ゲームパビリオンjpで見つけたおすすめ同人・インディーゲーム8選

イベントレポート

2023年3月25日、同人・インディーゲームの展示イベント「ゲームパビリオンjp」が大阪・梅田スカイビル10階アウラホールにて開催された。これまでに大阪や東京でゲーム展示会を開催し続けてきた有志による「ゲームパビリオンjp準備会」が主催となっている。初開催となる今回は約80組の出展があり、関西方面で久々に開催された展示イベントということもあって賑わいを見せていた。

本イベントの特色としては「プチオンリー」の存在が挙げられる。プチオンリーは出展する有志によって企画・運営されるイベントで、同人誌即売会の「オンリーイベント」さながらに特定ジャンルを集結させている。
会場内は通路が広めに取られており、ゆったりとした雰囲気の中で会場を巡ることができた。

本記事では取材陣が気になった同人・インディーゲームを8作品紹介する。読者の皆さんも気になった作品があればぜひチェックしてみてほしい。

UNLIMITED GAMES 『VARIAVLE ARMS FRONTIER』

プチオンリー「インディーロボゲー祭」ではプチオンリー最多となる10ものタイトルが軒を連ねていたが、その中でもUNLIMITED GAMES 『VARIAVLE ARMS FRONTIER – 暁の皇女と忘れさられた惑星 -』がツインスティックにフットペダルという操縦スタイルで男の子心をくすぐる存在感を放っていた。

本作はオープンワールド方式となっており、飛行機形態と人型形態を切り替えつつ広大なフィールドを駆け巡ることができることが特徴となっている。空中を飛ぶ戦艦や天高くそびえ立つ軌道エレベータに戦闘機形態で肉薄したり、街を占拠する敵ロボット群に人型形態で突入して市街戦を展開するなど、ロボットものとあれば一度は夢想する様々なシチュエーションを味わうことができた。

試遊ではフィールドを散策する形でのプレイを体験できたが、今後はロボットのカスタマイズ要素やストーリーなども盛り込まれるとのこと。空陸海を自由に駆け巡れる日を心待ちにしたい。
(真野 崇)

Website:https://www.variavle-arms-frontier.com/

sectionS 『RAYGING BLUE アナイアレーション』

プチオンリー「爽快☆シューティングゲームオンリー」からはsectionSが開発中の 『RAYGING BLUE アナイアレーション』を紹介する。2024年のリリースを目標として開発が進められている。本作は赤・緑・青の光の三原色をモチーフとした少女たちが操る戦闘機を駆り、人類抹殺を企む科学者に戦いを挑むという筋立ての王道縦スクロール2Dシューティングゲームとなっている。

攻撃方法は通常ショット、前方に火力を集中させる強ショット、敵弾消しと自機強化を兼ねる覚醒の3種類。覚醒は時間経過で再使用可能となるため頻繁に頼っていける。また、プレイヤーのプレイ傾向を細かく診断し、様々な評価軸を持たせてスコア稼ぎ以外にも楽しめるようにしていくとのこと。その一端として、大型の敵に対しては撃破後も自弾を撃ち込み続けられる俗に言えばオーバーキルが可能になっており、この点が新鮮に感じられた。

年季の入った同人ゲーム・フリーゲームのファンの中には本作のタイトルに見覚えがある人もいることと思うが、本作は2001年にコミックマーケットで初頒布された後、2004年にフリー版『RAYGING BLUE -try α-』としてリリースされた作品のリメイクにあたり、またシリーズとしては15年振りの新作となる。時を超えた新生に注目だ。
(真野 崇)

Website:http://itbs.sakura.ne.jp/

フォギミ『ウィッチパズリズム』

健全なのにエロ、エロなのに健全、これは一体…。プチオンリー「健全・全年齢エロゲオンリー」からはフォギミ『ウィッチパズリズム』をピックアップ。セクシーな魔女たちが火花を散らす対戦型リズムゲームだ。

曲のリズムに合わせてフィールド上にラインが点灯し、タイミングに合わせてボタンを押すことでブロックを投下、ブロックを1列に並べるとブロックを消せると同時に相手の陣地へブロックを送り込める。ブロックを最上段まで詰まらせた方が負けになる。というように、リズムゲームと対戦型落ちものパズルの合いの子のようなシステムとなっている。

試合は3本先取で1本取るごとにムフフなことになっていくのだが、正確にリズムを刻む必要があるためゆっくり堪能するというわけにもいかない。加えて単に一定間隔でリズムを取れば良いというわけではなく、ブロックの配置状況に応じて臨機応変に対応しなければならない、と言う点も気の抜けなさに拍車をかけている。ステージごとのリズムの拍の取り方自体もバリエーションに富んだものになっており、面白くも手強いリズムゲームとなっていた。
(真野 崇)

Website:https://twitter.com/futhigi

Studio Dragonet『ラミアズバンビーナ』

パブリッシャ―・わくわくゲームズのブースでは、せきやdn氏の個人スタジオStudio Dragonetが開発中の『ラミアズバンビーナ』のプレイアブルデモが初公開となっていた。
『ラミアズバンビーナ』はタイトルにもある半蛇半女のラミア族を育成するシミュレーションゲーム。

