もぐらゲームス執筆陣の選ぶ 2021年おすすめフリゲ・インディゲーム18選

インディーゲーム,フリーゲーム,特集

前年に引き続き、新型コロナウイルス感染症の流行の影響を強く受けた1年となった2021年。対策として不要不急の外出の自粛が呼びかけられる中で、自宅でゲームを楽しむ機会はまだまだ多かったのではないだろうか。

本稿では、もぐらゲームスの執筆陣が、2021年にプレイしたゲームの中で特におすすめできるフリーゲーム・インディーゲーム18作品を一挙特集する。
各執筆者が2021年に遊んだ中で「これは!」となった作品の数々を紹介していくので、気になった作品があればぜひ手に取って遊んでみていただきたい。

昨年の記事はこちら。
もぐらゲームス執筆陣の選ぶ 2020年おすすめフリゲ・インディゲーム15選

Insurmountable

1953年に世界最高峰であるエベレスト山への登頂が達成されてから既に半世紀以上。現代では「冒険」や「挑戦」と言った文脈で山岳への登頂が語られる機会は多くはなくなってきたが、その過酷さは何ら変わるものではない。

『Insurmountable』はByteRocker’s Gamesによる登山シミュレーションゲーム。2021年4月29日よりSTEAMにて配信が開始されている。英語で「乗り越えられない」という意味のinsurmountableという単語が示すように、難攻不落の山脈を単独で踏破することが目的となる。

本作ではボードゲームを思わせる六角形のマスに区切られたフィールドを進み、山頂を目指す。プレイヤーには生命力のほか、酸素、体力、体温、狂気の4つのパラメータがあり、これらのうちひとつでもゼロになると生命力が急速に失われていき、生命力が無くなると死亡してしまう。高低差のあるところをよじ登ろうとすればそのぶんの体力を消耗するし、標高6000m以上の空気の薄いところを進めば息は苦しくなっていく。強行軍で進めばたやすく力尽きてしまうため、足場の脆くなっている箇所は極力避けつつも、高低差の少ないルートを選んで体力を温存していくことが重要だ。

消耗したパラメータはイベントマスを踏んだり入手したアイテムで回復させることができる。また、イベントマスを踏むことで経験値を溜めてスキルを覚え、パラメータの消費量そのものを抑えていくことが戦略の要となる。

道々で様々なイベントこそ用意されてはいるが、決してエキサイティングでドラマチックな展開が起こるわけではない。BGMすら鳴らない。余りにも静かだ。淡々とルートを見極め、淡々と歩き、山を登っていく。ふと見上げれば目指すべき頂点は未だ遠く、その雄大さと険しさに息を飲む。その姿に、ただそこにそびえ立つ峰のように在り続ける、そんな静かなゲームがあっても良いのだという想いに駆られるのだ。
(真野 崇)

[基本情報]
タイトル:『Insurmountable』
制作者: ByteRocker’s Games
クリア時間: 4時間~
対応OS: Windows
価格: $19.99(¥2050)

購入はこちらから
(STEAM)

Cyber Shadow

足場を飛び渡る時に敵にぶつかり吹き飛ばされ、そのまま奈落へ転落死。もはや言葉にする必要もなさそうなアクションゲームの”あるある”であるが、そんな”あるある”をたらふく浴びたい時には『Cyber Shadow』がオススメだ。

『Cyber Shadow』はAarne “MekaSkull" Hunziker氏の開発による、往年の忍者アクションゲームの数々を彷彿とさせる2Dアクションゲーム。2021年1月26日に発売され、PC版はYacht Club Games、国内ゲーム機版はインティ・クリエイツにより販売が行われている。日本語表示にも対応している。

主人公たるサイボーグ忍者「シャドウ」は初期状態ではジャンプと刀攻撃のみだが、ゲームを進めるにつれて様々なスキルを体得していき、徐々に取れるアクションの幅が広がっていく。とりわけほとんどの敵弾を受け止めることができるパリイや、敵を突き抜けて進むダッシュ攻撃で敵を連続で乗り継ぐなど、入力はシビアだが強力なアクションを使いこなしてステージを走破することができた時の快感は「忍者」というキャラクターが持つテクニカルなイメージを見事に表現していると言っても良いだろう。

また、それらの高難度操作を強要はせずとも十分に先に進めるよう意図されたステージ構成も見事。とはいえ冒頭で述べたような”様式美”を誘発するような意地の悪い配置をしている箇所も多く、その意地の悪さも含めて楽しめるかどうかが本作を楽しむ上での鍵といえる。クリアの為には我慢強く挑むことが求められるだろうが、堅忍不抜の精神こそが己を”忍”たらしめるのだ。

勇ましさと物悲しさを感じさせるチップチューン・サウンドも本作の強烈な魅力のひとつ。完全なサウンドトラックのリリースを熱望する限りである。
(真野 崇)

[基本情報]
タイトル: 『Cyber Shadow
制作者: Mechanical Head Games
クリア時間: 6時間~
対応OS: Windows / Nintendo Switch / PlayStation4 / PlayStation5 / Xbox One
価格: $12.99

購入はこちらから
(STEAM)

(ニンテンドーeショップ)
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000038019.html

(PlayStation Store)
https://store.playstation.com/ja-jp/product/UP2200-PPSA01882_00-CYBERSHADOW00001

(Microsoft Store)
https://www.microsoft.com/ja-jp/p/cyber-shadow/9nx9lj5jswh8

Pandemonium Buster

『Pandemonium Buster』はone60hp氏による横画面縦スクロール型の2Dシューティングゲーム。2021年4月22日よりitch.io等で公開されている。白黒ゲームジャム「B&W Jam」ならびに弾幕STGゲームジャム「Bullet Hell Jam」の参加作品であり、そのテーマに沿った白黒2色のビジュアルと全10体のボス戦のみで構成されたゲーム進行が特色となっている。

