つみあげて、てんへとのぼれ。揃えて消さない落ち物パズル『de:Ney』

「のぼる」という行為は得てして苦しいものとして扱われる。例えば坂道や階段を上るだけでも平らな道を歩くよりも体力を使うものだ。ロッククライミングであれば岩の合間をぬって身体を持ち上げる為には腕力や脚力、強固なバランス感覚が必要になるし、ひとつ踏み外せば落下によって怪我もするし、何よりもせっかく進んだ道を後戻りさせられてしまう。それでも「のぼる」ことを止めようとしないのは、その苦しみの先にある物を求めてのことなのだろう。

『de:Ney』は「のぼる」をテーマとしたN-Lab.制作のパズルアクションゲーム。2020年1月18日にリリースされ、BOOTHとふりーむにてダウンロード可能なほか、unityroomおよびRPGアツマールにてブラウザでプレイ可能な形式で公開されている。

ブロックを積み上げ、少年を誘導せよ

『de:Ney』はいわゆる「落ち物パズル」のスタイルでゲームが進んでいく。フィールドの上から降ってくるブロックを矢印キーで操作してブロックを置いてゆき、同じ色のブロックを2つ揃える事でそのブロックを消すことができる。しかしながらブロックを消すことは、本作をクリアする為の条件でもなければ、得点などのメリットになるわけでもない。

本作の目的はフィールド内を歩く少年を天の輪のところまで辿り着かせること。故に大切なのはブロックを消す事ではなく、少年が上へと向かえるようにブロックを使ってうまく階段を作っていくこと、すなわち揃えて消さないようにする事が基本となる。ブロックを揃えて消す必要性が出てくるのは、少年がのぼれないほど段差を急にしてしまったり、途中で少年が溝にはまってしまって動けなくなった場合などになるだろう。なお、どうしても行き詰ってしまったときはAキーを押すことで全てのブロックを消してやり直すことができる。

また、少年を降ってくるブロックで押しつぶしてしまうと1ミスとなる。少年は歩き疲れて途中で休んでしまうことがあるなど動きがやや不規則なほか、少年が上へ進めば進むほど降ってくるブロックとの距離が縮まることになるので、ブロックの操作には細心の注意を払おう。

様々な特性を持つフロアをくぐり抜けろ

少年が進んでいく先には、時々暗闇に覆われる「ヨル」や、ブロックが浮力が働く水のブロックになっている「アオ」など、癖の強い特性を持つフロアの数々が待ち受けている。これらのフロアごとに異なる特性を乗り越える為には「スキル」の活用がポイントとなる。BackSpaceキーを押す事で、操作する対象をブロックから少年へと切り替えることができ、そこからAキーを押す事で発動させるスキルの切り替えが可能だ。

スキルの効果はトップメニューの「Room」を選択すると進めるマイルーム画面で「スキルメモ」を選ぶことで見ることができる。もしも行き詰ることがあったら、活用できるスキルがないかどうか確認してみると良いだろう。

これらのスキルは眼や心臓といった少年の身体の部位に対応しており、ミスした際にはスキルをつかさどる部位を選択し、消費して復活することになる。言い換えれば復活する度にスキルをひとつ失うことになるので、極力ミスすることは避けながら進めたい。

このからだを てんにかえす

本作を「落ち物パズルゲーム」として捉えた場合、一般的な落ち物パズルゲームを遊びなれているとルールの差に戸惑う部分もあるだろうが、ブロックがひとつづつ落ちてくるという点からブロックを隙間なく積み上げていくこと自体はそこまで難しくなく、敢えて言いきってしまえばパズル性はさしたるものではない。故に、本作の注目点は物語にこそある。

自らを「ナイ」と名付けた名無しの少年は、登れば願いが叶うという「てんのきざはし」と呼ばれる塔を、自身の願いを果たすべくのぼっていく。――重しとなる己の身体を削りながら。それは物理的に「上る」だけはない、ひとつの「昇天」の物語であると言える。

ヒトならざる「きざはし」の住民たちは、それぞれの安息を求めて各階層に滞留している。既に肉の身を解脱しどこか悟りすら感じられる彼らと、願いを抱えて進もうとするナイとの間に繰り広げられるやり取りの中には、胸を打つ言葉がきっといくつも見つかることだろう。

一方でナイ自身が語る「まぜこぜの身体」や、ステージの合間に挟み込まれる「マガツキ病」と呼ばれる病気について綴られた日誌、マイルームで流れる何者かの独白などは、背後にある不穏な背景を想起させるには十分なものだ。こうした断片的な情報から、この世界におけるヒトの境遇やナイの出自について想いを巡らせてみるのも本作の楽しみ方といえる。

本作『de:Ney』には3種類のエンディングが存在する。もしあなたがこれから本作をプレイするというのであれば、一体どの終わり方に辿り着くことになるだろうか。本作の中から一節を抜粋して、本稿の締めと代えさせていただくこととする。

「どうか、あなたの願いが、正しく終われますよう。」

[基本情報]
タイトル: de:Ney
制作者:  N-Lab.
クリア時間:  30分~90分程度
対応OS: Windows
価格: フリーウェア

↓ダウンロードはこちらから
(BOOTH)
https://noael-lab.booth.pm/items/1784403

(ふりーむ)
https://www.freem.ne.jp/win/game/21905

(unityroom)※ブラウザ版
https://unityroom.com/games/n_lab_deney

(RPGアツマール)※ブラウザ版
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm13464


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    真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。