もぐらゲームス執筆陣の選ぶ 2017年おすすめフリゲ・インディゲーム20選

インディーゲーム,フリーゲーム,特集

フリーゲーム・インディーゲームに関して様々なニュースが登場した2017年、みなさんはどんなゲームをプレイしただろうか?

2018年が明けてまだ間もないこの時期、これから遊ぶゲームを探し始めている人もいることだろう。今回は、そんな読者の方々に向けて、もぐらゲームスの執筆陣の6名が、2017年にプレイしたゲームの中で特におすすめできるフリーゲーム・インディーゲーム20作品を一挙特集する。

各執筆者が2017年に遊んだ中で心に残った「各々の名作」をいくつか紹介していくので、気になった作品があればぜひ遊んでいただきたい。

昨年の記事はこちら。
もぐらゲームス執筆陣の選ぶ 2016年おすすめフリゲ・インディゲーム18選

『神巫女 -カミコ-』

2017年の大きなトレンドとなった新型ゲーム機「Nintendo Switch」
「Nindies」(ニンディーズ)と銘打たれた取り組みによってSwitchでのインディータイトルの拡充が図られており、インディーゲームファンにとっても注目のマシンとなっている。
 
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そのSwitch向けのオリジナルタイトルとしてリリースされたのが、スキップモア開発・フライハイワークス販売の『神巫女 -カミコ-』だ。

『神巫女』は見下ろし視点の2Dアクションゲーム。
特性の異なる武器を持つ3人の「神巫女」から1人を選び、敵を倒しつつステージ内を探索していく。敵を倒すごとに「SP」を入手でき、SPを消費することで強力な溜め攻撃を放てる他、ステージ内にある箱や扉の鍵を開けたり、ボスの居場所へと繋がる鳥居の封印を解くためにもSPを消費する。
 
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SPは敵を連続で倒してコンボをつなげる事で入手量が上がるので、ダッシュで走り抜けては敵を倒し、敵を倒してはダッシュで走り抜ける…という循環を作れるようになるとスムーズに先に進むことができる。ステージクリア時にはクリアタイムが表示されるので、慣れてきたらタイムアタックに挑戦していこう。

各アクションのレスポンスの良さやアイテムの隠し場所等のツボを突いた造りに加えて、「和」をモチーフとした世界観のピクセルアート&チップチューンサウンドが染み渡る。

世界累計DL数15万本突破の実力は本物。Switchを持っているならば迷わず押さえてほしい一本だ。

(真野 崇)

タイトル:神巫女 -カミコ-
制作者:スキップモア
クリア時間:30分~
対応OS:Nintendo Switch
価格:¥500

購入はこちらから
https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000000313

『かぶりつきアクション!カブーンちゃん』

『かぶりつきアクション!カブーンちゃん』はLegasysware制作による、ハロウィンを題材にしたホラー風味の固定画面全方位シューティングゲーム。
ハロウィンの時節は逸してしまったが、この機会に紹介させていただきたい。
 
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かぼちゃマスクをかぶった「カブーンちゃん」が放つショット攻撃「フォースティース」は歯型が飛んでいくというインパクト抜群の攻撃手段。しかも敵キャラクターであるお菓子に命中すると喰らい付きながらダメージを与え続け、それに合わせてサイズが巨大化していくのでインパクト2割増。敵を貫通する性質も持ち合わせており、敵が一列に並んでいる所へ撃ちこむことが出来れば”一気食い”も可能だ。
 
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加えてショット発射時には「オーラ」が自機の周りに発生して敵弾をかき消すことができる。ただしショットは画面内に3発までしか撃つことができないため、過度の連射をし過ぎると弾切れでかえって自分を窮地に追い込んでしまうことになる。
いざと言う時にオーラで敵弾を消せるようにショットを残しておくなど、細かいテクニックの使いどころが楽しい作品となっている。

本作はマルチエンディング。約3分程度のザコ戦を経てボスが登場し、ボス戦の結果に応じて5種類のエンディングへと分岐する。中にはゾクリとさせられる結末も…

(真野 崇)

タイトル:かぶりつきアクション!カブーンちゃん
制作者:Legasysware
クリア時間:5分~
対応OS:Windows
価格:フリーウェア

ダウンロードはこちらから
(ふりーむ) https://www.freem.ne.jp/win/game/15934
(itch.io) https://legasysware.itch.io/kaboom-chan-the-curse-of-halloween-devil

『1st ボス コンプレックス -GAMEHERO CROSSOVER-』

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『1st ボス コンプレックス』は、様々なバリエーションの「最初のステージ」がひたすら続く『ステージ1 コンプレックス』(関連記事)の姉妹作品となるアクションゲーム。

今度は「最初のボス」が手を変え品を変えて待ち受けている。豊富なギミックの数々は本作においても健在。どのような手段で迫りくるのかは実際にプレイしてみてのお楽しみだ。
 
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また、「GAMEHERO CROSSOVER」のタイトルが示すとおり、シューティングゲーム、ロールプレイングゲーム、レースゲーム、戦略シミュレーションゲーム等、各ゲームジャンルをモチーフとした個性豊かな12体のキャラクターが選択可能となっている。
トレーニングモードを搭載しており各キャラクターの特性を十分に把握してから本編に挑めるので、自分に合った好みのキャラクターを見つけ出そう。

(真野 崇)

タイトル:1st ボス コンプレックス -GAMEHERO CROSSOVER-
制作者:IN
クリア時間:1時間~
対応OS:Windows
価格:フリーウェア

ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/14754

『DESYNC』

ソリッドな原色ポリゴンとエレクトロサウンドで彩られた電脳空間での戦いが繰り広げられる『DESYNC』は豪州のディベロッパーThe Foregone Syndicate制作のファースト・パーソン・ビュー・シューティングゲーム。パブリッシャーはAdult Swim Gamesが担当している。
 