その命、燃え尽きるまでわずか10秒。本作には残機の概念が存在せず、代わりとして敵弾をすりぬけて移動できる「ハイパードライブ」を累計10秒だけ使用することができる。できることならば残りドライブ時間を温存したいが、敵の攻撃を引き付けすぎて被弾してしまえば元も子もない。ドライブの使用タイミングと発動期間をどう配分していくかの駆け引きが本作の面白いところだ。

また、残りドライブ時間が減るごとに自機の攻撃力が目に見えて上昇し、特に残り時間がゼロの状態ではボス敵をわずか十数秒で粉砕し得るだけの圧倒的な火力を発揮する。背水の陣となってからは倒すか倒されるかの世界。薄紙一枚の命が闘いを熱く燃え上がらせることだろう。
(真野 崇)

[基本情報]
タイトル: 『Pandemonium Buster』
制作者: one60hp
クリア時間: 10分~
対応OS: HTML5, Windows
価格: フリーウェア

プレイはこちらから
(itch.io)
http://mahoushoujomagicalmoestar.itch.io/pandemonium-buster

(DigitalMZX)
https://www.digitalmzx.com/show.php?id=2675

虹の降る海

『虹の降る海』は2021年1月1日に白黒羊よりリリースされたスマートフォン向けアドベンチャーゲーム。
本作では新たな神様候補として召還された「人間さん」となり、現地の神々と交流しながら自らの去就を決めることとなる。題材として「七福神」を取り上げている事が最大の特徴。普段その名を見聞きすることはあれども知っているようで知らない彼らのエピソードに耳を傾けてみよう。

ゲームは1ヶ月単位で進行し、七福神たちの住む船の中を散策しつつ彼らと親睦を深めていき、12ヶ月が経過したところで終了となる。比較的短時間で終わるぶん、周回プレイに重きを置いた構成となっており、一度見たイベントは後から見返したり発生条件を確認することが可能だ。また、会話の最中に現れる選択肢では赤枠の選択肢を選ぶことで「嘘をつく」ことができる。選べる台詞の内容は同じであっても、そこに誠を込めるのか虚を込めるのかを選ぶことになるのが新鮮だ。

今後はSTEAMにてPC版のリリースも予定されており、PC向けの体験版も公開中となっている。雰囲気を味わってみたいという人はチェックしてみてほしい。
(真野 崇)

[基本情報]
タイトル: 『虹の降る海
制作者: 白黒羊
クリア時間: 2時間~
対応OS: iOS , Android
価格: 基本プレイ無料/広告あり

プレイはこちらから
(App Store)
Download on the App Store

(Google Play)
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アトペス

『アトペス』は佐藤文也氏が制作した「ジャンル:哲学」作品。2021年7月30日よりSTEAM、同年12月9日よりDLsiteにて配信されている。価格は無料。

本作のタイトルである”アトペス”とは「なにかを行いたいという、自分の心から溢れ出る、抑えられないエネルギーのこと。」を意味する、という。その単語を象徴するかのように、本作ではシューティング、アクション、タイピング、脱出ゲーム…といった、ほとばしる創作意欲が走るままに作られた多種多様なジャンルのゲームたちを横断するようにプレイすることになる。シューティングではパワーアップのみ持ち越しで進行状況が巻き戻ったり、タイピングゲームはRPGと融合しているなど、ひとつひとつのゲームをとってみてもどれも決してスタンダードなシステムにはなってはいない。

また、幕間(まくあい)にはアニマという名の少女を起点として、プレイヤーたる私たちの存在を認識したメタ・フィクショナルな展開が繰り広げられる。冒頭からレビューを生業とする筆者の心が抉られる一言が放たれ、ほかにもパソコンのOSのファイル操作機能を使ってゲーム機のソフトの交換を疑似的に再現しているという凝り様だ。そうしたゲーム体験の追体験の中で、世界を生み出すという感情や、ゲームに打ち込むこと、ゲームをクリアすることで残るものは何なのかへの疑問が投げかけられてゆく。

本作で示唆される哲学はフリーゲームを愛する人々にとっては改めて説くまでもなく備わる自明の理であろうし、メタ・フィクション構造もゲーム体験に対する内省も既に幾分と手垢にまみれたものだ。つまらないという体験のためにわざとつまらなく作られたフシのある一部の劇中作や、唐突なダンスシーンなど、辟易とさせられる点も多い。しかしそれでも、「しかしそれでも」という言葉が口を付くだけの不思議な何かが本作には宿っている。目の前にある祈りにも呪いにも似た熱量を否定することは難しいだろう。
(真野 崇)

[基本情報]
タイトル: 『アトペス』
制作者: 佐藤文也
クリア時間: 10時間~
対応OS: Windows
価格: 無料

プレイはこちらから
(STEAM)

(DLsite)
https://www.dlsite.com/home-touch/work/=/product_id/RJ359682.html

ハイテンダンジョンRTA

ゲームの最速クリア時間を競う競技、「RTA(Real Time Attack)」を題材にしたノンフィールド型RPG。主人公「チェシャ」に扮し、7つのダンジョン攻略に挑戦するというのが主な内容。ただし、RTAなので途中経過の記録(セーブ)は不可能。クリアを目指すなら、一発勝負(通しプレイ必須)という、”アーケード型RPG”とも称せる革新的な作品に仕上げられている。

