怖そうで怖くない、少し怖いフリーホラーゲーム特集

フリーゲームの一大ジャンルといえば、フリーホラーゲーム。『青鬼』『ゆめにっき』から始まり、『Ib』『魔女の家』『つぐのひ』『恐怖の森』などの作品などがよく知られている。これらのゲームの中には身の毛もよだつ、夜トイレに行けなくなってしまうほどのゲームもある。そうしたゲームについて、過去にもぐらゲームスでも取り上げた。

苦手な人にはおすすめしない、本当に怖いフリーホラーゲーム特集

しかし、これらのゲームは怖い。怖すぎる。「もう少しマイルドなホラーゲームも紹介してほしい」そんなニーズに答えたのが今回の記事。「怖そうで怖くない、少し怖い」と銘打って、もう少し「マイルドな怖さ」を追求するゲームプレイヤーの皆様に役立つような記事を作ることにした。「いや、これはまだ怖すぎるよ!」というタイトルもあるかもしれないが、平にご容赦いただきたい。そんなに怖いんだったら、やらなきゃいいのに……。

UTOPIA 幻想ホラーアドベンチャー

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本特集一発目は『UTOPIA 幻想ホラーアドベンチャー』。タイトルにそのまま「ホラーアドベンチャー」と入っているが、本作はそこまでホラー然とした恐怖要素は入ってこない。どちらかと言えばホラー系ADVと言うよりは「プレイヤーを驚かせる演出がスパイスとして用いられているADV」くらいの方が適切であるように思う。
本作の見所はシナリオもそうだが、個人的にはグラフィックとサウンド面を推したい。グラフィックは「豪華」「ド派手」と言った方向ではなく、海を思わせる青色に変貌した病院、そこを泳ぐ無数の白い魚たち……という神秘的な風景、統一感のある色彩が魅力だ。そんな風景の中で流れる、抑制の効いたピアノ主体のBGMも雰囲気づくりに一役買っている。
ちなみに本作のプレイタイムは30分から1時間程度と短め。DLしてすぐにプレイできることもあるので、物語に関して語ることは敢えて避けておきたい。あなたも一緒に幻想的な青の世界でうろうろしてみませんか?(水原由紀)

ダウンロード:ふりーむ!から

瞳の中のアビス

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お次はタイトルロゴが超カッコいい『瞳の中のアビス』。制作は『マジックポーション・ストーリーズ』等で知られるARTIFACTSの樹ひかり氏。「まじょ」なる存在を追い求めるうちに雪山で遭難した小説家とその恋人。二人は山小屋に駆け込み九死に一生を得るものの、そこには謎の気配が……というサスペンスじみたストーリーだ。
本作の最大の特徴はその極めて特殊なジャンル、“観測型ホラービジュアルノベル”という言葉に全て集約されている。普段我々がノベルゲームと言われてパッと思いつく作品とやや異なり、本作においては「現在主人公たちがいないはずの、すぐ近くの場所で起きていること」を垣間見ることができるシステムが搭載されている。文章で説明するのは少々まだるっこしいが、実際にプレイしてもらえれば単純明快、一発で分かるはずだ。
というわけで皆さん、一丁遭難でもしてみませんか。なあに大丈夫、「まじょ」が見つかれば、きっとあなたは助かるはずです。世界でたったひとりしか知らないはずの、大切な秘密を抱えて、ね。(水原由紀)

ダウンロード:ARTFICATS様のサイト内ページから

雨宿バス停留所

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このゲームは、『路地裏喫茶店~Le Petit Nuit~』などのフリーゲームRPGも製作している「かおる」氏によるアドベンチャー作品。過去作・本作共に、BGMが全てオリジナルの楽曲となっているのが特徴
本作はホラーゲームというジャンルではあるものの、物語としては「友情」がテーマとなっている。いじめられっ子の少女「古里 千歳(ふるさと ちとせ)」は、ある日、バスの停留所にて「見えないバス」を待つ不思議な少女「鈴鳴 小鳩(すずなり こばと)」と出会う。街の中で発生した怪奇現象に突如襲われる千歳と小鳩。そんな中、姉御肌の女の子「立花 赤音(たちばな あかね)」とも出会い、3人で恐怖に立ち向かうこととなる…。
本作は墓地、自宅、学校と場所を変え、謎を解きつつ、ゲーム画面の半分以上の大きさを持つ不気味な白い巨人などの恐怖の存在から逃げきることが目的となる。3人の少女がたどり着く物語のエンディングはいくつか存在し、怪異の体験を経て強く結ばれた彼女たちの「絆」を感じることの出来るものとなっている。ぜひプレイして確かめてみてほしい。(poroLogue)

