あのオンラインシューターRPG『The Division』開発元のテクニカルディレクターが作った、”もしも”の80年代”後半”風短編STG『Death Strike』

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『レインボーシックス』、『ゴーストリコン』、『スプリンターセル』と言った、いわゆる”トム・クランシー”シリーズの最新作にして、初のオープンワールド兼オンラインRPGとして、2016年にユービーアイソフトより発売された『The Division(ディビジョン)』。2019年3月15日には続編『The Division 2(ディビジョン2)』も発売され、海外のみならず日本国内でも話題を呼んでいる。

同作の開発を担当したのが、スウェーデン南部のマルメに拠点を置く「Massive Entertainment」。そんな同社、並びにユービーアイソフトのサービスプラットフォーム「Uplay」のテクニカルディレクターを務めているOlof Naessen氏は、”Darkbits”名義で趣味として作ったアクションゲームやロールプレイングゲームなどを自らのWebサイトで無料で公開している、個人開発者の一面も持つ人物である。

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その同氏が昨今、作り上げた新作が今回紹介する『Death Strike』である。2019年4月6日、丁度『The Division 2』の発売から1ヶ月が経とうとしている頃にリリースされた。「itch.io」にて無料でダウンロードできる。

”もしも”1980年代後半、こんなシューティングゲームがあったら……?

舞台となるのは遥か彼方の銀河。平和な恒星系が邪悪な敵による攻撃を受けていた。敗北を繰り返し、窮地に追い込まれた惑星防衛軍は、この危機的状況を打開するべく、エースパイロット「Death Strike」による電撃作戦を考案。すぐさま当人が召集され、混迷を極める戦場へと投入された。果たして、防衛軍はこの作戦で勝利を得られるのか……というのが物語のあらましである。

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内容は強制横スクロールで描かれる、ステージクリア型シューティングゲーム。エースパイロット「Death Strike」が搭乗した自機を操縦して、惑星防衛軍を追い込んだ邪悪な敵が待ち受ける全四つのステージ攻略に挑む。

全体的に1980年代にアーケード界隈、家庭用ゲーム機で名を馳せたシューティングゲームを下地にしていて、グラフィックは8ビット風のドット絵、音楽と効果音はFM音源風であるなど、あの頃らしさを意識した作りになっている。実際に制作者も80年代、特に後半(1985~89年)にあったかもしれないゲームを意識して本作を作り上げたことをTwitterやitch.ioの作品ページにて綴っている。

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▲ゲームを始めると既視感のある起動画面が……。

システム周りもその頃特有の”古臭さ”を意識。被弾すれば即、撃墜されるルールは昨今のシューティングゲームにおいてもお約束だが、本作ではいわゆる”その場での復活”も不採用。撃墜されれば全てのパワーアップを失い、ステージの途中からやり直しになる。そのため、撃墜(ミス)のリスクは大きめ。敵の攻撃を的確によけ、倒すことが求められるバランスだ。

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また、攻撃は前方と後方それぞれに撃てるようになっていて、これにちなんだ後方から迫りくる敵を迎撃する場面が用意されている。

さらに攻撃はゲーム開始時点では一種類だが、ステージが進むと新たな装備が追加。対応するボタンを押せば、その武器へと切り替えられる。数にして三種類と少ないが、いずれも特定の場面や敵に応じて効果を発揮し、使い方によっては難易度も上下。さらにステージが進む度に選択肢が増えることから、起伏のある展開が描かれ、構成に華を添える要素として機能している。

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見た目こそ、80年代全開で主にリトライ周りは今時珍しい、シビアでリスク大きめの仕様。紹介が遅れたが、ゲームオーバーでのコンティニューもクレジット方式のため、回数が尽きれば最初からやり直し。手加減無用、慈悲もない設計だ。

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ただ、進みに応じて装備が増えるなど、真新しさはないものの特徴的なシステムもあって、古さ濃い目ながらもどこか新鮮に感じる遊び心地も持つ出来栄え。まさに”80年代にあったかもしれない”と思わせるシューティングゲームになっている。

小規模ながらも随所から溢れ出る80年代の香り

ただ正直なところ本作、シューティングゲームとしては極めて小規模な作品だ。ステージ総数が四つしかないことから、それが察せるはずである。このジャンルに慣れたプレイヤーなら、一周するのはあっという間だろう。難易度も一種類しか用意されていない(そもそも、選択機能が存在しない)ので、クリアすればそこまでだ。