システム面でも戦闘周りに独自仕様が満載。際立って印象的なのは「戦闘カット(カット)」。3ターン以上連続してノーダメージを達成すれば、戦闘が勝利扱いで強制終了するというぶっ飛んだシステムになっている。しかも、雑魚敵に留まらず、ボスに対しても効果を発揮するため、やり方によってはダンジョンの爆速攻略も夢ではない。強引なやり方で時間を短縮させる仕組みにも、その種のテクニックの披露が注目されやすいRTAの”らしさ”があり、この題材だからこそ成し得た唯一無二の面白さが表現されている。

ゲームテンポも爆速と表しても過言ではないほど早く、コマンドの決定操作を始め、徹底して手数を減らす工夫を凝らしている。それもあってゲームとしての手触りもRPGというよりはアクションゲームに等しく、その種のジャンルが好きな人にも刺さりやすい。他に7つのダンジョンごとの敵ラインナップの個性付けも隙がなく、各所で独自の戦術が試される作りになっているのが見事。難易度もシステムの理解が深まるたび味が増していく絶妙かつ練り込まれた調整で、主に周回プレイにおいては、プレイヤー自身の上達をこれでもかと実感させてくれるのが痛快だ。

既視感バリバリの画面レイアウトからネタゲーに見えるかもしれないが、その実は2021年に誕生したRPG作品の中でも、頭ひとつぬけた独自性と面白さを持った傑作というに相応しい出来。RPGに対して戦闘の面白さを重視する人から、アクションゲームが好きな人にも声を大にしておすすめしたい1本だ。

アーケード型RPGという言葉に何か心動かされた人やRTAプレイヤーもぜひ!
(シェループ)

◇関連記事:空前絶後のアーケード型RPG現る!?ハイテンポでハイテンションな革新的一作『ハイテンダンジョンRTA』

[基本情報]
タイトル:『ハイテンダンジョンRTA』
作者:プラカヴィ
クリア時間:30分~1時間(※2周目以降:15分~)
対応プラットフォーム:Windows、ブラウザ
価格:無料
備考:オンラインランキング対応(※ブラウザ版のみ)

ダウンロードはこちら
※フリーゲーム夢現
https://freegame-mugen.jp/roleplaying/game_9533.html

※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/25523

プレイはこちら(ブラウザ版)
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm19362

天は長く地は久し

「SF」「時間制限」「探索」の3つのテーマを掲げた『RPGツクールMV』製の探索型アドベンチャーゲーム。大型人工知能【ツモイ】から生まれた姉妹の人工知能【モモ】と【ヲク】が、母【ツモイ】の悲願である人類抹殺を成し遂げるため、生産都市【ムラダーラ】からの脱出を目指すというストーリーが描かれる。

「本体コア」と称された拠点マップから「ムラダーラ」の街へと降り立ち、脱出に必要なアイテムの捜索に勤しむのが主な内容。だが、プレイヤーが操作する【モモ】のデータを転送した「疑似体」は驚くほど鈍いのに加え、街中に蔓延しているナノマシンの濃度が低いと活動時間も限定されてしまう。少しでも早く、長い時間街に留まるには、データの転送元たる本体コアの強化が不可欠。そのために必要な「ジェム(JEM)」を集め、コアの機能を強化しながら行動範囲を広げていく。

遊びとしてはいわゆる「素潜り」に近く、どこまで広範囲を探索できるかに挑むスリリングなプレイ感が特徴。しかも、広く探索して「ジェム」を沢山集められれば、コアをより強化できるため、積極的に挑戦したくなる。そんな確かな見返りが用意されていることによってもたらされた、驚異的な中毒性が最大の魅力。調子付けば、2~3時間延々と遊び続けてしまうほど、時間泥棒なゲームになっている。マップも罠あり、お邪魔キャラありと構成が練られていて、探索し甲斐抜群。性能強化と同時に近道が解禁されたりと、繰り返しプレイによる負担を軽減させる細かな配慮が徹底されているのも秀逸だ。

グラフィックも緑を基調とした禍々しさと懐かしさが混同した作風が強烈。ストーリーも冒頭こそおぞましいが、徐々に主人公たちの人類抹殺に共感するようになる刺激的な内容にまとめられている。ボリュームもゆっくり進めて4~5時間程度、実績にお手伝いロボット回収などのやり込み要素も豊富で、遊び応え十分。グラフィックに惹かれた人も、システムに惹かれた人も相応に満足させてくれる傑作なので、少しでも興味を抱いたのならぜひプレイいただきたい。

なお、当もぐらゲームスに単独記事が掲載された当時は「ゲームアツマール」のブラウザ版のみだったが、2022年現在は PC(Windows、macOS)ダウンロード版も「ふりーむ!」にて公開されている。また、大型アップデートが実施され、キャラクターイラストの差し替え、グラフィックの色彩変更オプションの追加なども実施された。そのほか、記事掲載当時から予告されている真エンディングの追加はまだ実現していない。いつになるのかは分からないが、2022年内に拝むことができれば……と、本作に魅了された人間のひとりとして心待ちにしたい。
(シェループ)

◇関連記事:母のため、人類抹殺を目論む姉妹AIの物語。鮮烈なビジュアルと高い中毒性が光る探索ADV『天は長く地は久し』

[基本情報]
タイトル:『天は長く地は久し』
作者:11t
クリア時間:4~5時間
対応プラットフォーム:ブラウザ(※スマートフォン、タブレット非推奨)、Windows、macOS
価格:無料
備考:ダウンロード版は「ふりーむ!ID」必須

ダウンロード・プレイはこちらから
※ゲームアツマール(ブラウザ版)
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm17044

