精鋭電脳遊戯作家ラニヨル”特区解放”ニ刮目セヨ。「東京電脳特区」v0.1 レポート

イベントレポート,インディーゲーム

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2019年2月23日、インディーゲーム展示イベント「東京電脳特区」が東京・渋谷のクラブ「青山蜂」にて開催された。
「東京の一角にゲームクリエイターが集結する”特区”があったとしたら」という設定の下、インディーゲーム作家ら自身により運営され主催団体が存在しないインディペンデントなイベントとなっている。
初開催となる今回は実力派のクリエイター10組が特区に集結し、それぞれ作品の展示を行った。

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加えて「会場内でのゲーム試遊後にSNSでの情報拡散を行うこと」がルールとして設けられていることも本イベントの特徴といえる。
出展者のひとりによれば、各種イベントの後には自身の作品についてのSNSでの反応を作家側で逐次確認していることが多いことから、SNSでの情報拡散を当初からルールとして盛り込んだとのこと。会場内で展示されているゲームの横には情報発信用のQRコードが設置され、ゲームプレイ後にスムーズに感想を送れるよう工夫が凝らされていた。
このような作家目線でのイベント構成が為されている点が本イベントの独自色と言えるだろう。実験的な催しながらも多数の来場者を集めており、注目度の高さを伺うことができた。

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今回、もぐらゲームスでは「東京電脳特区」で見かけた注目作品を4作ピックアップした。
また、試遊後のSNSでの情報拡散をルールとした本イベントの趣旨に基づき、弊誌記者が当日に現地で発信したtwitterのツイートをモーメントとしてまとめている。イベントの雰囲気を感じ取る一助として参照いただければ幸いだ。

Reminisce 『Link:The Unleashed Nexus Restructured Heaven』

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ReminisceのSig氏が開発している『Link: the Unleashed Nexus Restructured Heaven』(以下、『Link RH』)は、ハイスピードなアクションと、透明感のあるビジュアルデザイン・サウンドが美しい3Dアクションゲーム。

『Link RH』は2015年に発表された無印版『Link: the Unleashed Nexus』のリブートにあたる作品となっており、空中を高速で滑空し、宙に浮いている敵を踏みつけて更に飛距離を稼ぐといったパルクール要素が特徴。『Link RH』では加えて地上も高速で滑走可能になっており、敵の攻撃をかいくぐりながら進むなどスピード感と演出面がより強化されている。

会場内でプレイできたのは操作説明を含んだ所謂チュートリアルステージながらも、敵からの容赦のない攻撃が浴びせられ、それを緊急回避アクションでギリギリで回避するといった緊迫感溢れるシーンが展開し手に汗握らされた。

Website:https://www.reminiscedev.com/

おづみかん『果てのマキナ』

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今回の東京電脳特区の中でも一風変わった参加の方法を取っていたのがおづみかん氏。チャットツールに搭載されたボイスチャット機能と画面共有機能を駆使し、会場外から遠隔での展示を敢行。開発中の2Dアクションゲーム『果てのマキナ』を展示していた。

主人公マキナはブーメラン状の剣を所持しており、直接斬りつける他、ブーメランとして投げた先で滞空し、滞空している地点へと主人公がワープできるアクションが最大の特徴となっている。
操作はゲームパッドの左スティックでマキナの移動、右スティックでブーメランを投げる向きの操作、L・Rボタンで斬りつけや投てき・ジャンプを行うという横スクロールアクションとしては珍しいツインスティック方式の操作になっており、トリッキーなブーメランワープの挙動と合わせて狙った操作ができるようになるには習熟を要する。

操作が難しくややとっつきが悪いものの、ブーメランが滞空している最中の回転をエレベーター等の動力として使用する、画面の縦一杯に広がるボスの攻撃をブーメランワープを使って回避するといった、癖のあるアクションを使いこなす醍醐味があり、大きなポテンシャルを感じさせる一作となっていた。

Website:http://ozumikan.com/

NOMANA INTERACTIVE『地獄調査官 樹神妖子』

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NOMANA INTERACTIVEのmachida氏が開発中の『地獄調査官 樹神妖子』は、ツインスティック方式の全方位シューティングゲーム。
プレイヤーは地獄調査官の「樹神妖子」(こだまよーこ)となって、地獄へ連なるダンジョンへと足を踏み入れていくことになる。

プレイヤー側の射撃は地面を水色に、敵側の攻撃は赤色に地面を塗り潰す。
水色のフィールドに立ち続けた敵は身体が水色に染まって防御力が低下し、赤色のフィールドに立ち続けたプレイヤーは100%でゲームオーバーとなってしまう「穢れ」が溜まっていく…というように、プレイヤーと敵が地面を塗りつぶしあってお互いにとって有利なフィールドを作り出せる点が特徴となっている。

ゲームシステムの細部については調整が続けられており、ダンジョンの自動生成、敵を倒すことで様々なアイテムを入手してパワーアップしていくというようなローグライクの要素を取り入れていく予定とのこと。今後どのように内容が変化していくのかに注目したい。

Website:https://nomana.itch.io/yoko

イリリ『RuinsStory』

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『RuinsStory』はイリリ氏が開発中の探索型横スクロールアクションゲーム
少女「ルイナ」が近接攻撃を、お供の猫型ロボ「ネコロ」が遠距離攻撃を担当し、それぞれが持つ攻撃方法やアクションを駆使して廃墟となった世界の探索を行っていく。

またルイナは赤・青の2色の属性を切り替え、同じ色の攻撃を吸収できるシールドをまとっており、レーザー等を潜って進む際にはこの属性切り替えが重要となる。
吸収した攻撃はエネルギーとして蓄積され、誘導弾を放つカウンター攻撃に転用することができる。

本作と同じく2色の属性の切り替えと攻撃の吸収のシステムを持つトレジャー社のシューティングゲーム『斑鳩』を想起させるが、開発者のイリリ氏によると実際に『斑鳩』を強くインスパイアし、それを2Dアクションとして落とし込んだらどうなるかという観点で制作しているとのこと。『斑鳩』のファンには要チェックの内容と言えるだろう。
『RuinsStory』は内容のボリュームアップを図ったうえで2020年のリリースを予定している。

Website:https://clorlles.wixsite.com/ilili-world/ruinsstory

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。