【TGS2016】日本ゲーム大賞 アマチュア部門優秀賞『ELEC HEAD』レビュー

先日、ツールやゲームをバンドル(セット)にしてダウンロード販売を行うサイト「Humble Bundle」でのセール販売も行われていたゲーム制作ツール「GameMaker」。

本ツールは、RPG『Undertale』やアクションゲーム『Hotline Miami』、また『Risk of Rain』『Nuclear Throne』などの海外発の人気作品を生み出している。国内でも『Downwell』などのインディーゲームや、PC版・iOS版がリリースされている『Porter』など、本ツール製の作品が少しずつ増え始めた印象を受ける。

そこで今回は、GameMakerで制作された国内アクションゲームを紹介する。

「日本ゲーム大賞 アマチュア部門」の優秀賞『ELEC HEAD』

取り上げるゲームは、9月15日から18日の期間で開催された「東京ゲームショー2016」にて発表された「日本ゲーム大賞 アマチュア部門」の優秀賞『ELEC HEAD』。

本作は、シンプルな操作でロボットを動かし、ステージを攻略していくものとなっている。特徴的な要素は「ロボットが触れている部分を起点として、ステージ中に電流が流れる」という要素と。「自分の頭を投げ飛ばせる」というアクションだ。操作や要素はシンプルながら、それらを組み合わせてギミックを攻略していくことが面白い作品となっている。

自分の頭を投げ飛ばし、電気を流してステージ攻略!

このゲームでは、ロボットを操作して、様々なギミックが設置された部屋を一つずつクリアしていく方式となっている。行えるアクションは、移動・ジャンプというシンプルな動作に加え、「自分の頭を投げ飛ばす」というもの。本作では、この「頭を投げ飛ばすアクション」がキーとなる。チュートリアルも丁寧に作られているため、直感的にプレイできるだろう。
 
ELEC HEAD
アクションや要素自体は複雑なものではなく、それらを組み合わせることが肝心となる
 
また、もう一つ特徴的なポイントとして、ロボットが立っている地面を起点に、部屋の中に電流が走るという要素。電流が走ることで、部屋にあるさまざまなギミックが起動することになる。

例えば、下記の画像のように、地面に立っているときは地面にだけ電流が流れているが、空中の足場の上に乗ると、点線で囲まれている部分にブロックが出現して道となる。このように、電流を流すことで変化する部分を見極めつつ攻略していくことになる。
 
ELEC HEAD
地面に立っているときにはブロックが点線のままだが……
 
ELEC HEAD
足場の上に乗ると、足場を起点に電流が。そして点線だったブロックが実体になる
 
こういった電流の要素に加え、部屋によって「頭を投げ飛ばす」アクションを組み合わせることで攻略ができるようになるものがある。下記の画像のように、ジャンプでは届かない空中の足場に頭を投げることで、足場に電流を流しブロックを実体化させる、といったようにだ。シンプルな要素を組み合わせることで攻略を行うものとなっている。
 
ELEC HEAD
ジャンプでは届かない足場が現れたら……
 
ELEC HEAD
頭を投げて電流を流そう
 
なお、ロボットは頭から流れる電気によって充電される仕組みのため、頭を投げたままだと電力がどんどん減っていく。電力がゼロになってしまうとミスとなってしまうので、頭を投げた際にはいそいで回収に向かおう。
 
ELEC HEAD
電力の残りには注意だ
 

「プレイヤーの学習」に焦点を置いたゲームデザイン

本作の特徴的な部分は「このゲームを攻略するにはどうすればいいか?」ということを、自然とプレイヤーに考えさせるようなゲームデザインだ。

たとえばゲームスタート画面。上からロボットが落ちてきて、着地すると地面に電流が走る。部屋の中にはタイトル名『ELEC HEAD』の文字が繋がった空中足場のようなものがあり、多くのプレイヤーはとりあえずジャンプして足場に乗るだろう。そうすると、今度は足場を起点として文字にも電流が走る。このように、ロボットがどう動くことで、部屋の中にどういった変化が生まれるのか。ということを自然と体感できるようになっている。
 
ELEC HEAD
ゲーム開始画面。この部屋で適当なアクションを行うだけでもルールの一部を理解できる
 
本作はコンパクトなゲームデザインとなっており、こういったプレイヤーの学習という観点でも非常に作り込まれている。自然と攻略方法を習得できるよう、マップの造形一つ一つに意味を持たせている点は見事だ。今後、一般公開もされる予定とのことなので、その際にはぜひプレイしてみてほしい。

なお、もぐらゲームスでは『ELEC HEAD』の作者であるパグンタランイチロ氏へのインタビューも掲載予定だ。こちらもお待ちいただきたい。

[基本情報]
タイトル:『ELEC HEAD』
制作者:パグンタランイチロ氏
クリア時間:1プレイ20分程度
対応OS:Windows,Mac OS X
価格:無料

ダウンロードはこちらから
<今後公開予定>

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    poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。