もぐらゲームスでのレビューはこちら
フリーホラーゲーム『雨宿バス停留所』。「怖さ」だけでない「友情」を描いた物語

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オシチヤ

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本作は、『マヨヒガ』『デンシャ』『ダンス・マカブル』などの名作アドベンチャーを生み出したサークル「小麦畑」の作品。2006年に、アマチュア制作のソフトウェアコンテストである「コンテストパーク」の銅賞を受賞している。他作品のように、日本の妖怪などの民俗学的な要素が見られ、それらが好きなプレイヤーとしても楽しめるものとなっている。
ゲームの形式としては、和風の世界観をベースとした、謎解き・脱出アドベンチャーとなっている。謎の「妖怪屋敷」に突然入り込んでしまった主人公の少女が、人間に友好的な妖怪「すねこすり」と一緒に脱出を目指すのが目的だ。特徴的なシステムは、少女とすねこすりを交代して謎を解いていくという部分。それぞれ特性の異なるキャラクターのため、場面に応じて使い分けることが重要となってくる。本作はマルチエンディング形式となっており、妖怪屋敷での行動によって結末が分岐するものとなっている。1プレイ時間も2時間ほどなので、短編を楽しみたい方にはぴったりのものとなっている。(poroLogue)

ダウンロードは制作者様サイトから。

どうぶつ達の森

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まるでNintendoの某ゲームのようなタイトルの「どうぶつ達の森」。このタイトル画面を見ていただけただけでも、雰囲気は伝わるだろうか。ほのぼのホラー風探索ゲームを謳っている。
両親と仲良く暮らしている少女がいつものように森に薬草を摘みに行くと、カラスが「コワイユメヲミルゾ」と話しかけてきて…。翌日迷い込んだ不思議な森で、少女はどうぶつ達と出会う。人間を食べる肉食動物、時々現れるグロテスクな表現といった部分がホラー要素だが、それ以上に森の料理長トラや物知りのリスなどどうぶつ達の個性豊かなセリフや愛嬌のある要素にほのぼのしてしまう。ほのぼのするからこそ、4つあるエンディングのうち、トゥルーエンドをぜひ見て欲しい。森を抜けるための謎解きが億劫という人には、イージーモードも用意されているので、プレイしやすいのではないだろうか。(すんくぼ)

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獄都事変

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2014年末リンネ堂が公開したホラーアドベンチャー『獄都事変』。ニコニコ動画での実況を皮切りに、登場する「獄卒」たちの魅力的なキャラクターが人気を博している。世界観は、ほかのホラー作品と一味違って、近代日本のような異界。「獄卒」斬島は、彷徨う亡者を探して怪談の棲む廃校へ向かう。
若干のホラー描写はあるが、とにかく魅力的なのは個性的なキャラクターたち。獄卒という聞きなれない役だが、目をくりぬかれても生きていたり、いくら殴られても生きていたりと、彼ら自身が怪奇な存在。プレイするにつれて、じわりじわりとその正体を理解できるのではないだろうか。ビジュアル的には、旧日本軍の軍服のような服を着ている。精悍な若者たちだが、みな似ているようで異なる外見と性格で、不思議なかけ合いが楽しい。(すんくぼ)

もぐらゲームスでのレビューはこちら
フリーゲーム『獄都事変』。個性的な獄卒たちと亡霊のホラーアドベンチャーゲーム。

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Alice mare

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連載型のフリーゲームとして人気作品となった『LiEat』、そして新作『1bitheart』を制作中の△○□×(みわ しいば)氏による作品。童話をモチーフにしたホラー風味のアドベンチャーゲームとなっている。今年1月には小説化もされており、プレイヤーからの人気が伺える。
物語としては、記憶消失の少年「アレン」は、両親を失いとある施設へとやってきた。施設には「先生」と呼ばれる男性や、アレンと同じ境遇の子供たちがいた。施設で「ある噂」を聞いた事を発端に、アレンの前の突然現れた謎の存在「チェシャ猫」と「シロウサギ」に導かれ、奇妙な世界を冒険することになる…。
アレンが冒険することになる世界は、施設の子供たちの「心」を写したものであり、謎を解きながら世界を進むことで、子供たちの境遇が段々と分かってくるという物語構成が特徴だ。用意されたエンディングは複数あり、様々な視点から物語を読み解くことが出来る。
基本的には、謎を解いて探索を行うアドベンチャー形式だが、テトリス風のミニゲームがプレイできるなどの遊び心も込められている。本作で描かれるホラー表現も、恐ろしさを前面に押し出したものというよりかは、雰囲気を盛り上げるためのスパイスといったものなので、ホラーが苦手な人でもぜひ一度遊んでみてほしい。(poroLogue)