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『DESYNC』の特徴は「アタック・シーケンス」、すなわち敵の倒し方に応じて「芸術点」が加算されることにある。敵を連続で倒す、爆発物を使用して同時に複数の敵を攻撃する、といった基本的なところから、アグレッシブに前方へダッシュしつつ敵を倒す、設置系の攻撃を駆使して視界外の場所でトリッキーに敵を倒す、はたまたショットガンで敵を吹き飛ばして針山に放り込むアクロバティックな倒し方も得点の対象だ。
 
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その一方で、ハンマーを持った甲冑は見た目通りのタフネスと見かけ以上のスピードで猛然と迫り、大剣持ちは防御姿勢を取ってこちらの銃弾を弾き返し、忍者のような姿の敵は雲隠れからこちらの背後を確実に取ってくるなど、敵からの攻勢は苛烈の一言
求められるのは、敵に囲まれないための位置取りとパターンの把握、迫りくる敵を打ち倒す正確な狙い、効率の良い武器の使い分け、弾薬と体力を的確に補充しての継戦力の維持。FPSの原初的な部分を凝縮した脳髄が焼け付くような高純度の闘いが魅力の作品だ。

(真野 崇)

タイトル:DESYNC
制作者:The Foregone Syndicate
クリア時間:5時間~
対応OS:Windows
価格:$14.99(約¥1,500)

ダウンロードはこちらから

『Dujanah』

例えば、そう例えば。
物語開始5分で「ズンダバダバ」というスキャット音を上げながら歩くロボットの存在を前にして、あなたは自分を疑わずにいられるだろうか?筆者は疑った。
 
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『Dujanah』は英国のJack-Spooner King氏の開発による、粘土で表現された世界を探索する”クレイ・パンク”アドベンチャーゲーム。おそらくは2017年で「異彩」という言葉が一番ふさわしい作品として、本作の事に触れておかねばならない。

舞台となるのは軍の支配に覆われたある砂漠の国。主人公の女性Dujanah(デュアーナ)は失踪した夫と娘を探すため、時にはバイクや採掘用ロボットを乗りこなしながらいくつもの砂漠を越え、サンドワームや蜘蛛人間との会遇、精神世界の探索など奇妙な冒険を繰り広げる。
 
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目まぐるしく押し寄せてくる映像と演出、ノイズ、音使いの中に、戦火の下に潜む病理とジレンマ、死生観が描かれていく。非常に形容しがたい作品だが、それ故に、これまでに見たことが無いような何かを見たいという人にはこのうえない一作になるだろう。

(真野 崇)

タイトル:Dujanah
制作者:Jack-Spooner King
クリア時間:3時間~
対応OS:Windows , Macintosh, Linux
価格:£6.98 (約¥1,050)

ダウンロードはこちらから
(itch.io) https://jackspinoza.itch.io/dujanah
(Steam)

『星の王女さま』

フリーゲーム『星の王女さま』は、年始めに少しだけ長めのRPGをしたいという方にオススメです。全編手描きの背景のアートワークによって描かれるのは、絵本や童話のような幻想的な世界観、そして少女たちが出会いと別れを繰り返しながら世界を救おうとする王道の物語です。

死者の魂が辿り着く世界に迷い込んだ普通の女子高生のサツキは、お菓子の星の王女マリナと出会います。そこは月の王女によって人々が苦しむ世界であり、マリナは王女の力を集めて戦いを挑もうとしていました。元の世界に戻れないサツキは、不安を払拭するためマリナの旅に同行します。
 
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様々な星を渡る冒険で描かれるのは、詩や哲学のようなテキストと、時に切ないストーリーです。一方で少女たちが活き活きと繰り広げるコミカルな会話劇は、長い旅路に華を添えてくれます。それぞれが自分と向き合いながら成長していく姿からは、青春のような爽やかさと熱さが伝わってきます。
 
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戦闘や育成も本格的な内容です。サイドビューターンバトルを採用した本作では、ドットのキャラクターたちが技や魔法を使いまくるド派手な戦いが繰り広げられます。一筋縄ではいかない敵も多く、彼らに打ち勝つための様々な戦術を組むことも出来ます。キャラごとの必殺技を放つオーバードライブ、タイミングを読んで必殺技を奪い合うシェアドライブ、場の属性を変えて有利にするフィールドエーテルなど、上手く使えば敵を圧倒することも。習得したスキルを自由に付け替えることもでき、自分だけのパーティを作れる育成の楽しさもあります。

物語もバトルも骨太な本作。彼女たちの旅路の果てに待つものを、ぜひあなたの手で見届けてください。

(ノンジャンル人生)

タイトル:『星の王女さま』
制作者:haco
クリア時間:10~15時間程
対応OS:Windows XP/Vista/7/8/10
価格:無料

ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/15944

『少女は裏山へ薬草をとりに』

RPGと言えば立ち塞がる敵と何度も戦いながらゲームを進めていくのが一般的です。悪しき魔王に挑む物語も、帝国の野望を打ち砕く物語も、その多くは戦闘の繰り返しによって成り立っています。

しかし本作『少女は裏山へ薬草をとりに』で用意されている戦闘はたった一回のみ。しかもプレイヤーが目指す結末次第では、その一戦に全力で何時間も挑み続けることになります。
 
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本作の主人公オリビアは、病気で死の淵を彷徨う妹を助けるために裏山に生えている薬草を探しに行きます。しかし冬の雪山には熊が出没しており、普通の少女がそのまま太刀打ち出来るほど弱くはありません。彼女が出来る選択は、誰かに手助けをしてもらうこと、近くの街で装備などを整えることですが、妹が息を引き取るまでのタイムリミットがあり、一刻の猶予を争う状態です。
 
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このゲームの戦闘では誰かが行動するたびに1分が経過します。つまりターン数がかかればかかるほど、病状が悪化するのです。熊をいかに早く撃破するためには、装備の取捨選択や戦闘中に溜まっていくSPを使った必殺技が不可欠。戦闘中にはクリティカルヒットや回避などのランダム要素が一切入らないので、計算した上でのスキルの使用が求められます。

