遺跡考古学探索アクションゲーム『LA-MULANA』待望の続編、『LA-MULANA 2』配信開始

7月31日午前2時(※日本時間)より、遺跡考古学探索アクションゲーム『LA-MULANA(ラ・ムラーナ)』の続編、『LA-MULANA2(ラ・ムラーナ2)』がSteam、PLAYISM、GOG、Humble Storeにて販売を開始した。プラットフォームはPC(Windows、Mac)。

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『LA-MULANA(ラ・ムラーナ)』は、個人のホームページ上でMSXのオマージュ作品を多く輩出していた”ならむら”こと、楢村匠氏が結成したゲーム制作グループ「GR3 PROJECT」が制作したフリーゲームで、2006年に完成版が配布された。

1987年、コナミより発売されたMSX用探索型アクションゲーム『魔城伝説II ガリウスの迷宮』を独自に解釈・発展させた本作は、公開後に大きな反響を呼び、それを受け、2007年5月に一度「GR3 PROJECT」を解散した後、「NIGORO」へと名を改めて活動を開始。FLASHゲームを複数手掛けつつ、『LA-MULANA』のリメイク兼コンシューマ機移植版の制作を推し進め、2011年6月11日、実に4年近い月日を費やしてWiiウェア用ソフトとしてリリースされた。

2012年7月13日には株式会社アクティブゲーミングメディアの運営するインディーゲームのダウンロード販売プラットフォーム兼パブリッシャーの「PLAYISM」で、Wiiウェア版をWindows向けに移植したPC版の販売が開始。2013年1月16日にはValve社が運営するゲーム配信プラットフォーム「Steam」で実施されていた、新たに配信する作品をユーザー投票で決定する制度「Steam GreenLight」で日本製作品として史上初の通過を達成し、同年4月16日より販売を開始。日本で制作されたインディーゲームが世界に向けて配信される、歴史的な足掛かりを作った。更に続編『LA-MULANA2(ラ・ムラーナ2)』も発表され、翌2014年にはkickstarterキャンペーンを立ち上げ、26万6670ドルの資金を獲得する大きな成功を収めた。(そして、同年12月17日にはPlayStation Vita向けに追加要素を加えた『LA-MULANA EX』も配信されている。)

それから実に4年半が経過した此度。満を持して製品版リリースの時を迎えた。

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今作の舞台は、前作の舞台「ラ・ムラーナ遺跡」の裏に潜む、遺跡に住む文明人達の流刑地「イグ・ラーナ遺跡」。「ラ・ムラーナ遺跡」の全貌が明かされて5年後、遺跡周辺の村は観光地として賑わいを見せていたが、ある時、遺跡のいずこからモンスターが現れ始めた。村の長は、かつて遺跡を調査した考古学者の親子に依頼を出すも、彼らは遺跡を崩壊させた批判から逃れるためか、連絡がつかなかった。代わりにやって来たのはルミッサ・小杉。考古学者ルエミーザ・小杉の娘(連れ子)だった。かくして、父に代わって彼女が異変の調査に乗り出し、その裏に潜む「イグ・ラーナ遺跡」の謎に挑む……という形で本作のストーリーは始まる。

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今回の製品版完成を記念し、7月29日には東京・秋葉原で「LA-MULANA通の会」と題したトークイベントも開催。普段、めったに揃わないとされるNIGOROのメンバーが勢揃いし、「GR3 PROJECT」の始まりから代表作となった初代LA-MULANA、そしてLA-MULANA2にまつわるエピソードと制作秘話が3時間に渡って語られた。

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左より鮫島朋龍氏、楢村匠氏、蛯原隆行氏、中川啓己氏。

トークは三部構成で進行。まず最初に「GR3 PROJECT」の成り立ちと「NIGORO」の結成、主要メンバーである楢村氏、サミエルこと鮫島朋龍氏、duplexこと蛯原隆行氏がいかなる形で出会い、ゲームを作るに至ったのか、そしてMSXをオマージュした作品を作り続けた背景などが語られた。

トーク中には処女作「なんちゃってハイドライド」、「GR3(Great Rainbow 3)」と言ったゲームが動く様子もモニターに映し出されたほか、当初は1作だけ作って終わるつもりでいたこと、「MSX王国」なる大作を約1ヶ月(!)で作ろうとするも、最終的には未完成に終わってしまったという貴重なエピソードが明かされた一幕も。また、この頃からゲーム制作においては、オマージュであれど自分なりの解釈を盛り込み、独自色を出すことにこだわって取り組んでいたことも語られた。

「NIGORO」の結成にまつわるエピソードでも、楢村氏が16色のドット絵を描いたのはこの当時が初めてだったこと、FLASH用ゲームのネタを10個出すまで帰れない合宿を行ったことが語られ、その中で生まれたサンタをテーマにしたゲームの詳細が語られる一幕は会場の笑いを誘っていた。