種族間の覇権争いの中で半鳥半女のハーピー族に奪われた領地を取り戻すべく、ラミア達を育てて力を蓄えていく事が目的となる。育てたラミア達は戦いに送り出すのみならず、テラリウムならぬ「ラミリウム」にて様々な家具を設置し、ラミア達の生活の様子を愛でることも可能となっている。本イベントではこの「ラミリウム」の体験プレイが可能となっていた。

「ラミリウム」以外ではラミア族を繁栄させていく育成パート、ターン性のコマンド方式でハーピー族と戦う戦闘パートが予定されている。プレイできる要素はまだ少ないながらも、ラミアをファンタジーRPGなどでの敵役としてではなく主役としてスポットライトを当てようという並々ならぬ気迫が感じられた。本作は2023年リリースを目指して開発中となっている。
(真野 崇)

Website:https://www.studio-dragonet.com/

にゅー★じぇねれーしょんず!!『ギアガチャン』

毎年学生によるゲーム作品が鎬を削るゲームコンテスト・ゲームクリエイター甲子園。本イベントでは複数のブースで展示を行っていたが、その中からは地元の専門学校・HAL大阪のチーム「にゅー★じぇねれーしょんず!!」による『ギアガチャン』を紹介する。

本作は歯車を主人公にしたパズルアクションとなっており、ステージ上に置かれた歯車の上で自身が回転する事によって足場を動かして道を作りつつ、「エネルギーギア」を全て集めてゴールへ向かう事が目的となる。回転させている足場の先に障害物があるとそれ以上足場が動かせなくなるが、歯車同士が連動して動くことを考慮にいれる必要があり、文字通りの噛み合いに悩まされることになる。

パズルの出来もさることながら、主人公が健気に歯車を回す様子や小気味の良い効果音、歯車の回転に合わせたゲームパッドの振動といった手触りの部分も練られており、シンプルに触っていて楽しい点も魅力といえる。昨年2022年のコンテストでは総合大賞を獲得したという実績も頷ける作品となっていた。
(真野 崇)

Website:https://gameparade.creators-guild.com/works/324

ふらいんぐパンジャンドラム『医療無法人おおやぶ死科クリニック』

サークルふらいんぐパンジャンドラムの制作による『医療無法人おおやぶ死科クリニック』は藪医者となって見当違いかつ法外な医療行為でお金を稼いでいく過激なブラックジョーク的シミュレーションゲーム。普段の生活の中では藪医者にかかることはあれど、藪医者になる経験はまず無いであろうから、視点の妙というものを感じさせる。

医院にやってくる患者の「生命力」「金」「不快」のパラメータをコントロールし、患者に逃げられないようにしながらコマンド選択を重ねて患者から取れる限りの金をむしり取っていく。患者の病状に対応したコマンドをうまく使い、患者をスタン状態にして身動きできないようにするのがコツだ。獲得した資金を使ってより高度な技術を導入したり、蓄積した評価(無論、悪評)を「学会」で発表して名声を高めていこう。

なにかと物騒な発言が飛び交う本作は2023年2月17日よりDLsiteにて販売中となっているほか、中国語等への多言語対応を加えたうえでSTEAMでのリリースも予定されている。
(真野 崇)

Website: https://wargame.jp/

hisamu 『エメラダ フロンティア』

ひさむ氏が開発中の『エメラダ フロンティア』は、トレジャーハンターの少女を操作し、城をも飲み込んだ巨大な樹木の内部のダンジョンを探索していく3DアクションRPG。

特筆したいのは圧倒的なサクサク感。戦闘では連打いらずのボタン押しっぱなしで連続攻撃が繰り出せるようになっており、ザコ戦ならば半自動と言っても良いくらいのテンポで敵を倒して進んでいける。一方で回避や必殺技を織り交ぜて真剣に立ち回れるようにもなっており、アクションの腕前に応じた遊び方ができるようになっていた。筆者が試遊で選択したのは中間の難易度だが、開発者によれば難易度の選択によっても更に気軽なプレイが味わえるとのこと。

押せるブロックや爆弾を使って道を切り開く、光でできたレールの上を滑走するといったギミックも豊富に揃えられており、アクション面・探索面でも大いに期待が持てる。完成は2年以上は先になるという見込みだが、今からでもその完成が待ち遠しくなる一本だ。
(真野 崇)

Website:https://twitter.com/hisamumo

FAR EAST PINBALL『Fullswing』

展示会といえばビデオゲームとは趣の異なる電子工作作品との出会いも魅力のひとつ。本イベントで唯一の電子工作作品の出展となっていたのがFAR EAST PINBALLの『ホームサイズエレメカアーケードゲーム Fullswing』。「エレメカ」とはゲームセンターに置かれるゲーム機のうち、もぐら叩きやパンチングマシンのような「モニターによらない機械式のゲーム機」のことを意味する用語で、会場では実際にコインを投入してプレイする方式を取って臨場感を出していた。

ゲーム内容はLEDの発光で表される白球を、タイミングよくボタンを押して打ち返すというシンプルなもの。難易度を高校級の130km/h、プロ野球級の150km/h、世界最速の169km/hの3段階から選択可能となっている。打球はアウト・ヒット・ホームランの3種で判定される。
泣いても笑っても一発勝負となっており、繰り返しのプレイは断念せざるを得なかった。…ホームサイズとあるし、家に置けば遊びたい放題なのでは!?
(真野 崇)

Website:https://fareastpinball.com/

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。