解き、成長要素、プレイヤーアクションを増やしながら行動範囲を広げていく類の展開が最小限であるためだ。

本編進行上で迷う機会も少なく、基本的に次の目的はスタートボタンを押すと開く「ジャーナル」で随時確認可能。なので、ストーリー性の強い見下ろし視点(トップビュー)のアクションアドベンチャーゲームの横視点(サイドビュー)版というのが正確な所。探索型ならではの展開や遊びを期待すると、返って物足りなさを覚える恐れがあるため、念のため注意しておくといいかもしれない。

そんな本作の特徴は主人公の基本装備であり、タイトルにも冠されている傘の銃「ガンブレラ」だ。戦闘では基本、これで敵への攻撃を展開していくことになる。銃弾は基本となる「散弾」以外に「ライフル弾」なども撃てるが、「散弾」以外は弾数制限あり。また、「散弾」もその性質通り、至近距離で発砲しなければ大きなダメージを与えられない。射程も短めだ。そのため、戦闘では極力、敵に近づいて射出する立ち回りが求められてくるようになっている。

随分、勇気が試されそうだが、ご安心あれ。生地部分は防弾だ。なので、前方に構えれば盾替わりになってくれる。

また、左スティック入れっぱなしのまま(Xboxコントローラ時)RBボタンを押せば、前方に傘を開いた状態で高速移動(ダッシュ)できる。さらにジャンプした後、上方向に左スティックを倒してRBボタンを押すと、そちらに向かって大ジャンプ。そのまま傘を開いた状態を保ち続ければ、ゆっくり滑空可能だ。

このように戦闘のみならず、移動面でも活躍する機能を備えているのが「ガンブレラ」の見所となっている。盾として使えたり、散弾を射出する辺りはオマージュ元に近いが、それ以外の移動周りのアクションは本作ならでは。似ているようで異なるアクションが楽しめる武器に仕上げられている。

なお、射出できるものに電気ワイヤーとゴム弾はない。あしからず。

縦横無尽と荒唐無稽が交差する濃厚なゲーム体験

そんな攻撃と移動の両面で活躍する「ガンブレラ」を駆使して、敵との戦闘や仕掛けに富んだフィールドを攻略していくのが本作の魅力にして醍醐味となっている。

特に戦闘は移動周りのアクションを自在に使いこなせるようになれば、アクション映画の主人公さながらのスタイリッシュな立ち回りが楽しめるように。大ジャンプで敵の背後に回り込んで即座に散弾を叩き込むのは最たる一例。これだけでも、本作でいかに痛快なアクションが楽しめるのかは想像に難くないだろう。

とは言え、挙動が独特なのもあって、多少ながら慣れは必要とされる。ただ、操作自体は左スティックとRBボタンの組み合わせだけで行えることから複雑さは皆無。中でも大ジャンプを使いこなせるようになれば、一気に戦闘やフィールド移動の景色が一変するだろう。それらアクションの気持ちよさを存分、かつストレスなく味わってもらうためか、フィールドも開放感を意識した設計が図られている。キャラクターのサイズが小さめであることもアクションの気持ちよさを引き立てることに繋がっていて、あえてそのサイズに設定したなりの意味が表されているのも面白いところだ。

これらのアクションと共に織り成す本編も山あり谷ありの連続。怪しげな建造物の調査、聞き込み、足場がほぼない地形の突破、脱出劇、そして強敵との対決(ボス戦)など、これぞアクションアドベンチャーな体験が凝縮されている。とりわけ必見なのはボス戦。「ガンブレラ」を駆使した立ち回りもさることながら、相手の荒唐無稽っぷりには色んな意味で驚かされること請け合い。

冒頭のストーリーの通り、本作は妻を殺された男の復讐劇というフィルム・ノワール風の設定で、敵対するのは同じ人間と想像するところがあるが、実際は人間だけではない。

カルト教団や企業によって生み出された”バケモノ”とも戦うのだ。主にボスはそのような人外(それも巨大)であるパターンが多く、荒唐無稽で手に汗握る戦闘が繰り広げられる。

なんだか硬派で地味そうと、ストーリー概略を読んで感じたかもしれないが、実際にプレイして、最初のボスと戦った頃にはそんな印象は吹き飛んでいるだろう。そして、このストーリーがいかなる終着を迎えるのか、気になって止められなくなってしまうはずだ。