※ふりーむ!(ダウンロード・ブラウザ版)
https://www.freem.ne.jp/win/game/25206

ZAKESTA

2018年の「おすすめフリゲ・インディゲーム15選」にてピックアップした横スクロールシューティング『VASTYNEX』(紹介記事)の作者ざきち氏の新作。「のーみそコネない系シューティング」をキャッチコピーに掲げた、縦スクロールのシューティングゲームである。

内容は襲い来る敵の軍勢をショット攻撃で撃ち落としつつ、ステージ(エリア)最後に待ち受けるボス撃破を目指すジャンルの王道に則ったもの。戦闘スタイルは主要装備のショット、副装備の「サブウエポン」の2種類を使い分け、敵を迎え撃つ形式。全体攻撃用の「ボム」は存在せず「サブウエポン」の一部が代理を務める、「サブウエポン」のレベルが自機の耐久力を指すといった特徴的な仕様こそあるが、根っ子は純粋なステージクリア型シューティングゲームで、細かいことを考えず楽しめる作りである。

相応に演出周りに並々ならぬ力が注がれており、その中でもステージの構成(流れ)と音楽の曲調がフルシンクロする場面の多さが圧巻。思わず全身に鳥肌が立つと同時に、夢見心地な気分に浸ってしまう圧倒的な爽快感と高揚感が味わえる。楽曲もトランス系の楽曲を中心に選出。中でもボーカロイドの「巡音ルカ」による歌唱付きの楽曲は、その使い方共に独自のセンスが炸裂している。効果音やエフェクトも、気持ちよさを最高潮にまで高める工夫が凝らされており、もの凄い映像の世界を体験したかのような気分にさせてくれる。シューティングゲームとしての完成度も高く、巧みな敵配置とステージごとの個性付けの上手さ、そして良心的な難易度が異彩を放つ。とりわけ難易度は終始力押しが可能という訳ではないが、直感で困難を乗り越えられるという絶妙なバランスに驚かされること請け合いだ。

シューティングゲームにて、最も気持ちが高揚する瞬間というものをたっぷり味わえる本作。このジャンルに爆発と演出のシンクロを求める人なら、ストライク間違いなしの傑作である。難易度も易しめで、シューティングゲームを普段遊ばない人も気軽に楽しめる設計なので、怖がらずに飛び込んでみていただきたい。極上のトリップ感をお約束する。
(シェループ)

◇関連記事:ゲームプレイと演出のシンクロによる圧倒的トリップ感!”のーみそコネない系”爽快シューティング『ZAKESTA』

[基本情報]
タイトル:『ZAKESTA』
作者:喜撃屋本舗(ざきち)
クリア時間:30分~
対応プラットフォーム:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちら
※喜撃屋本舗公式サイト
http://zakichi.ojaru.jp/zakesta.html

※itch.io
https://zakichi.itch.io/zakesta

※紹介ページ(フリーゲーム夢現)
https://freegame-mugen.jp/shooting/game_9743.html

プリンキピア・アルケミア

難解プログラミング言語「Befunge」を下地に作られた思考型パズルゲーム。19世紀初頭、産業革命下の架空のイギリスを舞台に、工房を開業した錬金術師の主人公が客の要望に応えるため、様々な「錬金術回路」を作っていくというストーリーも設定された作品である。

「錬金術回路」は「グリフ」と称されたパーツを盤上に設置し、問題ごとに設定された目標の元素を生成(出力)させる流れを確立させることが基本。端的に言えば、元素を延々作り出すループを完成させればいい。ただし、そのためには全問題にあらかじめ設置された「始点」のグリフから発せられる「エネルギー」の正確な誘導、指定の元素が確実に生成される過程(命令)の構築が必須。その実現のために「制御」、「入出力」など全4カテゴリから成るグリフを用い、試行錯誤を重ねながら適切な回路を作り上げていくのが、本作のパズルゲームとしてのキモにして特徴なっている。

正直、覚える事柄が多く、チュートリアルも不足気味のためプレイハードルは高め。だがその分、理解が深まると最適な回路図を求めて、攻略済みの問題を何度も遊び直したくなる面白さがある。特に答えがひとつとは限らないこと、問題ごとに「コスト」という名の回路上の最適化具合を示すスコアが算出される部分がそれをひと際輝かせている。それゆえにリプレイ性、中毒性も桁違いに高く、あまりに没頭し続けると2~3時間以上が裕に吹き飛ぶ。問題もバリエーションが多彩でやり応え十分なほか、自作の問題を作れる「エディットモード」もあり、その気になれば無限に遊び続けられる作りにもなっている。

他に問題に関しては一部のグリフ使用を禁じる類のものが一切なく、プログラミングを題材に据えたパズルゲームらしい自由度の高さと楽しさが描かれているのも秀逸だ。プログラミングが好きな人はもちろん、風変わりな思考型パズルゲームを求めている人に強くお薦めできる傑作。繰り返しになるが、最初の取っつきは悪い。だが、辛抱強く取り組み続けることで、素晴らしき回路作りの沼が見えてくる。この中毒性は誇張抜きに唯一無二。興味があればお試しあれ。
(シェループ)

◇関連記事:目的はただひとつ、答えは多数。革新的プログラミングパズル『プリンキピア・アルケミア』

[基本情報]
タイトル:『プリンキピア・アルケミア』
作者:Rtt
クリア時間:2~6時間
対応プラットフォーム:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちら
※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/25199

※フリーゲーム夢現
https://freegame-mugen.jp/puzzle/game_9395.html

RexColosseum

成り行きで小さな道場と闘技団の運営を押し付けられた商人見習いの主人公が、年に1度、闘技場で開催される大イベント「レクスコロセウム」に出場するため、奮闘する模様を描いたシミュレーションRPG(RPG)。

