デジゲー博2020で見つけたおすすめ同人・インディーゲーム6選

イベントレポート,インディーゲーム

2020年11月29日、同人・インディーゲームの頒布イベント「デジゲー博」が東京・秋葉原UDXの2階および4階にて開催された。8回目の開催となる今回は今年初頭より広まる新型コロナウイルス(COVID-19)の影響下での開催となり、例年は200組前後用意されている出展スペースが150組に制限されたほか、当日入場券の窓口販売を停止しオンラインのみでの販売、マスクの着用の必須化、入場時の検温の実施や手指用の消毒液の設置など、感染症予防の為の施策を行いながらの開催となった。
例年とは異なる状況の中での開催となったが、同じく新型コロナの影響で他のイベントが中止やオンライン展示となる中で久々の現地開催のイベントということもあり賑わいを見せていた。

本記事では取材陣が気になった同人・インディーゲームを6作品紹介する。読者の皆さんも気になった作品があればぜひチェックしてみてほしい。

昨年の記事はこちら

CHEMICAL PUDDING / RYOCHAN COMPANY『FILMECHANISM』

たアケイク氏とRyosuke氏による『FILMECHANISM』は「記録」と「復元」を駆使する2Dパズルアクションゲーム。unityroomで公開中の『REC』を基にギミックやステージを大幅にボリュームアップした作品として開発が進められている。中国の厦門国際ゲームコンテストで最優秀ゲームプラン賞を獲得するなど正式リリース前からそのアイデアが高く評価されている作品だ。

https://www.youtube.com/watch?v=t89W9atqieY

操作キャラクターとなるカメラ生命体はフィルムを獲得する事で、ステージの状態を「記録」し、それを任意のタイミングで「復元」することができる。例えば落下する足場を事前に「記録」しておいてから「復元」で元の位置に戻したり、押して動かすブロックを「記録」しておいて一度押し込んでから「復元」し、あたかもブロックをすり抜けたかのように反対側へ移動する、といった具合だ。言葉だけでは説明しにくい部分もあるので、プロモーション動画なども合わせて見てもらうと理解しやすいだろう。

展示では3つの進行ルートごと3ステージ、全9ステージが用意されていた。ジャンプを届かせる為には?一本道でブロックを押し込む方向を変えるには?鍵を取りに行くためにはどう道を作ればいいのか?といった事を絶え間なく考えさせられ、パズル好きにはたまらないであろう歯ごたえのある内容となっていた。本作はSTEAM、iOS、Androidなどで2021年にリリース予定となっている。

Website:https://filmechanism.web.app/

GAF-fly『潮またぎのアルフレッド』

『潮またぎのアルフレッド』は東京工業大学インタラクティブ・ゲーム制作チームGAF-flyによる海洋2Dアクションゲーム。テッポウエビのアルフェが汚れた海から新天地を求めて冒険を繰り広げていく。

アルフェはハサミから水弾を発射することができるが、この水弾を発射した反動で移動する点が大きな特徴となっている。水弾は敵への攻撃にも使用し、その際は反動を抑えるためにふんばりを併用することでゲージが続く限りその場に留まりながら水弾を発射することが可能だ。いかにして水弾の反動を制御しながら進んでいくかが本作の肝となっている。

また、ステージ中には隠されたアイテムがあり、水流を潜り抜けたり水弾で壁を破壊するなどで見つけることができる。こうした隠されたアイテムを探し出すのも醍醐味といえるだろう。ブースでは作品の頒布が行われた他、12月2日よりDLsiteでの配信も開始されている。

Website: http://www.mkmlab.net/TGS/2020/GAFfly/

Nanbu Works『そして機械は人間足り得たのか episode0』

南部休み氏が製作中の『そして機械は人間足り得たのか』は、人を模した機械”アンドロイド”を題材とするビジュアルノベル。「機械は人間足り得るのか?」という哲学的なテーマを、アンドロイドによる事件を追う刑事の視点から描くSFサスペンスで、episode0と銘打たれた本作はその前日譚となる。

会場ではアンドロイド工場のような場所で目覚めた少年が、そこに潜入していた少女と出会い、共にアンドロイドによる殺人現場を目撃するという冒頭部をプレイできた。本作を特徴づけているのがフルボイスで、キャラクターのセリフのみならずいわゆる地の文にあたる部分もフルボイス化されており、さながら朗読劇のように楽しめる。プレイできた時間は短かったが濃密なテイストが期待を誘う一作となっていた。

