小さな村でみんなとかくれんぼ。愉快なキャラクター、多彩なリアクションが魅力の短編箱庭アドベンチャー『ちょっとび!』

「ちみっこ」と呼ばれる、動物のようで人間のような不思議な生き物が住む小さな村。

主人公の「ココ」は、目つきが悪い「あんちゃん」、大人しい「にいちゃん」のニワトリ兄弟と一緒に暮らしているヒヨコの女の子。いつものように朝起きると、家の外から近所に住む猫の男の子「ピーにゃん」が呼びかけてきた。

chottobi_01

そして、他の四人の友達と揃って、かくれんぼをすることに。
じゃんけんの末、オニ役になったココは、ピーにゃんを始めとする、村のあちこちに隠れた五人の友達を探すことになる。
さてさて、みんなはどこに隠れたのかな。見つけられるかな。

chottobi_02

そんなオープニングと共に幕を上げる『ちょっとび!』(作者:にわのこ氏)は、PC(Windows)用短編箱庭アドベンチャーゲーム。2019年2月24日より、「BOOTH」、「ふりーむ!」の二つのサイトでフリーゲームとして公開されている。

「みんな すぐみつけてやっちゃうぜ!」

chottobi_03

先のストーリーを読んで字のごとく、ゲーム内容は「かくれんぼ」。主人公の「ココ」を操作して、村のあちこちに隠れた五人の友達を探し出す。たったそれだけだ。

本編の舞台となるマップも村以外にない。北側に出入口があるものの、外に出ようとすれば戻される。東側にもどこかと繋がっていそうな道があるが、柵が敷かれている。

chottobi_04

そんな訳で、基本的に村の中を歩き回ることに終始。木陰、樽などの怪しい場所や物を調べ、時には家の中も確かめるなりして、友達を探していく。当然ながら自力で、だ。

chottobi_05

とは言え、ピーにゃんの家付近にいる猫の男の子「トラジ」に話しかければ、誰がどこにいるのかのヒントを得られる。これと言って、聞くことによるペナルティもないので、行き詰まったら話しかけ、推理することを繰り返していけば、自然に五人全員を発見できる程度に難易度は低めだ。

chottobi_06

最終的に全員を見つけられれば、ゲームクリアとなる。なので、かくれんぼ主体で進めれば、最長でも1時間以内には終わる程度にボリュームは少なめ。短編だけにある物量だ。

このような作りもあって、ゲームとしての手応えは薄い。そもそも、RPGのサブクエストにありそうなイベントをこなすだけなのだ。本当にアッサリとしている。

反面、キャラクターと世界観には並々ならぬ気合が込められている。
本作の魅力と真髄は、まさにそこにある。

「おはちゃー!」

chottobi_07

特に主人公のココからして面白い。
やたらと元気でおちゃめ。

友達の五人や二人の兄弟など、村のちみっこ達に独特な調子で挨拶をしたり、樽、薪、野菜などのあちこちに置かれた”物”を調べれば、それぞれに応じた固有の台詞を返してくれる。

chottobi_08

この台詞のパターンが驚くほど多彩で、村の中にも調べられる物が数多く用意されていることから、一つひとつをチェックしては、どんな台詞を返してくれるのか確かめたくなる面白さがある。しかも、隠れた友達を見つけていくにつれ、村にいる一部キャラクターの会話内容も変化。大体の友達を見つけたところまで進めて、”ちょっとした出来事”を迎えると、物を調べた時に返してくる台詞も違うものになって、最初に調べた時には気付かなかった意外な事実が明らかにもなる。

さらにその状態を迎えた時に限り、あるキャラクターの印象が一変したり、思いもしなかった”隠しアイテム(?)”が発見されたりも…。

chottobi_09

基本的にこれらは本編のかくれんぼと無関係なので、いちいち全部を確かめなくてもよい。ただ、なるべく他のちみっこに話しかけたり、物を調べたりすることで、ココに対する愛着は増し、同時に小さなマップの中に大量のネタを詰め込んで、展開に応じた仕掛けまで凝らした本作の真髄と作り込みの深さが明らかとなる。

chottobi_010

なので、ゆっくりじっくり、村にある物を調べたり、他のちみっこに話しかけながら遊んでみていただきたい。そうすることで、村の雰囲気を堪能しつつ、ちみっこ達の一挙一動を味わう作品としての味わいが増していく。

そして、もっとこの村の様子を観察したいという欲が生まれてくるだろう

chottobi_011

裏を返せば、かくれんぼだけで終わってしまう本編に「もっと見せてよ!」という物足りなさが爆発することも意味するのだが。実際、かくれんぼに絡んでこないキャラクターの一部に、さらなる一挙一動を見てみたいと思える存在がいるだけに、そこが惜しい。短編として割り切った結果なのかもしれないが、それだけ作り込みが見事であるだけに、もう少し、イベントがあると良かったかもしれない。

一応、”なにか”そのものはあるのだが。(詳しくは本編にて)

「じゃあ あんちゃん!にいちゃん!あそびにいってくるねー!」

chottobi_012

温かみのあるドット絵で描かれたグラフィックも見応え十分。村のほのぼの、まったりとした雰囲気を見事に表現している。静止画では主に背景、小物に注目してしまうが、実はキャラクターのアニメーションも凝っていて、会話の流れに応じて手と足、さらには表情も豊かに変わるようになっている(さらにキーボードのAを押すと……?)
例によって、特にそれが目立つのがココ。また、友達の一人「ピーにゃん」も愉快な動きを見せてくれるので、要注目だ。後ろ姿も実にイイ。

chottobi_013

演出も効果的なタイミングで表示される吹き出し、大声で叫んだり、奇声(?)を発した際には大文字で台詞が表示されるなど、場面に見合った工夫が凝らされている。音楽も曲数は少なめながら、8ビットスタイルの楽曲がグラフィックと見事にマッチしている。

chottobi_014

箱庭アドベンチャーゲーム、特に探索周りの手応えを求めると肩透かしだが、世界観と雰囲気を楽しむゲームとしては見所満載、作り込みも圧巻の本作。終始、のんびりとした気持ちで遊べるので、集中力と精神力をフル活用するゲームで疲弊した時、癒されたいと思った時には迷わずプレイしてみて欲しい一本だ。

なんだかとっても元気で、おちゃめなヒヨコの女の子が友達と一緒に楽しく遊ぶ様子をゆっくりまったり眺めてみよう。きっと心がホッコリしてしまうはず。人によってはピーにゃんのように、からかいたい気持ちが湧いちゃったりするかもしれない。

……あ、重要なことを忘れていた。

chottobi_015

なお、作者のにわのこ氏のPixiv FANBOXでは、本作のキャラクター達のイラストが掲載されている。また、現在制作中の長編RPG『KURUHATO』の進捗状況もチェックできる。少しでも興味がおありの方はTwitter共々、要チェック!

[基本情報]
タイトル:『ちょっとび!』
制作者: にわのこ(PICOT HELLO)
クリア時間: 20分~1時間
難易度:初級~上級者向け
対応OS: PC(Windows)
価格: 無料

ダウンロードはこちらから
※BOOTH
https://booth.pm/ja/items/1236079

※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/19618

VR体験施設の検索サイト「taiken.tv」
  • image09

    シェループ(@shelloop

    様々なゲームに手を伸ばしたがる人。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションを与えると喜びます。

    Webサイト:box sentence
    ブログ:Box Diary