闘技場が題材ゆえの戦闘と育成寄りのSRPG……と思いきや、マネジメント系。戦闘と育成以外に闘士の雇用、体調管理、道場発展、武器などの物資調達、資金管理、そして大会への参加など様々な事柄に取り組んでいくSRPGになっている。

特に資金管理はシビアで、育成から道場発展などまで様々な局面で消費するため、無計画に散財すれば後々地獄を見る。稼ぐ手段も相応にあるが、闘技団が弱い時は大会で勝利しても賞金は少なめ、日雇いアルバイトの依頼でも雀の涙レベルの給料しか得られないなど、とことん世知辛い。極めつけに最終目標「レクスコロセウム」への参加にも複数の条件があり、何かしら未達が確定すればその時点でバッドエンディング直行。そんな困難に悩まされながら闘士たちを確実に育て上げ、闘技団を発展させていく、マネジメント要素の酸い甘いもたっぷりなゲームデザインが最大の魅力となっている。

相応に計画と節約が好ましい結果に至った時の快感は格別。また、本編はマネジメントと大会への参加及び挑戦を繰り返す構成だが、大会は選べる種類がランダムで変わる仕様。常に異なる展開が繰り広げられるので、周回プレイが大変面白く、刺激的なものになっている。他に本編のボリュームも2~3時間程度で周回に挑戦しやすいほか、途中セーブを封じる「鉄人モード」なる特別な難易度も用意したりと、やり込み周りへのフォローも万全だ。

マネジメントに振り切った反動により戦闘マップは質素で、それらを攻略する面白さは皆無。また、運の要素がやや強い点は好みが分かれやすい。

ただ、そのようにしたなりに独自の面白さと世知辛さを秘めたSRPGに仕上がっている。主にマネジメント系のゲームが好きな人にお薦め。SRPG好きもシステム嗜好な人ほど刺さる作りなので、思い切って挑戦し、栄光の頂点を目指してみよう。
(シェループ)

◇関連記事:駆け出し闘技団を鍛え上げ、目指すは頂点!世知辛さもほんのりのマネジメント系SRPG『RexColosseum』

[基本情報]
タイトル:『RexColosseum』
作者:海のお魚パーティー
クリア時間:3~5時間
対応プラットフォーム:Windows
価格:無料

※ダウンロードはこちら
https://www.freem.ne.jp/win/game/25814

精霊伝承

”ド”が付くほどストレートで、王道一直線の長編SRPG。
敵味方ユニット(駒)が交互に行動するターン制、武器の相性に応じて命中率が上下する「3すくみ」、難易度「ノーマル」以上にて追加される敗北ユニットの永久退場など、伝統的なSRPGの要素を軒並み網羅したゲームシステムで構成されている。

特に一連のシステムの元ネタたる、2000年代のシリーズ作品に対する影響が強く、ユニット同士が何度か隣接すると発生する「支援会話」、次の章(戦闘マップ)へ移行する前に挿入される「拠点」などがその象徴となっている。なお、「支援会話」は公開当時未完成だったが、2021年11月に完成を迎え、アップデートで実装されている。

また、「ボーナスポイント」なるマップクリア時のターン数に応じて得られる特別なポイントがあり、これを用いることで味方ユニットに経験値を与えたり、貴重なアイテムとの交換が行える。さらに獲得したポイントはマップごとに記録され、ゲームクリア時にはその合計得点も表示。その最高値に挑む、スコアアタック的なやり込み要素が用意されているのは少し独特だ。また、主人公の性別と名前を設定できたり、最初の章でどのユニットを連れていくかが選べ、その判断次第で以降の戦術が一変するといった仕掛けもある。

全体的に王道寄りの作りなので、SRPGに慣れた人なら自然に馴染める。慣れてない人もチュートリアルを始めとする配慮が万全なので、安心して遊べる設計だ。その取っつきやすさもさることながら、キャラクターグラフィックの手の込み具合も圧巻で、中でも戦闘での行動、体力減少などに応じ、表情が細かく変化する演出は必見。難易度も程よく手ごわいバランスで、マップも独自の個性付けを図った地形が満載と、やり応えも申し分なし。数あるSRPG Studio製タイトルの中で、入口の1本に最適な抜群の安定感を持つ力作。キャラクター目的で遊んでも満足できる内容なので、そちらに興味を抱いた人にもお薦めだ。
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『精霊伝承』
作者:臼井の会 / 香月清人
クリア時間:20~25時間
対応プラットフォーム:PC(Windows)
価格:無料

ダウンロードはこちら
※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/25715

※フリーゲーム夢現
https://freegame-mugen.jp/simulation/game_9552.html

LOOP HERO

世界を縛り付ける無限ループという名の混沌の破壊を目指すストラテジーRPG。だが、その実態は多彩かつ膨大な要素で構成された、一言では表現しにくい革新的なゲームに仕上げられている。

特に強い印象を残すのがゲームの根幹部分。環状の道を自動で歩み続け、現れる敵との戦闘を繰り広げる主人公を眺めつつ、彼を支援するため、手札にあるカードを使い、建造物や自然物などを配置していく随分風変わりなものになっている。それによって主人公のステータスが強化されるほか、強力な武器や防具類が手に入るチャンスが増す。だが、沢山配置すると同時に強力な敵が出現するようにもなり、戦闘でピンチに陥りやすくなる弊害も。

また、主人公が周回するたびに敵の強さも上昇していき、長く周回し続ければ続けるほど不利になっていく。そうならないよう1周の内にカード、装備類の獲得機会を沢山設けるなど、効率的かつ最小限の周回計画を確立させていくのが勝利のカギ。やることはカードを使っての地形設置だが、それとは裏腹にやること満載の慌ただしい作りになっている。