妹を救うためにはどうすればいいか。誰に助けを求め、何を装備すればいいのか。どう行動すれば勝つことが出来るのか。将棋のように一手一手を考えなくてはならず、プレイヤーは頭を悩ませるでしょう。しかし厳しい試行錯誤の戦いの先には、それに見合うだけの結末が待っています。

(ノンジャンル人生)

タイトル:少女は裏山へ薬草をとりに
制作者:かげろう
クリア時間:5分~勝つまで
対応OS:Windows XP/Vista/7/8/10
価格:無料

ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/14702

『アンダーグラウンドヒーロー』

システムに凝ったRPGを好む者として2017年も多くの良作に触れてきたが、その観点で是非とも語っておきたいゲームが短編RPG『アンダーグラウンドヒーロー』だ。

見どころはなんといっても、独自性の高い戦闘とキャラクターカスタマイズ。戦闘は行動力が溜まったキャラクターから順に行動力を消費してコマンドを実行するCTB方式だが、クリティカルの仕様がユニークで、クリティカルが発生するかどうかはランダムだが、攻撃後の判定ではなく「次に攻撃するとクリティカルになる」のが事前にわかる。クリティカルで追加効果が発揮されるスキルなどもあり、チャンスをどう活かすかが重要な戦術要素となっている。
 
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キャラクターカスタマイズの面では、多数存在するパラメータの把握もポイント。「ATK」「DEF」「MAG」「SPD」あたりは初見でおおむね理解できるが、見たこともないようなパラメータもかなりある。最初は戸惑うかもしれないが、たとえば「RDM(Reduce Damage)」はDEF(防御力)と別に存在する「ガード時にダメージを軽減できる割合」であるという点や、コマンド実行で消費する行動力の基本値が敵を対象とした行動と味方を対象とした行動で異なる点などを理解すると、パーティ内での役割分担を考えたりするのがぐっと楽しくなってくる。

こうした独自仕様を把握し、性能に癖のある装備品を選んだり、キャラクターごとに特徴的なアクティブ・パッシブスキルを自由に習得していくことで、自分だけの戦闘スタイルを構築していくのが本作の醍醐味。少々とっつきにくい面があるのは否めないが、戦闘中も含め、現在の画面に重ねるようにして表示できるヘルプもあるので、少しずつ理解していけるようになっている。

ゲームクリアに必須ではない強敵なども存在し、「凝ったシステムを活用して戦術を組み立てるのはやっぱり楽しい!」と改めて実感することができた作品。シナリオは要所要所に挟まれる回想がメインでコンパクトにまとまりつつも印象深く、とくにラスボス戦でのとある演出は物語とシステムが一体となって心を強く揺さぶるものとなっている。難易度も複数用意されているので、まずは気軽に触れてみてほしい。
 
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(中村 友次郎)

タイトル:アンダーグラウンドヒーロー
制作者:霜月六
クリア時間:3時間前後
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
http://www.silversecond.com/WolfRPGEditor/Contest/result09.shtml#63

紹介記事:
第9回ウディコンで発見!独自システムが光るフリゲ短編RPG2選『アンダーグラウンドヒーロー』『S-Witch♭』

『ファントムルーラー』

長編RPGで印象深かった作品としては『ファントムルーラー』を挙げておきたい。二転三転する展開など、とくにシナリオ面に惹かれた作品だ。システムもなかなかに凝っているが、プラスとマイナスの概念がある魔法属性の仕組みやピンチの際に発動できる必殺技など、ゲームシステムによって世界観や熱い展開を演出しているのが大きな魅力となっている。

物語の舞台は300年前に滅びかけたが、残った国々では人々がひとまず平和に暮らしている世界。とある事件により城から連れ出された王女「アーネ」が、さまざまな出逢いを経て成長していく……という展開は王道だが、物語が進むとアーネや彼女を取り巻く人々の、それまでの印象を覆すような一面も見えてくる。綺麗なものだけではない生々しい人の心に触れていく、ドラマティックなシナリオが本作の大きな見どころだ。
 
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中盤以降は絶望的で重苦しい展開も続くが、苦悩しつつも困難に立ち向かい、自らや救うべき人の業と向き合っていくアーネの姿には胸を打たれる。また、魔法やパッシブスキルが多数用意され、戦闘の面でも彼女の成長を実感できるのがRPGとして嬉しいところだ。表情差分が豊富なキャラクターイラストに、サイドビューバトルでのモーションやイベントシーンにおける細かい仕草を描き出すドットグラフィック、必殺技のカットインなど、ビジュアル面の演出も際立っている。
 
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なお本作について、「未完」「続編ありき」という評価が若干みられるので、この機会に私見を述べておきたい。本作はアーネの成長譚と、数百年にわたり人類を脅かす存在に立ち向かう人々の壮大な戦いが絡み合うような物語となっている。なにをもって完結とするかは「完結」の定義にもよるため難しいが、少なくとも前者について消化不良になるようなことはなく、後者についても大きな区切りが付けられる。続編については制作が告知されており、こちらももちろん楽しみだが、本作だけでも独立した作品としてゲームクリアの充足感をしっかりと得られる作品であると、自信を持ってお勧めしたい。

(中村 友次郎)

タイトル:ファントムルーラー
制作者:KOU
クリア時間:15時間~
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
http://vxphantom.iza-yoi.net/

『雪子の国』

2014年にリリースされ、第10回ふりーむ!ゲームコンテストにて最優秀賞を受賞したフリーノベルゲーム『キリンの国』。その続編『雪子の国』が、今夏に開催された「コミックマーケット92」にて同人ゲームとして頒布された。現在はダウンロード販売が行われており、体験版もダウンロード可能。
 
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『雪子の国』は、天狗の存在する架空の現代日本という世界観で描かれる「国シリーズ」の第3弾。国シリーズはその独特の世界観と、生き生きと描かれるキャラクター達が魅力となっている。食事や生業といった日々の生活の描写や、テンポがよく、それでいて理路整然としすぎていない「ナマっぽい」会話の掛け合い、そしてキャラクター達の視点を通して描かれるみずみずしい情景描写が持ち味だ。