本作はbooth、itch.io、Youtube、ニコニコ動画で2021年に公開予定。動画サイトが配信サイトとして掲示されており困惑したが、これは先述の朗読劇的な特徴を活かしてプレイ可能な”選択肢つき動画”として配信するという試みを予定しているとのこと。これもまた注目点のひとつといえるだろう。

Website: https://nanbuworks.fanbox.cc/

CAVYHOUSE『くちなしアンプル』

『くちなしアンプル』は『わすれなオルガン』『マヨナカ・ガラン』といった独特の世界感で魅せるCAVYHOUSEの新作となるローグライクRPG。感染症対策の観点からかブースには試遊台は設置されず、体験版のDLカードの頒布での対応となった。

新米錬金術師であるイレーヌは自身の店の開店資金を集めるため、格安で中古マンションならぬ中古ダンジョンを購入するも、そこは殺人事件のあった事故物件であったことが発覚。ダンジョン探索と合わせて奇怪な殺人事件の謎を探る事となる。ローグライクRPGながら一発勝負ではなく育成要素を重視しており、ダンジョンで集めてきた素材で主人公のイレーヌのみならずダンジョンを育成することが可能。ダンジョンにイレーヌの能力をプラスできる魔法陣が出現するようになったり、アイテムの出現量を大幅に上げる「農地化」を行うことができる。農地化したフロアから素材を大量に集め、集めた素材で更に農地化を進めていくというサイクルは育成好きのツボにハマること請け合いだ。


(※ゲーム画面より撮影)

開発者の熱望で実現したという豪華キャストも見所のひとつ。本作は2021年初頭にSTEAMにてリリース予定。ストアページが公開されているので、気になる人は予めウイッシュリストに登録しておくと良いだろう。

Website:https://www.cavyhouse.net/

デジメカ製作所『魔法少女は自由に変身できない』

デジメカ製作所による『魔法少女は自由に変身できない』は、魔法少女見習いの「吉田かおる」を操作して迷路の中を進み、迫る敵を撃退してゴールを目指す3Dアクションゲーム。

通常状態では足が遅く、敵への対抗手段も召喚アイテムを獲得して設置できるバリケード程度しかなく非力だが、一定時間おきに変身する魔法少女となることでバルカンやキャノンなどを展開し一気に敵を倒すことが可能となる(それは魔法ではなく魔砲では?というツッコミは野暮というもの)。また、魔法陣アイテムのゲットによって先輩魔法少女が支援爆撃を行ってくれるので、敵の動きを先読みして爆撃ポイントを設定すると敵のせん滅に一役買ってくれる。タイトルの通りプレイヤーの任意では変身できないため、いかにして魔法少女となるまで逃げきり、そして反撃へと転じるのかを考えるのが楽しい作品だ。


(※ゲーム画面より撮影)

ステージをクリアして最高スコアの累計を溜めていくことで先輩や使い魔などのカスタマイズなども行えるようになる。会場では20部ほどが頒布されていたが、今後の頒布予定やDL販売については未定とのこと。booth等では試作版が公開されているので、雰囲気をいち早く掴んでみたいという人はこちらをプレイしてみるのが良いだろう。

Website:https://twitter.com/DIGIMEC9

Kujira Dance Room『Last Order』

Kujira Dance Room『Last Order』は荒廃した世界で戦う2Dアクションゲーム。主人公の少女を操作し、ジャンプに壁張り付き、ビーム剣による攻撃のほか、ワイヤーを使ったアクションで地形から地形へと飛び移りながら先へと進んでいく。展示では下水道のような場所でロボットを倒しながら進み、最後にボスとなる多脚戦車と戦う1ステージ分を体験することができた。

ワイヤーを扱う2Dアクションゲーム作品は少なくないが、本作ではスウィング中のワイヤーで敵を切り裂く、敵や敵の放った砲弾をワイヤーで掴んで投げ飛ばすといったアクションも取ることが可能。特にワイヤースウィングで敵メカをまとめて切り飛ばすのが一呼吸置いて爆散する演出と相まって気持ちよく、ついつい狙いに行きたくなるほど。取れる行動が豊富なぶん操作もやや複雑になっている印象だが、移動手段としてだけではない超攻撃的なワイヤーアクションが新鮮な作品となっていた。

本作は2021年夏に発売予定。ワイヤーアクションゲームのファンには要チェックの一本となるだろう。

Website:https://twitter.com/RoomKujira

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。