また、戦闘と地形の配置と併せて様々な「リソース」も手に入り、これを一定数集めると拠点の村で新しいヒーロークラスにカード、追加能力などが解禁でき、より幅広い戦術が実践可能になる。だが、リソースは周回中に倒れてしまうと拠点に持ち返る量も減少。沢山持ち帰るには周回で村に到達した時の撤退か、ボスの撃破のいずれかに限られるため、どこまで攻めて、どこで退くかというプレイヤーの判断が試されてくる。そんなローグライク風の戦術が試されるのも特徴のひとつになっている。

2021年発売の新作インディーゲームの中で、最もゲームシステムに魅了された作品は?と聞かれたら即答する1本。それほど斬新な面白さと、戦略を練る楽しさが詰まった作品に完成されている。前述にローグライクの名を出したが、難易度はそれほどシビアではなく、拠点の拡張やカード解禁と同時に突破口が見えてくる絶妙な調整。勢いに乗れば、4~5時間が吹き飛んでしまうほど中毒性も抜群だ。
若干、システム周りの説明が不足気味の部分もあるが、ストラテジー系のゲームが好きな人にはイチオシの1本。

現在はNintendo Switch版が発売され、家庭用ゲーム機でも楽しめるようになっている。Switchの携帯モードとの相性も申し分ないので、この年末年始、ステイホームを決め込む予定の方はそのお供にどうぞ。
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『Loop Hero』
発売・開発元:Devolver Digital、Four Quarters(※日本語ローカライズ:架け橋ゲームズ)
クリア時間:10~12時間
対応プラットフォーム:PC(Windows、Mac、Linux)、Nintendo Switch
価格(税込):¥1,520(全プラットフォーム共通)
IARC:12歳以上対象

購入はこちら
※PC(Steam)

※PC(Epic Games Store)
https://www.epicgames.com/store/ja/p/loop-hero

※Nintendo Switch
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000041967.html

UnMetal

決して伝説の傭兵ではない、トヨタ製自動車を愛用する民間人ジェシー・フォックスが、濡れ衣によって投獄された謎の軍事秘密基地からの脱出を目指すステルスアクションゲーム。

念のためだが、某メタルとは何ら関連性のない作品である。
なぜならば”Un”Metalだからである。ジャンルは一緒だが。

だがストーリーが全編、主人公フォックスの記憶に基づいた回想であるという点で独自性を出している。記憶に基づくがゆえ、所々であり得ない展開やイベントが発生するのも大きな特徴で、それがプレイヤーの笑いを誘う。
そんなシリアス1割、ユーモア9割の極端な作風が最大の売りとなっている。

また、この設定を活かした選択肢による分岐要素も実装。随所にフォックスが当時の記憶を思い出すイベントがあり、そこでの回答によって敵の数が変わったり、難易度が上下するといった変化が楽しめる。ステルス部分でも、フォックスの民間人設定を活かした殺人厳禁の制約が独自の手ごわさを演出。万が一、人間(※とても重要)の敵兵を拳銃で撃ってしまった時は、手持ちの救急キットで応急措置をしなければらないので、極力格闘攻撃などによる気絶を狙っていくことが求められる。

アイテムも2つを組み合わせ、新たなアイテムを作り出す合成システムを搭載しており、これでストーリーを進行させたり、行動範囲を広げるといった展開も用意されている。チャプターごとに用意されたミッションも多彩で、プレイヤーを退屈させないというアクションゲームのキモを見事に押さえた丁寧な作り込みが異彩を放つ。

一見、パロディゲームだが、その実は本作独自の体験がたっぷり詰まった意外な逸品。ひとつのステルスアクションゲームとしても完成度が高く、ボリュームの充実ぶりも相まって大変やり応えのある内容になっている。日本語にも完全対応していて、ユーモア9割の作風をガッチリ掴んだ秀逸な言い回し(翻訳)が光る。某メタルが好きな人もそうでない人も、怖いもの見たさで挑んでみる価値のある伏兵的良作だ。

誰かにソックリなこの男が体験したと騙る、ジャッカル級脱出劇を追体験してみよう。
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『UnMetal』
発売・開発元:@unepic_fran、Versus Evil
クリア時間:9~10時間
対応プラットフォーム:Windows、Xbox One、Xbox Series X|S
価格(税込):¥1,900(Steam)、¥2,350(Xbox)、¥1,880(Epic Games Store)
IARC:16歳以上対象(暴力・出血表現、性欲を持て余す類の表現あり

購入はこちら
※PC(Steam)

※PC(Epic Games Store)
https://www.epicgames.com/store/ja/p/unmetal

※Xbox One(Xbox Series X|S)
https://www.xbox.com/ja-JP/games/store/unmetal/9P9KR2GN0BZ3

Inscryption

あの怪作『Pony Island』、『The Hex』を生み出したDaniel Mullins Gamesの最新作。森の生き物たちが描かれたカードでデッキを構築し、戦闘を始めとする様々なイベントが設けられた森を進みながら、最奥を目指していくという内容。

ローグライク由来のランダム性をカードゲームのデッキ構築へと反映させ、独自の戦略性を確立させた傑作『Slay the Spire』のフォロワーとも言える作りになっている。
だが、このゲームには極めて重大にして前代未聞の特徴がある。