『雪子の国』でもそれは健在で、加えて本作では公式ジャンル名において「青春ハートフルラブコメディ」が謳われているのが過去作にはない特徴だ。舞台は本州最西端にある風光明媚な地方城下町。東京から来た少年「ハルタ」と天狗の少女「雪子」が出会い、この二人を中心に物語が展開していくのだが、この雪子がとにかく可愛いく、いじらしい。ハルタに対して意地を張ったり、頑張って気を引いてみたり、気持ちのすれ違いに悩んだり、恋する女性のしたたかさを見せたり、暴走(?)したり……。第一印象からどんどん変わっていくのが(そしてその中でも変わらない芯があるのが)魅力なのである意味ネタバレになってしまうはご容赦いただきたいが、序盤をプレイして感じた「この二人で果たしてラブコメになるのだろうか」という印象はいい意味で裏切られた。これでもかというくらいラブコメしてました

もちろんヒューマンドラマ的な面も充実。とくにハルタの友人となったある少年とその家族の物語は、壮絶でありつつ胸が温まる、時代を超えて交わされる人の情を感じるものとなっており、演出も含め本作の山場の一つと言えるだろう。また、ハルタ達が街で起きる怪奇事件の謎を追い、雪子がときに天狗としての力を振るう、伝奇ミステリーとしても読み応えのある作品となっている。
 
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(中村 友次郎)

タイトル:雪子の国
制作者:スタジオ・おま~じゅ
クリア時間:約10時間
対応OS:Windows
価格:2,000円(BOOTH)、2,268円(DLsite.com)

ダウンロードはこちらから
http://hommage.main.jp/

関連記事:
ノベルゲーム『雪子の国』ダウンロード販売開始。ふりーむ!ゲームコンテスト最優秀賞受賞作『キリンの国』続編

『虚構英雄ジンガイア』

2013年冬のコミックマーケットでプロローグ版が頒布され、以降連作として順次リリースされてきた同人ノベルゲーム。コミックマーケット92にてついに最終章となる『虚構英雄ジンガイア FINAL』が頒布され完結した。全編通してのプレイ時間は20~30時間程度、テキスト100万文字程度という大作となっている。

本作の主人公は、二児の父である「神原英雄」。妻や子供達と幸せな生活を送っていた英雄だが、あるとき突然、彼を取り巻く世界は怪獣の蠢く、廃墟のような謎の世界となってしまう。そこで彼を救ったのは、幼い頃から憧れていたヒーローのような巨大ロボット。しかしロボットとパイロットの正体が明かされたとき、英雄はそれが希望ではなく新たな絶望の始まりであることを知るのだった——。
 
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本作の見どころは多岐に渡るが、まず注目したいのは多数の登場人物達だ。謎の世界には英雄のほかにも多くの人々が囚われており、ときに争い、ときに協力しながら絶望的な状況に抗っていく。英雄以外の視点で描かれる場面も多く、物語が多面的に照らし出されていくのも特徴。それぞれの人物のバックグラウンドとなる過去が、その人生の軌跡を追うようにボリュームを割いて描かれることもあり、群像劇としても充実した内容となっている。

また、SFとオカルトが融合したような独自の理論をもって作品世界が構築されており、突拍子が無いと感じていた描写について、読み進めていくうちにどんどんロジックが明かされていくのも知的興奮を喚起する。数年かけて順次リリースされた連作という形式であるにも関わらず、伏線の回収ぶりが絶妙で隙が無い点も感嘆せざるを得ない。
 
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このボリュームだからこそ描ける、どこまで行っても先が見通せないスケールの大きい物語も魅力。「ここが絶望の底か」と思ったらまだ床が抜ける、という体験を何度も味わうこととなった。そんな世界で懸命に生き抜く人々の姿も胸が熱くなるものばかりで、異能バトル的な面も含め、さままな観点における「ヒーロー」を描いた物語でもある。圧倒的な情報量で人と世界を語り尽くす、没入感の高い作品だ。

なお本作はこれまで同人イベントでのパッケージ頒布のみ行われており、現行バージョンの頒布は先日開催のコミックマーケット93をもって終了した。ネタバレになるため詳細は伏せるが、この頒布形式であることが物語においても意味を持つ。Steamで国産ゲームがリリースされるのが日常となり、同人ゲームの頒布もダウンロード方式の存在感が増している中で、パッケージを買ってきてプレイするという行為を物語演出に組み込んでいるという意味でも、本作は現代における「同人ゲーム」という媒体の到達点のひとつと言えるかもしれない

とはいえ広くプレイされてほしい作品であることも間違いないのが悩ましいところだが、制作元のブログ記事によると今後、上述したような頒布形態に関わる内容を少しだけ変えた上で、より手に取りやすい形で頒布される見込みもあるようだ。体験版は現在もダウンロード可能なので、そちらで本作の片鱗に触れつつ、先が気になった方は今後の頒布情報に注目してほしい。

(中村 友次郎)

タイトル:虚構英雄ジンガイア
制作者:ばかすか
クリア時間:20~30時間程度
対応OS:Windows
価格:500円(現行バージョンのイベント頒布価格)

作品情報はこちらから
http://bakasuka.boy.jp/

体験版ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/11832

『20XX』

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ロックマンシリーズを愛するクリエーターが、自ら作り上げたMagaman-likeゲーム。それが『20XX』だ。4年というインディゲームとしては長い開発期間を経て、2017年に完成に至った。長らくSteam早期アクセスで頑張っていた作品だけに、非常に感慨深い。

『20XX』はアメリカはメリーランド州に拠点を置くBatterystaple GamesとFire Hose Gamesが開発した2Dアクションゲームだ。ステージのプロシージャル生成、ローグライク要素、オンラインマルチ、これらを実現した夢のMagamanを作り上げよう!という当初の目標を長い年月をかけすべて実装。無限に遊べるアクションゲームとして磨き上げられた、ロックマン愛とゲームへの情熱を感じる作品である。
 