ちなみにFLASHはAdobeが2020年末にサポートを終えることを告知している。となると、気になるのが現在もNIGOROの公式サイトにて公開・遊ぶ事のできるFLASHゲームの数々だが、移植は考えてない模様。誰かそれを手伝ってくれる人がいれば大歓迎とのことだ。また、遊べなくなる数ヶ月前にはその旨を連絡するとのこと。更にビンタアクション『薔薇と椿』は、何らかの形で残すことを模索しているようだ。どのような形で残るのか、今後の動向に注目したい。

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幻の初代(フリーゲーム版)『LA-MULANA』

続く二部、代表作『LA-MULANA』に関するエピソードでは、『魔城伝説II ガリウスの迷宮』のような探索アクションを作ってみたいという強い憧れから制作が始まった経緯、様々な継ぎ接ぎが合わさっていく面白さを狙ったレベルデザイン、蛯原氏のアドバイスとガリウスの迷宮を元に組み立てたマップ、ボス戦を始めとする難易度設定のコンセプトとこだわりにまつわるトークが展開された。

本作最大の特徴にして売りとして、マップの随所に仕組まれた絶妙且つ、プレイヤーの不意を突いて地獄のような苦しみを与える謎解きと罠があるが、これについても触れられ、担当した楢村氏は絶妙したつもりはなく、「こんな感じかな」と思いつつ、ほとんどノリで組み立てたとのこと。罠もプレイヤーが苦しむ姿を自身があざ笑うために配置した意図は一切なく、制作者としては心外だとも語ったが、その要素は否定できないともポツリ。また、Wiiウェア版ではグラフィックの強化による現実味を出す意図で、フリーゲーム版では行き止まりになるだけだった仕掛けを圧殺の罠に差し替えたことも明かされたが、これもプレイヤーに制作者の悪意が詰まった産物と捉えられてしまったのは心外だとの一言も。ノリで作ったものが、制作者の意図とは異なる反応を見せたことに戸惑う楢村氏の反応はユニークで、改めて本作が自由で楽しげな発想のもと作られたことを察せられた。

また、「ハードモード」に関する石碑の罠も楢村氏が仕込んだことを明かし、その意図を「プレイヤーに喜んでもらうため」と説明したのが、結果的に司会からツッコミを食らう一幕も。実際にゲーム中にハメられた経験のある筆者も、心の中で突っ込みたくなったのは言うまでもない。「見るな」と言われたら見ちゃうでしょう!

ちなみにハードモードのボスは設計全般を手掛けた鮫島氏曰く、標準武器の「鞭」だけで勝てるようにバランスが調整されているとのこと。腕に自信のあるプレイヤーはチャレンジしてみてはいかがだろうか。

最後の三部では、本題でもある『LA-MULANA 2』の制作エピソード、オープニングから「イグ・ラーナ遺跡」に突入するまでの様子が楢村氏による実機プレイで紹介された。また、ここより今回の制作で参加したNIGOROの新メンバー・中川啓己氏も三人に混じって登壇。

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撮影:三重県は菅崎園地……らしい。

実機プレイではオープニングデモも初公開。非常にカッコイイ始まりだったのだが、楢村氏が上記写真のシーンで登場する背景のモデルが三重県であるとカミングアウトしたことで会場大爆笑。すっかり、三重の単語が映像と共に付きまとう、雰囲気ぶち壊しな展開となってしまった。なお、イベント終了後に楢村氏が自身のTwitterで明かした補足によると、具体的には三重県の管崎園地がモデルになっているとのこと。興味のある方は巡礼に行ってみよう。

≫菅崎園地の観光スポット情報|観光スポット(三重県観光連盟公式サイト)

見ての通り、今回もグラフィックは2Dのドット絵を採用しているが、ゲームエンジンを「Unity」に変更するに当たり、前作のキャラクターも含めたドット絵はほとんど一から描き直しているほか、内部処理も3Dで行われている。3Dを採用したのは現在の2Dゲームのトレンドに沿ったほか、光の表現を取り入れて新たな表現を目指したのも理由とのこと。実際に遺跡周辺の村では、光の表現を取り入れた恩恵が顕著に表れた美しく、幻想的なビジュアルを実現していた。ただ、本作は基本的に地下が舞台。それもあってか、様々な工夫を凝らして光を表現しているようだ。

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このスクリーンショットにある蛍光灯がその一つ。(※遺跡は只今、修復工事中なのです)

また、導入部が親切になり、「イグ・ラーナ遺跡」に入るまではチュートリアルを兼ねた構成に改められている。しかし、「ここに行け」と指示されるのではなく、周囲の状況から「行くべきなのか?」「こうするべきなのか?」とプレイヤーが考え、自発的に行動して探る構成で、説明臭さは全く感じられない。更に「イグ・ラーナ遺跡」に突入すれば、そこから先は前作同様の展開になるとのこと。早速、実機プレイ終盤で楢村氏が罠にハマってしまったのだが、どのような罠にハマったのかはモニターに映し出されず。一体、何が牙を向いたのか、気になる方は製品版をチェックしよう。

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罠にハマった一幕。一体、何が降りかかったのかは製品版で確かめよう!