ゲーム開始時点でセーブデータが存在し、新しくゲームを始められないのだ。

また、カードゲームのプレイ中、自らの周りで何らかの”変化”が生じる。
そして、自らが対戦で用いるカードの名称欄には……

……残念ながら、もうこれ以上本作について語ることはできない。そもそも、紹介記事やレビューを書くなどできないに等しい。それほど衝撃的な内容になっている。
少しだけ書くとしたら、このゲームはカードゲームではない。しかしながら、カードゲームである。そう、カードゲームなのだ。カードゲームなのにカードゲームではない。
それでもカードゲームをプレイヤーは遊ぶのだ。

何が何だかだが、書いているこちらも何が何だかである。とりあえず、『Pony Island』の作者の新作という情報で全てを察していただきたい。
つまるところ、そういうことだ。

そんな訳で……カードゲームを始めよう。面白イよ。タノシイよ。
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『Inscryption』
発売・開発元:Daniel Mullins Games、Devolver Digital(※日本語ローカライズ:架け橋ゲームズ)
クリア時間:10~11時間?
対応プラットフォーム:Windows、Xbox One、Xbox Series X|S
価格(税込):¥2,050(Steam)

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※PC(Steam)

雨音と自動人形 結(むすび)

廃線となったバスの待合所。そこで盲目のメイド型アンドロイド「アヤ」はひとり”誰か”を待ち続けていた。ある日、そこに人の記憶を封じる仕事を請け負う男「雪村」がやってくる。彼はアヤが待っている”誰か”の記憶を持ってきたと語るが……?

そんなひとりの男性と、メイド型アンドロイドの出会いと記憶を巡るストーリーを描いた短編ノベルゲーム。選択肢などのゲーム的な要素はなく、エンディングもひとつだけというストーリー特化型のシンプルな作りになっている。

相応に演出に力が注がれており、展開に応じて文章の表示形式を変えたり、全体のレイアウトを切り替えるなど、ゲームという媒体特有の強みを活かした工夫が凝らされている。そのため、終始退屈することなく、ストーリーを読み進めていけるのが大きな強みにして魅力。一枚絵、表情差分も多彩で、特にアンドロイドのアヤは、初見の印象からは想像も付かないほど可愛らしいキャラクターとして描かれている(耳に注目)。ストーリーも静かで冷たい雰囲気とは裏腹に暖かく、驚きも詰まった見応え抜群の内容。とりわけ中盤の終わりからエンディングにかけて語られる、アヤが待つ”誰か”のエピソードは涙腺を刺激されること請け合い。アヤに記憶を届けようとする「雪村」、バス停に時折やってくる少女「美月」も個性的なキャラクターになっていて、特に前者は色んな意味で強烈な印象を残すだろう。

大よそ2時間ほどで読み終えられる内容だが、力の注がれた演出と魅力溢れるキャラクター、そして中盤からの見入る展開の数々もあって、心に深々と突き刺さる作品に完成されている。前述では触れなかったが、オープニングとエンディングには専用のムービーも用意されていて、主題歌と併せて大変印象的なものに仕上げられている。それらが流れる直前に挿入されるシステムメッセージの表示は無くていいのでは……と、筆者個人には引っかかる部分もあったが、作品自体の出来は盤石。設定と全体的な雰囲気に少しでも興味を抱いたのなら、迷わず読み始めていただきたい1本だ。

念のため、ハンカチは傍に置いておくといいかもしれない。
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『雨音と自動人形 結(むすび)』
作者:datchi
クリア時間:1時間半~2時間
対応プラットフォーム:Windows、ブラウザ
価格:無料

ダウンロード・プレイはこちら
※フリーゲーム夢現
https://freegame-mugen.jp/adventure/game_9954.html

※ノベルゲームコレクション
https://novelgame.jp/games/show/5632

Re:Bus(リバース)

『雨音と自動人形 結(むすび)』に続き、こちらもバス停が絡んだノベルゲーム。日々の激務が祟って帰りの電車で寝落ちし、知らない町へとやってきてしまった主人公でOLのヨルが、不思議な循環バスと共に”大切なもの”を見つける真夜中の旅を繰り広げていくというストーリー。

全12のバス停が設置された地域へと自由に降り立ち、始発電車が動き出す午前4時頃まで時間を潰すのが主な流れ。各地域への移動は路線図風の全体マップ上で行い、エリアを決めたら画面中央に現れる降車ボタンを押すという、循環バスを題材にした作品らしいものになっている。ただ、時間制限の関係で12の地域全てを1周の内に訪れるのは不可能。地域それぞれにも固有のエピソードが用意されているが、全部確かめるとなれば他の地域への降車を断念せざるを得ない。そのため、どちらも達成したければ周回プレイは必須。それも何十周も繰り返す必要がある、『Re:Bus』の名に相応しい特徴を持つ作りになっている。

また、1周は大よそ10~15分程度だが、最終目標の”大切なもの”の発見を目指すと5~6時間要することになる意外性抜群のボリュームも特徴のひとつ。それもアイテムを手に入れ、それをヨルが勝手に使う場面を見つけ出してフラグを立てるという、探索型アドベンチャーゲームさながらの試行錯誤が求められる。加えて時間制限という制約から、常に計画を立てながらの行動が必須。さながら「手ごわいノベルゲーム」とも称せる、思いもしないやり応えを味わえるのだ。

そんなノベルゲームにしては珍しい攻略性の高さが異彩を放つ本作。ストーリーも相応に見所満載で、特に終盤にかけて明らかになる真相と、手ごわくした意図には思わず膝を叩いてしまうほど。往年のパソコンゲームを意識したグラフィックも独特の味わいがあって印象に残る。主に探索型アドベンチャーゲームが好きな人に推せる1本。ノベルゲームとしても個性の強い作りになっているので、興味があればこのバスに乗車し、”夜のぶらり途中下車の旅”を楽しもう。