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ステージクリア型の2Dアクションゲームで、雑魚を退けステージ奥に待ち構えるボスを撃破して先へと進んでいく。だが、ステージ構成とボスはステージクリアを重なるごとに、より過酷で、より凶悪なものへと変わっていく。道中に手に入るアップグレードアイテムを集め、吟味し、こちらもさらに強くなって戦いに望まなければならない。攻撃力重視でいくか、スピード重視でいくか、はたまた特殊武器重視という選択肢もある。アップグレードアイテムによって変わる戦術が非常に面白い。

もちろん一人で遊ぶだけでも面白いがマルチプレイも非常に楽しい。デイリーチャレンジなどやりこみ要素も用意されている。2Dアクションゲーム好きは挑戦してもらいたい。

参考記事:
ロックマンファンが作り上げた2Dアクション『20XX』で世界を救え!

(洋ナシ)

タイトル:『20XX』
制作者:Batterystaple Games(制作者様サイトはこちら)
Fire Hose Games (制作者様サイトはこちら)
クリア時間:クリアまで6時間~10時間程度
対応OS:Windows XP以上
価格:1,480円

購入はこちらから

『Battle Chef Brigade』

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その昔世界が邪悪な魔物で覆い尽くされたとき、貴重な作物と家畜が食い荒らされ人類は飢饉に苦しみました。ですが、そんな絶望に立ち向かい、なんと魔物を調理し極上の料理へと変えようとするものが現れたのです。彼らはそう、バトルシェフ。そして、それらを束ねる世界最高のバトルシェフ軍団、バトルシェフ・ブリゲードだったのです。彼らの登場により、世界は幸福と満腹を取り戻しました。彼らは今もなお私たちの平和と胃袋を守っています。
 
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そして、今年も新たなるバトルシェフ・ブリゲードのメンバーを集う料理大会が開かれようとしています。今年はいかなる新しい才能と巡り合うことができるのでしょうか。

こんな語り口から始まる『Battle Chef Brigade』アメリカはシカゴを拠点とするインディディベロッパーTrinket Studiosが開発したアクション&パズルゲームだ。料理人がモンスターを自ら狩り、調理をする。そして、料理人同士が最高の一皿をもって戦う。なんともマンガチックで、魅力的な世界観である。プレーヤーは主人公であるバトルシェフ「鉄の胃袋」ミナ・ハンを操り、バトルシェフ・ブリゲードのメンバー、ブリゲーダーを目指し大会を戦い抜いていく。
 
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本作のメインとなる料理バトルは2Dアクションであるハントパートとマッチングパズルであるクッキングパートに分かれており、これがシームレスに組み合わさっているところが非常に面白い。まず必要な食材を2Dアクションで狩ってまわり、集めた食材をマッチングパズルの要領で調理していく。食材が足りなくなったらキッチンを飛び出してまた食材を集め、制限時間いっぱいまで料理の完成度を高めていく。

料理バトル毎にテーマ食材と審査員の好みが設定され、これらをいかにしてクリアし点数を高めるか。プレーヤーは頭をひねることとなる。ハントパート、クッキングパートはそれぞれを見るとそこまで難易度は高くないが、これが合わさり、課題と時間制限が加わってくることによってプレーヤーを悩ませ、楽しませる壁となってくる。カジュアルではあるもの、やりがいを感じさせるゲームだ。
 
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また、それを描くアートデザインもまたすばらしい。鉛筆の粗さが見える柔らかな線と豊かな色彩で表現された世界観は暖かく、美しい。本作はクラウドファンディングサイトKickstarterにおいて資金調達を図った作品であるが、ファンタジー料理バトルという魅力的な世界観と美しいアートデザインが成功を引き寄せたといえるだろう。

Steamだけでなく、Nintendo Switchでもリリースされている本作。ぜひともプレイして、料理の高みを目指してほしい。Vive la Brigade!!

(洋ナシ)

タイトル:『Battle Chef Brigade』
制作者:Trinket Studios(制作者様サイトはこちら
クリア時間:7時間程度
対応OS・機種:Windows 7以上・MacOS 10.8以上・Nintendo Switch
価格:Steam 2050円 Nintendo e Shop 2100円

購入はこちらから

https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000003083

『Drifting Lands』

『Drifting Lands』はフランスのインディディベロッパーAlkemiが開発した横スクロールシューティングRPGだ。Steam早期アクセスにて開発が進められ、昨年6月に完成へと至った。日本語が実装されておらず、なかなか日本人の目に触れていない作品ではあるが、シューティングゲーム好きの多い日本人ならきっと目を引くタイトルであろう。
 
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本作は横スクロールシューティングゲームに、なんと『Diablo』シリーズなどに代表されるハックアンドスラッシュの要素をミックスしてしまった!ステージでクリアしていく点は一般的なシューティングゲームと大きな違いはないが、このステージを何度もプレイしアイテムと資金を集め、自身の操作する機体を強化していくことが本作のメインとなるところが独特だ。

遠い昔爆発し、バラバラになった星のかけらが無数に宙を漂う惑星。かろうじて星の爆発を生き残った人類は残された資源を争い、日夜戦いを繰り返している。そんな過酷な世界を舞台に、プレイヤーは世界を放浪する集団アークのパイロットとなり、危険な戦いへと駆り出されることとなる。

プレイヤーの登場する戦闘機は、スピードがあるが耐久力に欠けるもの、耐久力重視で遅い機体、そして間を取ったバランスタイプの3種類があり、ここから好きなタイプをチョイスして激戦をくぐり抜けていく。もちろん、複数の機体を乗り回し、ステージに合わせて戦術を変えることも可能だ。
 
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耐久……というところで気づいた方もいるだろうが本作はHP制を採用したシューティングゲームだ。一発当たるとやられてしまうあの緊張感は存在しない。しかも、事前に選んだ4つのスキルを戦闘中使うことができ、HP回復や弾薬をかき消すボム、時間の流れを遅くするバレットタイムといった強力なスキルを繰り返し使うことができる。