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月光妖怪

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「少年は、恐怖で少女を救う……」というキャッチフレーズが印象的な逆ホラーゲーム。ハクスラ風RPG『Hero and Daughters』を制作しニコニコゲームフェス4で大賞に輝いた制作者Tachi氏の前作がこの『月光妖怪』だ。幽霊となった少年が街を襲う存在から大好きな少女を守るというストーリー。少年がまる手段は「恐怖」。このゲームは通常のホラーゲームとは違う、”逆”ホラーゲーム。ターゲットを怖がらせることが目的だ。制作者の説明書きにもあるように、『倉庫番』と『タワーディフェンス』にも近い、パズル要素もあるゲームに仕上がっている。ストーリーも、設定に負けずに、かわいらしい手描き風の絵で描写されていく。笑いあり、泣けるところありのストーリーだ。
いつもホラーゲームで怖がっているあなた。たまには怖がらせる側に回ってみるのはいかが?(すんくぼ)

もぐらゲームスでのレビューはこちら
びっくりさせる快感――フリーゲーム「月光妖怪」レビュー

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黒先輩と黒屋敷の闇に迷わない

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小説化、漫画化もされているので既にご存知の方も多いかもしれない。先輩と二人で閉じ込められた屋敷からの脱出を試みる、という内容とだだっぴろい真夜中の屋敷が舞台だと紹介すると多少はホラー要素がありそうだ。ホラーゲームといえば、例えば『零』シリーズでも主人公は女性キャラだが、それはホラー描写、敵のグロテスクさとの対比において美しさが際立つからだ。
だが、このゲームはそういったことは気にしない。このゲームにホラー要素は存在しないのだ。何せ、このゲームのジャンルは、探索ホラー風セクハラゲーム。一緒に閉じ込められた先輩は黒髪ロング・黒セーラー・黒タイツ(そして巨乳)だ。脱出のための謎解きがまるでおまけに感じられるほど、屋敷内の随所でメニュー画面から「セクハラ」を行うことができる。そのバリエーションの豊富さと、きわどいグラフィック、テキストの作り込み、さらには入浴シーンまであるときている。制作者の並々ならぬ情熱を感じ、脱帽せざるを得ない。(すんくぼ)

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もぐらゲームスでは現在ライターを募集しています。 フリーゲームやインディゲームの記事執筆等にご興味ある方はこちらよりお気軽にご連絡ください。
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    通称のあP。「もぐらゲームス」エグゼクティブプロデューサー&共同編集長。ゲームをする人。「ゲームのちからで世界を変えよう会議」の中の人。経営戦略(ゲーム産業)と金融が一応専門分野。 MMORPG「リネージュ」の元プレイヤー(8年ぐらい、10,000時間ほどプレイ)。長らく一つのゲームをやりこむ派でしたが、最近は雑食気味にいろんなゲームをプレイしています。思い出に残っているゲームはリネージュ、ティアリングサーガ、勇者のくせになまいきだ。or2など

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    poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。

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    すんくぼ(@tyranusii

    学生時代、MMORPG「リネージュ」で朝から晩まで飽くことなきレベル上げと戦争に没頭する毎日を送る。本業では廃人卒業後、国家公務員を経て、再びゲームの世界へ。「もぐらゲームス」を立ち上げました。ハマったゲームはライブアライブ、ファイアーエムブレム 聖戦の系譜、デモンズソウルなど。
    個人ブログもやってます:もぐらかペンギンか

  • 20140328135231

    水原由紀(@mizuharayuki

    読みは「みずはらゆき」。ゲーム業界のはしっこに勤めつつ、色々書いてます。思い入れの強いゲームは初代『.hack//』や『風ノ旅ビト』、『Dear Esther』『ゆめにっき』『Ruina 廃都の物語』などなど。2015年マイベストははむすたさんの『ざくざくアクターズ』。美学と工学の交差するゲームを求め、今日も片道切符。Narrative関係勉強中。