関西から同人ゲームを発信!「同人ゲーム.fes 10」で見つけた注目作品たち

イベントレポート,インディーゲーム

doujingame-fes-10-top

2018年6月9日、同人ゲーム展示即売会「同人ゲーム.fes 10」が大阪・日本橋のポルックスシアターにて開催された。

「同人ゲーム.fes」は、普段は開発者間での交流会などを開催している「関西同人ゲーム制作者交流会」が主催となり、2011年の「日本橋Doujinトライアルフェスタ」より毎年開催されている、関西地方に根差した即売会となっている。今回の「同人ゲーム.fes 10」ではのべ30サークルが出展を行っていた。

今回、もぐらゲームスではこの「同人ゲーム.fes 10」にて出会った作品から注目作品をピックアップすると共に、会場内の様子についてもレポートする。気になったタイトルがあれば是非Webやイベントなどでチェックしてみてほしい。

GrimmHalloween

doujingame-fes-10-grimmhalloween

サークル「832carnvial」では、タワーディフェンス型ゲーム『Vise Rest』(写真右)の頒布のほか、新作となる『GrimmHalloween』(写真左)の試遊展示が実施されていた。

『GrimmHalloween』は横視点で進行するホラーアトベンチャーゲーム。赤頭巾の「ベリー」と狼少年の「ミント」の二人組を操作してオバケが徘徊している館の中を探索する。ベリーとミントは個別に行動することも可能で、ひとりしか身を隠せないタンスを交互に使ってオバケをやり過ごすというシーンを体験することができた。

『GrimmHalloween』の開発進行度は10%ほどとのことで、ベリーとミントで分担・協力して装置を動かして先に進むといった要素を取り入れたいとのこと。二人では心強くとも単独行動になることで生まれる恐ろしさに期待したい。

公式サイト: http://832carnival.kitunebi.com

クトゥルフ神話RPG 水晶の呼び声

doujingame-fes-10-cthulhu-rpg3

『クトゥルフ神話RPG 水晶の呼び声』はサークル「AlchemyBlue」が現在開発中のレトロゲーム風ホラーRPG。同サークルの『瘴気の海に眠る少女』『血塗られた天女伝説』に続く第3弾となる。

タイトルからも連想できるように、テーブルトークRPG『クトゥルフの呼び声』をモチーフとしており、サイコロ3個を使って主人公の能力値を決めるキャラクター・メイキングや、精神状態を表すバロメータで、理解しがたい怪異などに遭遇してゼロになるとキャラクターが発狂してしまう「SAN値」等の特性が取り入れられている。

会場では異空間で目覚めた主人公が怪異と戦いつつ異空間からの脱出を目指す先行体験版をプレイすることができた。

本作は2019年4月頃にリリースが予定されている。

公式サイト: http://www.alchemyblue.net/cthulhu-rpg3/top.htm
関連記事:クトゥルフなフリーゲーム・インディゲームおすすめ5選。名状しがたい恐怖を堪能しよう

パケットクイーン#

doujingame-fes-10-packetqueen

サークル「Studio F#」のブースでは現在Steam/Nintendo Switchで配信中のパズルゲーム『パケットクイーン#』のSwitch版の展示と、過去作の頒布が行われていた。

左から右へ流れてくる「パケット」を、要求されている色・形のものは通過させ、要求外のものは上下に弾いていく。下向きに弾いた物は画面下部にストックされ、色や形をポーカーのように揃えることでボーナスポイントを取得できる。パケットの通過と役の完成の両方を同時に考える必要があり、頭を悩ませる。

ストーリーモードはネットワーク対戦ゲーム仕立てとなっているほか、得点を競い合える対戦モードも用意されている。ライバルたちとスコアを競うのもよいだろう。

公式サイト: http://packetqueen.f-sp.net/ja/

Super Cloudbuilt

doujingame-fes-10-super- cloudbuilt

海外からの参加となる「Coil works」のブースでは、現在Steam/PlayStation4/XBox Oneにて配信中の『Super Cloudbuilt』のプレイアブル展示が行われていた。

『Super Cloudbuilt』は2014年にリリースされた3Dアクションゲーム『Cloudbuilt』のリマスターバージョンとなる作品で、壁を伝って走り足場から足場へと跳ぶパルクール・アクションを繰り広げる。

アイテムを使用することで自分自身でリスタート地点を作成することが可能で、ミスをしてもやり直しが効きやすい点が特徴。操作には慣れが必要ながら、背中に背負ったロケットブースターを駆使して高速で障害を飛び越えていくスピード感とスタイリッシュさが光る。