だが、簡単かと言われればそうではない。当然敵はこのスキルをプレイヤーが使ってくること前提で設定されているため、避けられないレベルで弾をバラバラとばらまいてくるし、最初のうちは敵も非常に硬い。ドッカンドッカン敵を倒して生存権を確保することもままならない。そして、スキルのセッティングによってはやられてしまった機体は墜落し失われてしまう。なんとか脱出に成功した場合も、パーツによっては破損してしまうものも存在する。過酷な環境を反映した過酷な設定だ。(フルリリース時、ロストしないモードも追加されたので安心)
 
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だからこそ、機体の性能アップとスキルのセットアップが非常に重要なのだ。お金で機体の基礎能力を高め、パーツでステータスをアップさせる。強くなった機体は今まであんなに固かった敵を一撃で倒し、敵の攻撃をもろともしなくなる。スキルの組み合わせで、難しいステージに対処することもできる。ビルドを組み立てることがこのゲームの攻略の鍵であり、最も楽しいところなのだ。なかでも、レジェンダリーパーツは機体に特別な力を与えてくれる。バレットタイム時に自分だけ通常速度で移動、回復チャージ速度を超高速化。より強いビルドで、より危険なミッションに挑め!

いきなりボッコンボッコン敵を倒す爽快感は強化しないと楽しめないし、一撃で死ぬ危険な弾幕をかいくぐるスリルは確かにない。だが、シューティングゲームの良さとルーティングの楽しさをうまく組み合わせており、ロストの危険を用意することでSTGらしいスリルを演出している。

シューティングが苦手な人は耐久ビルドで行けば楽しめるしロストなしモードならストレスもない。スリルがほしいぜ!というジャンキーには、デメリットに「撃墜時、セーブデータ消去」なんていうやばいパーツも存在する。多くの人が楽しめるようになっているのも、ハクスラを取り入れた利点だろう。シューティングゲームが好きな方も、シューティングゲームがちょっと苦手という方も、ぜひ遊んでみてほしい。

(洋ナシ)

タイトル:『Drifting Lands』
制作者:Alkemi(制作者様サイトはこちら
クリア時間:15時間前後(ストーリー終了まで)
対応OS:Windows 7以上・Mac OS X Snow Leopard以上
価格:1880円

購入はこちらから

『OneShot』

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『OneShot』は、2016年12月にSteamにてリリースされたパズルアドベンチャー。翌年の2017年9月に日本語対応を果たしたことで、日本ユーザーの間にもその名が知れ渡った。

物語の舞台となるのは、太陽が失われ闇が広がりゆく世界。ゆっくりと崩壊していくその世界の中心へ、新たな太陽を届ける使命を与えられた救世主「ニコ」の旅路を描く。
ニコは別の世界から迷い込んだ子供で、太陽を届けて人々を救うことが自分の家へと帰れる唯一の方法だと信じている。それを導けるのはプレイヤーである貴方しかいない。
 
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本作最大の特徴は、その構造にある。マップを探索しアイテムを手に入れ適切な方法で使用し進行させていくオーソドックスな謎解きの最中にも、文字通りプレイヤーの意表を突く驚くべきギミックが練り込まれている。ゲームを中断する行為にさえ意味があるのだ。それらは単なるゲームシステムとしてではなく、同じ時間、同じ空間を共有するニコとプレイヤーを繋ぐ役割を担っている。

本作をプレイしたユーザーの多くは自主的にその内容の一切を話そうとしないが、それはレビューなどで彼の『Undertale』の名前がよく挙げられることからも分かるように、事前知識なくプレイした際のインパクトが大きいと判断されたが故だろう。

このゲームのタイトルである“OneShot”とは「一度きり」という意味である。

ゲームとプレイヤー、その関係性に一歩踏み込んだ作品であり、少なくとも長年ゲームを遊び続けてきた筆者にとって節目とも言える出会いだった。この真意が知りたいと思ったのなら、是非とも手に取り、そして「最後の最後」までプレイして頂きたい。

それとは関係なく、ニコの愛らしさにハートを射抜かれたという単純な動機でもいいのだけれど。

(ロッズ)

タイトル:『OneShot』
製作者:Little Cat Feet
クリア時間:約5時間~
対応OS:Windows Vista or later
価格:980円

購入はこちらから

『Cuphead』

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『Cuphead』はカナダの独立系スタジオ「Studio MDHR」が7年の歳月を費やして完成させた、シューティング要素強めの横スクロールアクションゲーム。2014年の「Electronic Entertainment Expo(通称:E3)」にて鮮烈なデビューを飾りながら、その後、何度も延期を繰り返していた本作だが、昨年、Xbox One / PC用ソフトとしてリリースされた。
 
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1930年代のディズニー作品などを髣髴とさせる、ホコリとノイズまで表現したカートゥーンそのものなグラフィック、一瞬のミスが命取りになる高い難易度を売りとし、特に後者はセンセーショナルな表現と共に様々なメディアで、発売前からその恐ろしさが伝えられてきた。

しかし、蓋を開けてみれば、そこにあったのは公平性を尊重した適切な高難易度。難しくはあるが、「理不尽」などと評するのは非常に失礼千万な、トライ&エラーの醍醐味を押さえたバランスで全編まとまっていた。一瞬だけ無敵になるダッシュなどの救済措置も豊富で、ゲームオーバー時にはプレイヤーがどこまでボスを追い詰めたか(ステージを進んだか)の進捗率が表示されるという、攻略へのモチベーションを殺がない為の秀逸な工夫が凝らされている。

本作の内容の8割を占めるボス戦も個体数の多さもさることながら、使い回し皆無、決まって容姿が変わる仕掛けを宿しているのはもはや狂気の産物。ジャズ調の音楽もカートゥーンなグラフィックと相性抜群で、高い難易度も相まって、プレイヤーの記憶にザクザクと刻み込まれる。
 
