フリーホラーゲーム『雨宿バス停留所』。「怖さ」だけでない「友情」を描いた物語

今回はフリーゲーム『雨宿バス停留所』を紹介する。このゲームは、1人の少女が不思議な女の子に出会い、そして怪奇現象に巻き込まれていく…というホラーアドベンチャーだ。本作では、場面の要所要所でキャラクターボイス演出が入っている。また、製作者であるかおる氏は過去の作品として『路地裏喫茶店~Le Petit Nuit~』というフリーゲームRPGも製作しているが、両作品ともBGMが全てオリジナルの楽曲となっているのが特徴的だ。また本作は実況者である猫マグロ氏によるゲーム実況も好評だ。



そんな本作の魅力は、ホラーゲームでありながら「恐怖」だけでなく「友情」というテーマを表現しているという点だ。さっそく紹介していこう。

いじめられっ子の女の子が辿る、奇妙な運命の物語

このゲームの主人公は、いじめられっ子である女の子「古里千歳(ふるさと ちとせ)」。ある日、彼女はいじめっ子から、お墓から物を盗んでくるように命令されてしまう。お墓で目的のものを手に入れる千歳だが、お墓の霊の怒りに触れてしまい、「首のない人」に追いかけられてしまう。なんとか逃げ切った千歳だが、首なしの人間は、お墓の前で待ち構えていたいじめっ子を殺し、消えてしまう……。そして一度安全な自宅に帰ろうとした千歳は、その途中の停留所にて「見えないバス」を待っているという少女「鈴鳴小鳩(すずなり こばと)」と出会うのだった…。
 物語の途中では、ふとしたキッカケから頼れる姉御肌の女の子「立花赤音(たちばな あかね)」も、千歳と同行することになる。本作の舞台となる夜の墓地、千歳の自宅、そして学校で、さまざまな恐怖から逃げ切ろう。

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このゲームの登場人物。左から千歳、小鳩、赤音だ。

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主人公の千歳。学校の帰りに、いじめっ子に絡まれてしまい…。

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お墓から物を盗んでしまった千歳は、「首のない人」に追いかけられることに…。

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なんとか逃げ延びた千歳の前に、まるで何かを知っているかのような言葉を呟く少女である小鳩が現れる。

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ときおり意味深なことを言う小鳩の真意とは…

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何者かに襲われ血まみれになっていたところを千歳に助けられたことから、同行することになる赤音

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姉御肌である赤音は、探索ではとても勇敢な姿を見せてくれる。

このゲームは基本的に、千歳たちが恐ろしい存在のはびこる場所から脱出すべく、さまざまな場所を探索する形で進んでいく。お墓で現れる「首なし人間」や、そしてゲーム画面の半分ほどの大きさを持つ謎の巨人に追いかけられるというシチュエーションもあり、キャラクターを上手く動かして逃げ続けるアクション要素も少し要求される。

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千歳を追いかける、白い巨人のようなおぞましい存在。もはや人間ではない怪物であることはたしかだが…

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謎解きは毎回はっきりとしたヒントがあるわけではない。学校の中で薬物のある教室といえば?

恐怖の先に描かれる「友情」というテーマ

本作の主人公である千歳と、物語の中で出会う小鳩、赤音。彼女ら3人の少女は、怪異的な出来事を通して交流を深めていく。このゲームのエンディングは3種類あるが、いずれも「友情」というテーマにまつわるものだ。彼女たち3人はそれぞれ事情を抱えながらも、次第にお互いのことを思うようになっていく

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3人ともはじめて出会った子同士だが、恐怖の体験を共に乗り越えていくことで、絆が深まっていく。

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いじめられっ子だった千歳は、今回の奇妙な体験を通して小鳩と赤音と友達の関係となっていく。

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小鳩の過去と思われるシーン。彼女に一体何があったのか…

特に、そのエンディングのうちの1つは、たとえ他人にとって理解のしがたいものであっても、彼女たちにとってはそれが友情の形なのだ、と感じるものとなっている。ホラー描写を楽しみつつ、物語も楽しみたいという人はぜひプレイしてはいかがだろうか。

なお、もぐらゲームスでは、以前にフリーホラーゲームの特集をさせていただいた。ホラーゲームに興味ある方は、こちらも読んでみてほしい。

苦手な人にはおすすめしない、本当に怖いフリーホラーゲーム特集

[基本情報]
タイトル 雨宿バス停留所
制作者 かおる
クリア時間 2~3時間程
対応OS win (RPGツクールVX Ace RTPが必要)
価格 フリーソフト

ダウンロードはこちらから
ふりーむ!→http://www.freem.ne.jp/win/game/7872


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    poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。