ラフ・スケッチのようなビジュアルと、重傷を負い昏睡状態にある女性兵士の精神世界で繰り広げられるストーリーも注目ポイントだ。

公式サイト: http://coilworks.se

Genecelln Arcade

doujingame-fes-10-genecelln- arcade-1

サークル「イシキスペース」では戦略シミュレーションゲーム『Equivocal Survival War』の頒布のほか、フリーウェアとして公開されている『Genecelln Prototype』のイベントバージョンとなる『Genecelln Arcade』の展示が実施されていた。

『Genecelln Arcade』は図形のみで構成されたビジュアルが特徴の、「生存競争」を題材としたスコアアタック型の固定画面シューティングゲーム。

敵を倒すと外殻を残す場合があり、この抜け殻を取得することで体力を回復し、その特質を受け継ぐ点が特徴となっている。また、自機だけでなく敵同士でもショットが命中するようになっており敵も抜け殻を取って成長することがある。

doujingame-fes-10-genecelln- arcade-2

写真中央の巨大な黄色と緑の丸が外殻を食べ続けてブクブクと太った自機だが、ここから更に大きくなることもできる。自機がショットや体当たり等で倒されてしまう以外にも、自機や敵が画面内に収まりきらないほど成長してしまった場合はゲーム終了となる。

図形のみで構成されたシンプルなビジュアルながら、自機や敵が外殻によって激しく巨大化していく様子や、周囲の敵が乱戦を繰り広げている合間を縫って、抜け殻の「おこぼれ」でずる賢くパワーアップを狙うこともできる点に妙がある作品となっていた。

公式サイト: http://kyleluckyriver.wixsite.com/kyle-luckyriver-web

アトの跡 第2章

doujingame-fes-10-genecelln- ato-1

サークル「ほしさらい」のブースでは『アトの跡』の第2章のゲームプレイ試作版の展示が実施されていた。

『アトの跡』は無敵の鉄人「アト」を操作して、後を付いてくる少女「ヒヨ」を敵の攻撃から守りながら先へと進んでいくアクションゲーム。現在は第1章がフリーウェアとして公開されている。

第2章ではこれまでの竜巻によって敵キャラクターを吸い寄せる動作の替わりに、バーンアクション(踏みつけ)で敵を壁に叩きつけることで敵のボール化を行うほか、少女が予備のボールをストックして好きなところで取り出せるようにシステムが変化している。ボールを蹴り飛ばして連鎖反応で敵を次々巻き込んで倒していく爽快感は健在で、そうした連鎖反応をよりプレイヤー自身で狙って引き起こせるようになるとのこと。

doujingame-fes-10-genecelln- ato-2

また、スタッフロールの名前を一杯にしたいとのことで、プレイ後にはアンケートと共に「名前がエンドロールに流れる権利」が配布されるというユニークな取り組みも行われていた。

公式サイト:http://hosisaraigame.web.fc2.com/index.html
関連記事:無敵のボディで少女を守るエスコートアクション『アトの跡 第1章』 「吸い込み」と「反射」を駆使して敵を殲滅!

会場内外の様子・ゲーム大会など

doujingame-fes-10-outdoor

本イベントでは屋内のみならず屋外にも展示エリアを設けている点が特色のひとつとなっている。同人ゲームのことを知らないであろう通りがかりの人がイベントの様子を興味津々に眺める光景も見受けられた。

また、入場の際にはソフトドリンクのサービスが提供された。梅雨入り直後の蒸し暑い時期の開催であるだけに、飲み物はとてもありがたい心配りとなっていた。

ポルックスシアターの2階部分では格闘ゲーム『FateAxis2』ならびに『ブリーフカラテ』のゲーム大会が開催されていた。

このうち『FateAxis2』は足かけ17年の長期に渡り開発が続けられている3D対戦格闘ゲーム。昔から同人ゲームを追いかけている方には名前に聞き覚えのある方もいることだろう。大阪・南森町のゲームセンター「コーハツ」にて定期的に対戦会が実施されているので、興味のある方はチェックしてみてほしい。7/7には東京・中野で他のインディー格闘ゲームとの合同対戦会も予定されている。

doujingame-fes-10-taikai

また、ゲーム大会の合間にはバーチャルユーチューバー「男鹿梨衣子」による出展者インタビューも行われていた。動画サイトの普及により、近年のゲームイベントでは会場内からの中継放送は普遍的に行われているが、今回は急速に流行の兆しを見せているバーチャルユーチューバーによるイベント中継という例を見ない放送となっていた。

doujingame-fes-10-interview

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。