音”だけ”で綴られる、夢を追う旅。朗読劇アドベンチャー『SOUND JOURNEY DREAM SEEKER』

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いつからか、眠った時に夢を見ることがめっきりと少なくなった。最後に夢を見たのはいつだっただろうか。そしてそれはどんな内容だっただろうか。夢を見ること自体を夢のようにして、喧騒の日々は夢を見るだけの蓄えを削いでいく。

『SOUND JOURNEY DREAM SEEKER』は「夢の中」を題材とした、鳥野彫像氏の制作による朗読劇アドベンチャーゲーム。2019年6月15日より配信が開始されており、公式WebサイトからAndroid版がダウンロードできるほか、boothやふりーむ等からWindows版のダウンロード、ノベルゲームコレクションのサイト上からブラウザ版のプレイが可能となっている。

想像力をくすぐるノンビジュアルADV

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本作『SOUND JOURNEY DREAM SEEKER』は、アドベンチャーゲームとしては非常に珍しい音声のみで進行する作品となっている。(故に、本記事での画面写真はこれ1枚きりである!)
例えば移動中の時など、何か別のことをしている状態であっても、ラジオドラマやドラマCDを聴くかのようにプレイできる点が本作の特徴といえるだろう。

各場面は「部屋」という形で区切られており、プレイヤーは部屋の中で起きる出来事についての選択を迫られる。選択肢がアナウンスされた際には、画面の左部・右部のどちらかをタップすることで提示された行動の選択を行う。

エンディングへ到達した際には画面中央部の「ENDING LIST」のランプが点灯する。エンディングはランプの数と同じ12個が存在しており、最後のエンディングへ到達するためには他の全てのエンディングを通過する必要があることが作中で示唆される。1回のエンディングへ到達するまでの所要時間は、選択肢の選び方にもよるがおおむね30分から1時間程度となっている。

セーブは部屋の移動ごと、ならびに選択肢の決定ごとに自動で実施され、タイトル画面から「つづきから」を選択することでセーブされたポイントから再開が可能。一時中断したい場合は保存の操作は気にせずアプリを落とせばOKだ。

「身体なんて、無くなってしまってもいいじゃない」

かくして本作では、プレイヤーは「夢の探究者」として夢の中を探索していくことになるが、その内容は作中の言葉を借りれば”観念的で、感情的”だ。

扉を潜った先で出会うのは、某即席めんがモチーフと思われる互いにいがみ合うキツネとタヌキであったり、懐かしいまなざしをした少女であったり、”生まれてから3番目に出会った”事が殊更に強調されるおじさんであったりと、なんとも癖の強い登場人物たち。
部屋の中で毒を飲まされたり、高所から飛び降りたりなど、すわバッドエンドか、と思わせるような展開があったとしても、淡々とシーンが移り変わり、時には自身の死ですらも一時の感覚のまま先へと進んでいく。

各々のシーンの脈絡の無さといえば確かにアリスのような夢物語そのもので、そこにさしたる繋がりや意味などは感じられず、ただただ投げかけられた言葉だけが受け取り手へと問われることになる。
それは歳を重ね、日々に追われることで久しく忘れていた、己が内を省みるための時間を与えてくれるものとして本作があるように映るのである。

もしも、この文を読んでいるあなたが心迷える旅人であるのならば、道しるべとなる言葉を探すべく、喧騒の日々から離れ、目をつむり、本作に耳を傾けてみるのもいいだろう。

[基本情報]
タイトル: SOUND JOURNEY DREAM SEEKER
制作者:  鳥野彫像
クリア時間:  公称12時間(1周30~60分)
対応OS: Android / Windows / ブラウザ
価格: 無料

↓ダウンロードはこちらから
Android版(公式サイト)
https://soundjourney.themedia.jp/pages/2958162/androidinstall

Windows版(booth)
https://soundjourney.booth.pm/

ブラウザ版(ノベルゲームコレクション)
https://novelgame.jp/games/show/1967

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    真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。