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アクションゲームが好きなプレイヤーならば、挑戦して然るべき傑作。80年代後期から90年代初期のアクションゲームを髣髴とさせる黄金期の手応えを堪能してみて頂きたい。
2018年も日本語対応アップデートなどの話題が控えているので、今から遊んでも遅くはない。

(シェループ)

タイトル:Cuphead(カップヘッド)
制作者:Studio MDHR
クリア時間:5~8時間(※やり込み要素のコンプリートを除く)
難易度:上級者向け(※アクションゲーム初心者、苦手とする人は要注意)
対応OS:Xbox One、PC(Windows)
価格:¥2350(Xbox One版)、¥1980(PC版)

購入はこちらから

※Xbox One版
https://www.microsoft.com/ja-jp/store/p/cuphead/9njrx71m5x9p

※PC(Windows)版

紹介記事:
1930年代のカートゥーンと1980年代のアクションゲームへの狂気に等しい愛情に溢れた大作『Cuphead』

『Bleed 2』

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2017年は数多くの著名なシリーズ作品の続編が発売されたが、そのどれもが過去作から大きく一新したゲームシステムなどでプレイヤーからの圧倒的な支持を得た。
本作『Bleed 2』もそんな前作からの一新ぶりが異彩を放つ作品だ。
 
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カナダ・トロント在住の個人開発者Ian Campbell氏(BOOTDISK REVOLUTION)によって制作された前作『Bleed』は、シューティング要素強めのステージクリア型アクションゲームで、2012年にXbox Liveのインディーズゲームとしてリリース。2013年にSteamなどでPC版も販売された。

本作はその続編で、銃火器と周囲の時間を遅くする「バレットタイム」を活用し、迫りくる敵とボス達を蹴散らしていくゲームデザインはそのままに、近接武器「ソード」をデフォルト装備に追加。併せて敵の攻撃などを跳ね返してダメージを与える「カウンターアタック」を追加し、より一層激しい立ち回りを演じていけるようになった。ステージも攻撃の多様化を鑑みて敵配置、ボスの攻撃バリエーションを増強。

演出面も特に爆発表現が派手になり、質感ある重々しい効果音も相まって前作以上の爽快感が堪能できるように。音楽もメタル全開の暴力的に熱い楽曲中心の構成になり、ステージ上で繰り広げられる激しい戦闘を盛り上げてくれる。

取っ付き易いゲームシステムと独特な操作性はそのままに、著しい進化を遂げた本作。2017年に発売されたシューティング要素の強いアクションゲームでは、先述の『Cuphead』と肩を並べる傑作であり、5年ぶりの続編であるが故の変化を大いに実感させられる作品に完成されている。ストーリーは前作の続きだが、基本的にはゲーム勝負の内容なので、未プレイでも大丈夫。
 
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ただ、進化具合に驚きたいなら、前作を遊んでからプレイしてみて欲しい。
筆者もそちらをおすすめする。(ちなみに前作『Bleed』も自信を持っておすすめできる良作だ。)

(シェループ)

タイトル:Bleed 2
制作者:Ian Campbell(BOOTDISK REVOLUTION)
クリア時間:1~2時間(※やり込み要素のコンプリートを除く)
難易度:中級~上級者向け(※難易度選択機能あり)
対応OS:PC(Windows、Mac、Linux)
価格:¥980(PC版)

購入はこちらから

※PC版(Windows、Mac、Linux)

『マリィと賢者の森』

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悩みが付きものの魔法少女を主人公に据えた『マリィと賢者の森』は、個人開発者しのゆ氏による短編シミュレーションRPG。サファイアソフトの『SRPG Stduio』で制作された作品で、2017年10月8日にフリーゲームとして公開された。
 
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内容は正統派のターン制シミュレーションRPGだが、主人公とパートナー以外のユニットを少ない資金をやりくりして雇用し、部隊を編成していくという、プレイヤーの選択次第でその後の難易度と戦略が変化するシステムが特徴。

短編だけにエンディングまで2~3時間程度と短いが、このシステムによって周回プレイが楽しい作りになっていて、バリエーション豊かな攻略を楽しめる。有償の素材を用いて表現されたマップのビジュアルも神秘的な森の雰囲気を見事に表現しているほか、パートナーのクリュセイスを始め、ストーリーを彩るキャラクター達も個性豊か。雇用するユニットにも一部、おかしなメンツが紛れ込んでいて、軽妙なテキストと知る人ぞ知るネタで楽しませてくれる。
 
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難易度も「かんたん」と「ふつう」の二種類が選択可能。エンディングを目指すだけなら難しくはないが、雇ったユニットの全員生存を目指すと結構な歯応えがあり、熟練のプレイヤーなら唸ること請け合い。数にして5つだけだが、マップの作りもしっかりしていて、短めながら、シミュレーションRPGの「戦術・戦略を練る楽しさ」、「キャラクターを育成する楽しさ」、そして「限られた選択肢を選ぶもどかしさ」をしっかりと味わえる作品。初心者から上級者まで幅広くおすすめできる良作だ。

(シェループ)

タイトル:マリィと賢者の森
制作者:しのゆ(Planetarium)
クリア時間: 2~3時間(※難易度「やさしい」であれば更に短縮可)
難易度:初級~上級者向け(※上級者は難易度「ふつう」推奨)
備考:一部イベントにおいて、暴力・出血表現あり
対応OS: PC(Windows)
価格: 無料

ダウンロードはこちらから
※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/15949

紹介記事:
短編フリゲSRPG『マリィと賢者の森』 “何かが足りない魔法少女”と“ヘンテコ仮面精霊”の悩める旅路

『Sundered』

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結論から言う。『Sundered』はおすすめできないゲームだ。しかし、とある性癖をお持ちの方、それに対する理解を深めたい好奇心を持つ”怖いもの知らず”におすすめできるゲームである。
 
