ぽっかり浮かんだ、小さな星での物語。2.5D幻想フリゲアドベンチャー『Shiki』

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主を失った小さな不毛の惑星。そこへ自分の世界を捨てて新たな管理人としてやってきた一人の少年。前任者との交流や、流れゆく季節の中で、そこに残された様々な想いに触れていくことになる。

ハタ イケダ氏の制作による『Shiki』は、サン=テグジュペリ著『星の王子さま』を原案としたアドベンチャーゲーム。
2019年9月24日よりふりーむ、夢現などのフリーゲーム投稿サイトやBOOTHなどで公開されているほか、11月5日からはSTEAMでの配信も開始されている。いずれのサイトからでも無料でダウンロードすることが可能だ。

星を巡る、小さな星を

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『Shiki』では星の新任管理人としてやってきた少年となり、前任の管理人である青年ギアードから示される依頼をこなしていく形でストーリーが進行していく。

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星はドットとポリゴンを組み合わせた”2.5D”スタイルで描写されており、寝泊まり用のテントや井戸、コンロがわりの小火山、ギアードが植えたリンゴの樹などが備えられている。画面中央部には各施設が存在する方向が表示されるので、それを参考に目的の場所まで移動して依頼を達成していこう。

星は20秒も歩けば一周出来てしまうほどの大きさで、「星」という言葉のスケールから考えると随分とちっぽけなものだ。しかし球体であるゆえに区切りとなる「端っこ」があるわけではなく、依頼をこなすために星をグルグルとしているうちに、全てに手が届くのに、どこか方向感覚が失われていくように感じられてくる。この不思議な星歩きの感覚が本作の魅力のひとつだ。

星は廻る、季節と共に

小さな星には水も太陽も見当たらないが、星の中には季節を操作することができる装置が存在している。装置は星の同居人であるオットーの力を借りることで操作される。

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雨が振り、空に星が瞬き、やがて施されていく雪化粧。本作のタイトルが示す通りの「四季」の移り変わりは殺風景な惑星に彩りを与え、景色が移り変わっていく幻想的な様子は見る者を楽しませてくれる。もしもこの星空を見て惹かれるものがあったのなら、本作を手に取ってみるだけのものは十分にあると言える。

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季節の移り変わりは物語の章立ての区切り目としても扱われ、全部で4つの章から構成されている。また、各章ごとにサブイベントが1つ用意されており、章の冒頭でサブイベントにたどり着くためのヒントが掲示される。いずれも難解な条件ではないので、忘れずにこなして観ておくようにしたい。

めぐりめぐって、かえってくるもの

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物語は少年の、そしてギアードの過去を追うように進んでいく。
謎のキツネに連れられて、少年やギアードが管理人になろうとした理由。ギアードが更にその前の管理人から引き継いだもの。星に組み込まれた装置と星が造られた目的。
語られるエピソードはいずれも断片的だが、その断片的をプレイヤー側で繋ぎ合わせていくことで、それぞれのエピソードがより印象強く刻まれていく。

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悲しみから逃れようとして、それでもなお避けることの出来ない別れ。拭いきれない後悔と寂しさ。本作はそうした感情にどう向き合うのかを明に暗に語りかけてくる。一抹の切なさを心の中に残していくことだろう。

なおここまで書き連ねてきたが、この記事を書いている筆者は本作の原案となる『星の王子さま』は未読である。『Shiki』が『星の王子さま』を知らなくても楽しめる作品であることは、この身を以て保障しよう。

[基本情報]
タイトル:Shiki
制作者: ハタ イケダ
クリア時間:  2~3時間
対応OS: Windows , Macintosh
価格: フリーウェア

↓ダウンロードはこちらから
(BOOTH)
https://booth.pm/ja/items/1578661

(ふりーむ)
https://www.freem.ne.jp/win/game/21141

(STEAM)


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    真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。