『幻想乙女のおかしな隠れ家』注目のフリーゲーム

少女アンジェは夢を見ていた
少年ベルントは焦っていた

静かな森にある1つの明かり

それはあまい、あまい

お菓子の家だった――。

先日のホラーゲーム特集でとりあげた『クロエのレクイエム』。その制作者ブリキの時計氏の新作『幻想乙女のおかしな隠れ家』が公開されたので紹介しよう。

それはお菓子の家を舞台にしたグリム童話「ヘンゼルとグレーテル」を彷彿とさせるような物語だ。

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タイトル画面の主人公アンジェはなぜこんなに悲しい顔をしているのだろう…

お菓子の家でおきるおかしな出来事

吸血鬼が村人を滅ぼす伝説が伝わる村。主人公のアンジェは幼なじみのベルントと森の中にある隠れ家を訪れる…。そこはお菓子の家。大人たちのいないところで、開放感に浸る2人。そんなアンジェの前に妖精や死んだはずの友人「シンシア」の幽霊が現れる。

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アンジェとベルント。描き下ろしのグラフィックが綺麗だ。クオリティの高いグラフィックと雰囲気にマッチした音楽が盛り立てる。

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アンジェのことが大好きなシンシア。かわいい(※若干の百合描写あり)

シンシアの助けを借りて、この隠れ家から出るために時計の中の小鳥に「パンくず」をあげることになったアンジェ。家の中のキャラの頼み事を叶えてご褒美のお菓子を集めていく。そのお菓子をカラスの交換屋が「パンくず」に変えてくれるので、時計の中の小鳥に渡そう。

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なお右上に表示されている曜日と時間は、ゲーム内の進行を示している。

1.午前は、イベント(パンくずと交換するためのお菓子集め)&会話
2.特定のイベントを行うと「ねじまき」がもらえる
3.ねじまきを使うと午後へ
4.午後も、午前同様だが、特定のイベントを行うと食事の時間になる
5.寝る前も会話をすることができる

この1~5を繰り返しながらパンくずを集めていく。頼み事は、嘘つきクイズのような単純な謎解きから、ポーカーのようなミニゲーム、探索系まで色々とあるので楽しもう。

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ポーカーはトランプの絵が登場キャラになって凝っている

雰囲気の変化に心がざわつく

ネタバレになるので、詳細な説明は省くが、日にちが経過するにつれて家の中の様子は徐々に変わっていく。とにかく意味深な描写が多いので、平穏にプレイしているはずでも心がざわついてくる。

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この家で何が起きているのか…。

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シンシアも血まみれに

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やさしくて頼もしかったベルントは一体…

筆者が最も不気味に感じたのは食事のシーンだ。妖精たちと一緒に食事をとるのだが、ファンシーな絵やセリフと対照的に暗示している内容が非常にグロテスクで、不安にならざるをえない。

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このファンシーさ

不気味といいつつも、この雰囲気の変化は絶妙だ。ぜひ楽しんでほしい。「吸血鬼」や「狼」といった単語も現れるようになり、急激にホラーチックな様相を呈してくる。

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吸血鬼とは一体・・・!?

ファンシー×ホラーのグロさ

実はこのゲーム、アンジェ編をクリアするとエンディングで、ある非常に大きな真実が明らかになり、その後ベルントの視点で同じ1週間を過ごすベルント編がプレイできるようになり、何があったのかが明らかになる。

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ベルント編の舞台は隠れ家の中だけではない…

なお筆者はアンジェ編のエンディングを迎えるまで最後に明かされる事実に気づかなかった。それだけ、ファンシーと不気味さが混ざった物語の雰囲気に呑まれてたということだろう。

世界的に有名なグリム童話の『ヘンゼルとグレーテル」』は森の中のお菓子の家に迷い込んだ貧しい兄と妹の話だ。子供用の童話では、出てくる魔女を倒してめでたしめでたしで終わるが、『本当は怖いグリム童話』で取り上げられたように、長く続いた飢饉での口減らしの話という説もある。魔女を殺すグレーテルの豹変ぶりなど、お菓子の家というファンシーな側面とは裏腹に非常にダークな話になっている。

そういう意味ではこのゲームは『ヘンゼルとグレーテル』的だ。実際に制作者も意識しているのか、お菓子の家やパンくずを集めて小鳥にあげるなどオマージュしたと思われる箇所が見られる。

一方、このゲームの構成は、小説化を果たしたフリーゲーム『霧雨の降る森』にも似た、2者の視点から見る悲劇の物語だ。そこにファンシーさとかわいいキャラクターといった不思議の国のアリス的な要素も加わり、グロテスクな雰囲気を醸し出している。

ベルント編の終盤ではアンジェ編での実績も踏まえた分岐があり、3つのエンディングが用意されているので悲劇の物語の結末はぜひ自分で確かめてほしい。

[基本情報]
タイトル 幻想乙女のおかしな隠れ家
制作者 ブリキの時計
クリア時間 3~5時間
対応OS Windows(RPGツクールVX RTPが必要)
価格 フリーウェア

ダウンロードはこちらから
ふりーむ! → http://www.freem.ne.jp/win/game/7275

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    すんくぼ(@tyranusii

    学生時代、MMORPG「リネージュ」で朝から晩まで飽くことなきレベル上げと戦争に没頭する毎日を送る。本業では廃人卒業後、国家公務員を経て、再びゲームの世界へ。「もぐらゲームス」を立ち上げました。ハマったゲームはライブアライブ、ファイアーエムブレム 聖戦の系譜、デモンズソウルなど。
    個人ブログもやってます:もぐらかペンギンか