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なので、やり応えやリプレイ性に期待すると肩透かしは必至。ただ80年代、具体的には後半に存在したかもしれないシューティングゲームとしての雰囲気作り、それを堪能する作品としては堅実にまとまっている。

特にステージは数こそ少ないが、それぞれ個性に富んだ構成にまとめられていて、進む度に増えていく武器の使い所、それによる難易度の変化を楽しめる仕上がりになっている。ステージ2では砂嵐が起き、全体が見えにくくなったり、ステージ3では画面上に巨大な戦艦が現れて攻撃を展開してくるなど、演出周りもプレイヤーを飽きさせない工夫の数々が光る。

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撃墜されればパワーアップを全て失い、チェックポイントからやり直しになる点でシビアな印象の難易度も意外に適度な塩梅。画面を覆い尽くす弾幕を潜り抜ける場面がないほか、敵にも一部を除き、初見殺しな攻撃を仕掛けてくるタイプはいないので、何度かプレイを重ねるにつれ、突破口が見えてくるバランスになっている。

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また、パワーアップのロストも再開時、雑魚敵が高確率でアイテムをドロップするので、持ち直しは容易。反面、被弾を防いでくれる「シールド」の獲得は場合によってできずに終わってしまうこともあるが、ステージ最後に対決するボスの攻撃パターンはほぼ固定。これまた、何度かプレイを重ねればノーミスでの撃破も達成できる程度に良心的なバランスになっている。最後も含む、全てのボスがそれを厳守しているのも特筆すべきところだ。

裏を返せば、ボス戦は戦い方がワンパターンになりやすいことを意味するのだが。敵も集団で襲い来るタイプは手早く倒せる反面、執拗な攻撃を仕掛けてくるタイプは耐久力が高めに設定されていて、急いで集中砲火を浴びせて倒さないと残り続けて行動範囲が狭まるリスクが高まるのは、爽快感を求めるプレイヤーほど賛否が分かれるところである。

ただ、その粗っぽさがまさに80年代。その頃をリアルタイムで経験した世代ほど、もしかしたら、こういうのが存在したかもしれないという気持ちにさせてくれる味わいがある。それも耐久力やや高めの敵が象徴するように、海外製の作品で……だ。

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その割に難易度は良心的だったり、ワイド表示であるなどのその当時らしくない部分もあるのだが、そこはご愛嬌。
ただ、余計な”邪魔”もなく80年代の香りを味わえるのは申し分なく、懐かしむことだけに没頭するなら、本作はこれ以上なく適した作品と言えるだろう。小規模ならではの、短時間で適度に手応えのあるシューティングを遊びたいプレイヤーにも適した出来だ。

紆余曲折の末に誕生した、小さな良作シューティング

操作性も概ね良好。Xbox 360、Xbox One、DUALSHOCK4の家庭用ゲーム機のゲームパッドにも対応しており、キー配置の適切さもあって快適に自機を操縦できる。

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シューティングゲームお約束のスコアアタックも標準搭載。しかも、得点の数値がデフレ気味。コンボなどのプレイヤースキルが反映されるシステムもない簡素な仕組みだが、そこもまた80年代っぽい。
また、各ステージには三人の救助者がいて、全員助けると残機が増えるというチャレンジ要素もある。意外に救出するのは難しく、地味な手ごわさがあるので、もし一周して物足りなさを覚えたら、全ステージでの救助に挑んでみるのも一興かもしれない。

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実は制作当初、九つのステージが計画され、規模大きめの作品になることが考えられながら、最終的に四つに絞り込まれたという経緯があり、制作的に紆余曲折があったことも作者のTwitterで察せる本作。とは言え、80年代の雰囲気を味わう作品としての出来は悪くなく、あの『The Division』開発元のテクニカルディレクターが作った小規模なゲームという点で唯一無二の価値と珍しさがある。

本格的なシューティングを期待するのは禁物だが、世界的にヒットした大作に関与した人物が作った昔ながらのゲーム、そして80年代の空気を味わうゲームとして興味があれば、プレイしてみていただきたい一本だ。なお、今後も作者は暇を見つけて小規模なゲームの制作を続けていく模様。その動向に興味があれば、ご本人のTwitterをチェックしてみよう。

[基本情報]
タイトル:『Death Strike』
制作者: Darkbits(Olof Naessen)
クリア時間: 30~40分
対応OS: PC(Windows)
価格: 無料

※ダウンロードはこちらから
https://darkbitsorg.itch.io/death-strike

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