いや、それを言うなら『路線バスで寄り道の旅』だろう、との異論は認めます。
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『Re:Bus(リバース)』
作者:竹関工房
クリア時間:15分(1周)、3~5時間(TRUE END)
対応プラットフォーム:Windows、ブラウザ
価格:無料
備考:スマートフォンからのプレイは非推奨、15歳以上対象

※ダウンロード・プレイはこちら
https://novelgame.jp/games/show/5696

ホムンクルスの肉

正式名称は『ホムンクルスの肉<ホラーゲームが苦手なひとのために”最大限”配慮したホラーゲーム>』。その過剰なまでに長い副題の通り、ホラーゲーム特有の怖さを極限にまで抑えた、度を越した過保護っぷりを売りとする探索型アドベンチャーゲームである。

具体的には、何かしら怖い出来事が起きる直前にゲーム側がナレーションで予告してくれる。「上から肉塊のようなものが降ってくるようです」、「窓が何の脈絡もなく割れます」など、プレイヤーがドキッとしないよう手厚くサポートしてくれるのである。好ましくない言い方で表せば、全編ネタバレに次ぐネタバレの連続。何が起きるか最初から分かってしまうので、ホラーゲームなのに全然ドッキリさせられることがない、本末転倒にも限度がある内容になってしまっている。

しかも、本編の舞台となるマップも狭い、怪しい場所には吹き出しが必ず表示、そこを調べれば必ず先に進める、主人公は3人パーティなので都度雑談が挿入されるといった、ホラーゲームにおける恐怖の調味料たる部分までも最大限に配慮!おかげで雰囲気的にも不気味さ皆無!ぶち壊しもぶち壊し!「そこまでするか!」と言いたくなる徹底ぶりである。極めつけにゲームクリアに要する時間もたったの15分。短編である構成までもホラーゲームとして配慮しているのだから、もはや笑うしかない。

つまるところ、ホラーゲームという名のバカゲー。作りが作りだけに、ホラーゲームは全然ダメ、勘弁してください、私がわるぅございました御代官様な人には自信を持ってお薦めできる作品である。
そして、ホラーゲーム好きにはそれ以上にお薦めできる作品でもある。こんなネタバレ全開で雰囲気ぶち壊しの内容のどこにホラーゲーム好きを満足させるものがあるんじゃい!……と物申したくなるかもしれない。だが、あるのだ。あるのだよ。

詳しくは……これから遊ばれる皆様に最大限配慮しまして、手厚く豪快に力押しで伏せさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。では、いってらっしゃい。
(シェループ)

[最大限配慮した基本情報]
タイトル:『ホムンクルスの肉<ホラーゲームが苦手なひとのために”最大限”配慮したホラーゲーム>』
作者:左右対称思考型パズルゲーム『Dragon’s Crystal』(紹介記事)の竜半様
クリア時間:ホラーゲームが嫌いな人や時間がない人に最大限配慮した15分
対応プラットフォーム:パソコンからスマートフォンまで最大限配慮したブラウザ
価格:資金繰りに悩まされている方に最大限配慮した無料

※ゲーム本編は以下のリンクから遊べます。PC、スマホの音量にご注意ください。
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm22414

ワールドピース&ピース

“魔女”と“人間”という2つの種族が争う混沌の世界で、どちらの種族にも組していないはぐれ者の魔女「トレス」、そのパートナーである箒の「ホウキ」。彼女たちが、傷だらけの蝙蝠「カラス」と出会い、トレスの唯一の親友である人間の女性「リーズ」の行方を探すことをきっかけに、物語は動き出す。”世界史の終わるとき”に向けて……。

まずシナリオが素晴らしい。トレスたちに絡みつき、解き放たれ、次第にそれが必然であったかのように、無慈悲を感じるほどに一点に収束していく“運命”を描く手腕は見事。全く無関係に思えた出来事や人間同士の関係性が露わとなり、望んでもいないドミノ倒しのように物語が転がり落ちる様はまさに“悲劇”の一言だろう。フリーゲームであれば「Seraphic Blue」を思い起こさせる作風も感じるが、人間描写や関係性を、一人一人に向き合ったうえで描く様は丁寧とも執念とも言え、この作品独自の魅力を感じる。

次にシステムだが、味方の行動に応じて連携攻撃が繋がる戦術性の高い「プログレッションバトル」のほか、場面に応じてルールが根本的に変化する3つのバトルシステムを攻略することも大きな特徴。特にメインとなるプログレッションバトルの難易度は絶妙だ。「Rat Bite Cat(=窮鼠猫を嚙む)」というシステム名が表す通り、気を抜いたら一気に形勢逆転されてしまう。よくRPGを遊ぶプレイヤーでも緊張感のあるバトルが楽しめるはず。どうしても難しい場合、ゲーム中の難易度設定もあるため、物語だけを楽しみたい人でもプレイ可能。

公称プレイ時間も50時間となる重厚長大な物語が展開されるダークファンタジーRPG。ゲームシステムとしても物語としても、プレイヤーの力や覚悟を問うものとなっているが、その道のりを乗り越えた先に待つものを見届けてほしい。
(poroLogue)

[基本情報]
タイトル: 『ワールドピース&ピース』
制作者: T-FTA
クリア時間:50時間~(公式サイトより)
対応OS: Windows
価格: 無料

ダウンロードはこちらから
(公式サイト)
http://www.t-fta.com/html/wpp_html/wpp_top.html

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。

  • シェループ(@shelloop

    様々なゲームに手を伸ばしたがる人。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションを与えると喜びます。

    Webサイト:box sentence

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。