他にワイド画面になったことで実現した横に長い部屋、新アクションの「しゃがみ」、ジャンプ時に軌道の微調整が可能になって自由度が増したことも明かされた。

実機プレイ後には今回のボリューム、難易度、世界観のコンセプト、ハードモードの存在に関しても語られた。ボリュームは一部メディアのインタビューで20~25時間と語ったが、あくまでもそれは本作のコンセプトに沿って進めた場合の話で、普通にプレイすれば40~50時間以上かかってしまうとのこと。また、前作はゲームオーバーからコンティニューの際、プレイ時間がリセットされる仕組みだったが、今回は継続されるようになり、繰り返し過ぎると時間がどんどん蓄積されていくようになっているようだ。その恐ろしさを象徴するかのように、鮫島氏がテストプレイした終盤突入まであと少しの時点のセーブファイルに45時間と記録されたものが残っているとか。

難易度も骨太な調整で、謎解きなどは石碑に書かれたメッセージをしっかり覚え、メモしていかなければ行き詰まるバランスであるのに加え、今回は謎解きの際に受けるペナルティも大きくなっているようで、答えを間違えるとゲームオーバー一直線になるようだ。

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『魂斗羅スピリッツ』での難易度の違いに驚かされた経験を本作でおすそ分けしたいと語る鮫島氏。

第二部で語られた「ハードモード」の罠も健在で、今回はこのモードでないと見れない攻撃をボスが繰り出してくる仕掛けが一部、盛り込まれているとのこと。鮫島氏曰く、これは『魂斗羅スピリッツ』のハードモードにインスパイアされているようだ。

また、前作ではどんな順番で各エリアのボスを倒していくかをプレイヤーが自由に決められ、最強の装備が揃った後に最初のエリアのボスを瞬時に倒す手順を踏むことができた。今回もそれは可能のようだが、後回しにするとボスが強くなる仕掛けが盛り込まれ、最強装備を揃えて序盤のボスを瞬時に倒すのは困難を極める作りになっている模様。楢村氏曰く、これは『ロマンシング・サガ2』の七英雄をオマージュしているとのことで、前作のタイムアタックの攻略傾向を見て仕込んだようだ。更にその仕掛けにより、周回プレイ時の楽しみも増えている模様。その他、今回もボスには固有の戦闘曲が設定されているようで、音楽面でも楽しませてくれそうだ。

最後には最新のプロモーション映像が公開され、発売日が7月31日午前2時と発表。

その後はNIGOROの今後などが語られ、イベントは終了した。

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こちらの展示品はイベント終了後のくじ引きで手に入れることができた。

発表当時の残り36時間のカウントダウンは既に過ぎ去り、現在は四つの配信プラットフォームで製品版が販売中。今後、時期は未定だがコンシューマ機への移植も検討されている模様。だが、そちらを出す際、先行したPC版で見れたものが無くなる可能性が鮫島氏より示唆されたので、しっかりそれを目に焼き付けておきたいのなら、PC版は必ずプレイしておくことをお薦めする。

だが、何と言っても約四年半の月日を経て発売されたのだ。
待ちに待っていたのなら、今すぐにでもプレイするべきだ。

前作を遊んだことのないプレイヤーも、本作は導入部が優しくなっているので、ここから始めても大丈夫。日本のみならず、世界を熱狂……時に絶叫させたインディーゲームの凄味を堪能してみよう。そして、気に行ったら前作をどうぞ。現在もSteam、PLAYISMでPC版が購入できるほか、PlayStation Vitaでは追加要素を加えた『LA-MULANA EX』も配信中だ。Wiiウェア版は2019年1月31日にWiiショッピングチャンネルのサービス終了が予告されているので、そちらでプレイしたい際はお早めに。ただし、既にWiiポイントの補充は行えなくなっているので要注意だ。

[基本情報]
タイトル: 『LA-MULANA 2』
制作者:NIGORO
対応OS: PC(Windows、Mac)
価格: ¥2480

購入はこちらから
※Steam

※PLAYISM
http://playism.jp/game/520/la-mulana-2

※GOG
https://www.gog.com/game/la_mulana_2

※Humble Store
https://www.humblebundle.com/store/lamulana-2


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