その期待に応えるようにストーリーも興味深い展開を見せていく。特に中盤に”転機”を迎えて以降は、まさに”止められない・止められない”の事態になるだろう。どんな転機なのかはそこまで到達してのお楽しみだが、おそらく「間違いなくこれは”転機”だ」と思い知らされるはずだ。グラフィックと演出的にも。

ストーリーに関しては、節々で選択肢が表示され、どれを選んだかでその後のイベントに若干の変化が生じる分岐要素が豊富に仕込まれているのも見所。なお、エンディングの分岐はなく、1本道なので基本、好きに選んでしまって問題ない。ただ、時に残酷な展開が起きてしまったりなど、思いもしない変化の数々にはドキッとしてしまうはず。そして、一通りゲームをクリアした後にも、別の選択肢を選んだらどんなことになってしまうのかと、興味本位で2周目を始めたくなってしまうこと請け合いだ。

なお、ゲームクリアに要する時間は大体5~6時間ほど。ストーリー性のあるアクションゲームとしては長すぎず短すぎずで、周回プレイをする際にも負担になりにくい規模だ。密度が薄いなんてこともない。それは件のボス戦と”転機”を体験すれば思い知らされるはずだ。

悪逆非道なヤツラに傘銃の鉄槌を

他にグラフィック、音楽はフィルム・ノワール作品を強く意識し、重厚かつダークな雰囲気漂うものに仕上げられている。

また、演出周りは一言で言って”容赦なし”。特に敵を倒した時には身体がバラバラになり、血しぶきと同時に肉片までもが周囲に飛び散るという、凄惨なものになっている。相応に音も生々しく、人によっては生理的嫌悪感を煽るものになっている。あくまでもバラバラになる程度で、細部まで表現されている訳ではないのだが、かなり好みが分かれるものになっているので、苦手な人は要注意だ。

演出以外で気になりやすいのはマップ機能がないこと。基本的に進行がストーリー主導型に近いため、目的を見失って右往左往することは滅多にない。ただ一部、名を出すと「アレンデール森林地」に関しては繋がりが分かりにくい箇所があるため、マップ機能が恋しくなる。繋がりさえ分かれば、あとはスムーズに進めていけるようになるが、せめてエリアの入口付近に地図を置くなりの配慮はあって良かったかもしれない。

そして、これは注意が必要なのだが、難易度選択機能のデフォルトが「ハード」になっていること。本作は「イージー」「ノーマル」「ハード」の3段階の難易度が選べるのだが、どういう訳かデフォルトが「ハード」に指定されている。

当然ながら、「ハード」を選べば戦闘などは大幅に難しくなる。後から再設定することも不可能で、別の難易度でやりたい場合は最初からやり直すしかない。なので、これから本作を始めるという人はゲーム開始時、間違って決定ボタンを連打しないようにと忠告しておく。そうすると、過酷な復讐劇が始まってしまう。「それで大いにOK!」というならそのまま始めてしまって構わないが、まずは小手調べしたいとか、アクションゲームには苦手意識がという人は「ノーマル」か「イージー」を選ぶことを強く推奨する。

なお、難易度は「ノーマル」でも飛び抜けて難しいことはなく、優しすぎず難しすぎずの適度な塩梅に調整されている。「ハード」も操作のコツなどをつかめばスムーズに進めていけるなど、ちゃんと調整された難しさになっているので、腕に自信のある方はぜひ。

傘の銃で戦うスタイルから、『キングスマン』を自然に意識してしまいやすい本作だが、そのアクション自体には独自性があり、山あり谷ありの多彩なイベントと意表を突くストーリーで楽しませてくれる作品に完成されている。
演出周りが凄惨ゆえに人を選ぶところはあれど、アクションアドベンチャーゲームとしては素直に良作と断言できる仕上がり。このジャンルが好きな人はもちろん、傘の銃という武器にただロマンを感じるという人も思い切って挑んでみて欲しい1本だ。

なお、戦うに当たって英国紳士の魂は必要ない。必要なのは……外道許すまじの心構えだ!

[基本情報]
タイトル:『Gunbrella』
開発:doinksoft(※販売:Devolver Digital、日本語ローカライズ:架け橋ゲームズ)
クリア時間:5~6時間
対応プラットフォーム:PC(Windows)、Nintendo Switch
価格(税込):1,700円
CERO:15歳以上対象(暴力、犯罪表現あり)

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