20個のEDが紡ぐ赤ずきんの物語。フリゲアドベンチャー『オオカミサマ』

マルチエンディングのあるゲームは、プレイヤーをストーリーにのめり込ませる。しかも往々にして、初回に一切のヒントなくプレイをした時は、エンディングは比較的平凡なものか、主人公が不幸になる展開で終わりがちだ。

「あれ?ハッピーエンドじゃない…?」、「主人公たちがもっと幸せになれるエンディングもあるんじゃないか…?見たい!」そんな気持ちにプレイヤーを掻き立てるのがマルチエンデイングである。もちろん、そのためには、他のエンディングが気になるほど、それなりにストーリーに没入しキャラクターに愛着をもつこと、そして何度もプレイしても飽きのこないようなデザインは必要だ。

しばしば、アドベンチャーゲームでは、会話の選択肢や隠されたアイテムなどのわずかな行動の変化のみでエンディングが分岐するゲームがある。何度も同じ行動を繰り返すことは時に、作業のようになってしまう。

そんなマルチエンディングのマンネリを解消しようと試みているのが、今回紹介するホラーアドベンチャー『オオカミサマ』だ。

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ステージの雰囲気すら変化する大胆な分岐

本作の主人公は赤い頭巾を被った少女・アカズキン。彼女の村では、毎年、少女を1人、森に住むオオカミサマに捧げなければならず、今年はアカズキンが選ばれる…、というストーリー。お話は、アカズキンがオオカミサマの館へ向かうシーンから始まる。

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ゲーム開始時。左に行くと村、右に行くとオオカミサマの館だ。

このゲームには、エンディングが20種類、用意されている。会話の選択肢や、ステージにある物を調べたりすることで展開が分岐していく。ホラーアドベンチャーなので、謎解き要素や追いかけられる要素、ドッキリも満載だ。

通常、展開が分岐していくと、登場人物の発言や行動が変わったりするものだが、本作はそれだけではない。ステージの雰囲気や仕掛けまでもが変化していく。その分岐が幾多にも分かれているところが飽きを感じさせず面白い。

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アカズキンが逃げないように見張る「狩人」

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館に現れる謎の女

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同じ場所でも、分岐によって展開が変わる。

エンディングに至るまでのプレイ時間は1~30分と非常に短く、キャラクターの移動スピードなども程よいため、テンポ良く進んでいける。さすがに20もエンディングが用意されていると、同じ行動をしなければいけない局面もあるが、テンポの良さがそれをカバーしている。

「エンディングを集める」こと自体がゲーム

本作では、エンディングに至るまでのゲームプレイ中にはあまりストーリーは語られない。なんだろうと思って気の向くままに探索していると、どれかのエンディングに偶然辿り着く、そんな感覚だ。

物によって差はあるが、断片的な物語は、ラストのシーンからエンディングにかけて語られる。エンディングを集めていくことによって、物語の全体像が見えてくる「エンディングを集めることがゲーム」になっているのだ。

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一度いずれかのエンディングを見ると、メインメニューに現れる「オマケ」。各エンディングに至るヒントを見聞きすることができる。

さしずめ、このように物語の分岐をたどるゲームは、シュタインズ・ゲートに例えれば「世界線」を超え続けるとも、オールユーニードイズキルに例えれば「同じ日を繰り返し」続ける、とも言える。

最終的には、どういったエンディングを目指すのか。それすら、明らかではなくプレイヤーは自分の意志でアカズキンの行動を決めていく。いくつものエンディングを見る中で、思い至る「たどり着きたいエンディング」とは何なのか。

物語を楽しみながらプレイしてみてほしい一作だ。

[基本情報]
タイトル 『オオカミサマ』
制作者 Electric Prophet(制作者様ページはこちら
対応OS Windows XP/Vista/7/8
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/9354


  • CDvLYAMUEAAVUI8
    すんくぼ(@tyranusii

    学生時代、MMORPG「リネージュ」で朝から晩まで飽くことなきレベル上げと戦争に没頭する毎日を送る。本業では廃人卒業後、国家公務員を経て、再びゲームの世界へ。「もぐらゲームス」を立ち上げました。ハマったゲームはライブアライブ、ファイアーエムブレム 聖戦の系譜、デモンズソウルなど。
    個人ブログもやってます:もぐらかペンギンか