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『Jotun(ヨトゥン) ヴァルハラ版』を手掛けたインディースタジオ「Thunder Lotus Games」の新作で、名状しがたき魔物が跋扈する洞窟を駆け巡る探索型アクションRPGたる本作の特徴は「数の暴力」。マップを探索していると突如、一度に相手にするのも困難な敵の大群が現れ、プレイヤーで主人公の女性戦士「エシ」を押し潰そうと言わんばかりの破竹の勢いで襲い掛かってくる。

力に乏しい序盤は襲撃に翻弄されがちだが、「スキル」の獲得、敵や財宝から手に入れられる「シャード」を拠点にある「トラペゾロンの樹」に捧げ、ステータス強化を図っていくことで軍勢を押し退けられるようになっていく。そして、彼らに対する恐怖も、次第に更なる「シャード」が獲得できるようになっていく恩恵から「かかって来いやーッ!」と抵抗できるようになり、最終的にはマゾ(M)の真理が明らかとなって、その性癖ゆえの醍醐味をプレイヤー自身が理解することになるのだ。
 
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以上のように本作はマゾのマゾによるマゾのための作品である。
ゆえに真性なるものをお持ちの御方に限り、おすすめできる。
 

お持ちでない御方も、真理を知りたい好奇心があるなら、この蹂躙地獄に挑む価値はある。
全編手描きによるアニメ調のグラフィック、クトゥルフ神話をモチーフにした世界観、お試し感覚から穢れる本番まで楽しめる三種類の難易度と言った魅力も多く持つ、尖り過ぎた怪作。端から万人向けに作られていない、インディーゲームの真理とマゾの深淵を覗いてみよう。

そして、死に物狂いで抵抗せよ。あるいは、成すがままに受け入れよ。

(シェループ)

タイトル:Sundered(サンダード)
制作者:Thunder Lotus Studio
クリア時間:20~25時間(※3周時:65~75時間)
難易度:M(マゾ)向け(※難易度選択機能有り)
対応OS:PlayStation 4、PC(Windows、Mac、Linux)
価格:¥1999(PlayStation 4版)、¥1980(PC版)

購入はこちらから

※PlayStation 4版
https://store.playstation.com/ja-jp/product/UP2388-CUSA07282_00-JPPS400000000001

※PC版(Windows、Mac、Linux)

『ドウクツジマ』

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『ドウクツジマ』は、スマイルブーム株式会社よりニンテンドー3DSダウンロードソフトとして販売されているプログラミングツール『プチコン3号』で制作された探索アクションゲームで、同タイトルのコンテスト「第四回プチコン大喜利」で自由部門大賞を獲得した作品。
 
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2017年5月、それがニンテンドー3DS用ダウンロードソフトとして商品化された。

制作したのは個人開発者のPUSH氏(ぷわっとX)とその御子息。まさに親子の手によって誕生したゲームで、それが一つの商品として一般販売されたというだけでも「ドリームズカムトゥルー」だ。ゲームもコンパクトながら、拠点から本舞台の洞窟に潜り、セーブもコンティニューもできない状況で探索を繰り広げていく(※セーブは拠点にある城で行える)「素潜り感」を押し出した作りで、どこまで進め、どこで撤退するかを考えながら進めていくのが楽しい。アップデートアイテムの習得によって、徐々に行動範囲が広がっていく楽しさと嬉しさを詰め込んだマップデザインも素晴らしく、エリアごとに特徴的なギミックも仕込むなど、個性付けもしっかりしている。
 
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今時珍しい「デアール」の口調で話す島の主など、キャラクターとその台詞回しも読んでてクスッとさせられるものになっているほか、難易度も優し過ぎず難し過ぎずのバランスで、遊んでいて心地良い。一つの探索アクションゲームとしても完成度が高く、なるほど大賞を獲るのも分かると唸らされる逸品。お値段も300円と手頃なほか、エンディングまで2~3時間程度と気軽に遊べるので、探索アクションゲーム好きはプレイしてみて欲しい。同ジャンルの入門編としても最適だ。

(シェループ)

タイトル:ドウクツジマ
制作者:ぷわっとX
クリア時間:2~3時間
難易度:初級~上級者向け
対応OS:ニンテンドー3DS
価格:¥300

購入はこちらから
https://www.nintendo.co.jp/titles/50010000042595

  • シェループ(@shelloop

    様々なゲームに手を伸ばしたがる人。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションを与えると喜びます。

    Webサイト:box sentence

  • ノンジャンル人生(@nongenre_zinsei

    普段からRPGの考察と『メイジの転生録』の話ばかりしている人です。2016年にはもぐらゲームスにて連載「フリーゲームをはじめよう。」を寄稿し、近年はVR・VTuberの記事なども執筆しました。noteでは「一期崎火雀」名義でゲーム関連のコラムを書いています。

    自身もRPGを制作中。

    note:一期崎火雀(ノンジャンル人生)

  • ロッズ(@rods_skyfish

    広く、浅く、ゲームを楽しむ人。守備範囲が広いため毎日のように積みゲーが増えて、最近は嬉しい悲鳴が断末魔に変わってきた。面白いゲームが多すぎるのも困ったものですね。

  • 中村友次郎(@finalbeta

    フリーゲームと同人ゲーム、日本ファルコム作品をこよなく愛するゲーム好き。システムに凝ったRPGをとくに好んでプレイします。運営型ゲームはメギド72をPvPメインで、あとは原神など。
    過去に十数年ほど、窓の杜の連載記事「週末ゲーム」の編集と一部執筆を担当していました。

  • 洋ナシ(@younasi

    海外インディゲームの情報同人誌を作っているただのオタクですが、声をかけられゲーム記事を書くことになりました。人生何があるかわかりませんね。そういうことがあるのは、もっとこう絵がうまかったりマンガが面白かったりする人だけだと思ってました。他の執筆者の方のように輝かしい実績はありませんが、世界で初めてSurgeon Simulatorでペン回しに成功したという地味な実績があります。

    ブログ:http://tukedai.minibird.jp/blog/

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。