アクションRPG『ティルキッス』がフリー化!激動の物語と弾幕STG風のボス戦が絡み合う名作、その魅力に改めて迫る

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ゲームサークルMIR_Revisionは2017年12月31日、有償同人ソフトとして頒布していた弾幕アクションRPG『ティルキッス ~Princess Shade~』を、フリーソフトとして公開した。

『ティルキッス ~Princess Shade~』は、2006年にリリースされた作品。見下ろし型の2DアクションRPGをベースにボス戦は弾幕シューティングゲーム風になるという独特の構成や、練り込まれたレベルデザイン、濃厚な人間ドラマが描かれるストーリーなどにより名作として名高い作品だ。リリースから10年以上を経てのフリー化というこの機会に、改めてその魅力を紹介したい。

騎士の少女を中心に描かれる恋と陰謀、そして信念の物語

本作の舞台となるのは幻想の国、イリスフィード。主人公の少女ティルキッス(通称ティル)が、騎士になるため田舎から王都へ出てくるところから物語は始まる。騎士となり、さまざまな人々と出会いながら成長していくティルだが、やがてイリスフィードを包み込む陰謀の渦に巻き込まれていく……。

本作の魅力のひとつが、可愛らしい絵柄で描かれる個性的なキャラクター達。王位継承が控えているがワガママで脳天気な姫マルガリータや、口は悪いが面倒見のいい先輩騎士ジャスティ、優しく頼りがいのある先輩騎士アイロネイアといった人物達と交流しながら物語が展開していく。ジャスティへの反発やアイロネイアへの淡い恋など、明るく真っ直ぐなティルの姿が感情豊かに描かれるのも微笑ましい。

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主人公のティルキッス。周りからは軽んじられがちなマルガリータ姫を、自分は支えようと決意する

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騎士アイロネイア。優しく頼りがいのある先輩に、ティルは淡い恋心を抱く

しかし物語が進むと、それぞれの思惑や隠されていた事実が徐々に垣間見えてくる。本作のシナリオは話数で区切られており、起承転結のはっきりとしたテンポのよいものだが、とくに「転」の盛り上がりが圧巻。さまざまな伏線が収束し、登場人物達の信念がぶつかり合い、描き込まれたキャラクタードットによる演出も相まって屈指の名シーンとなっている。そのテンションも覚めやらぬままクライマックスへと突入し、ドラマティックな物語を一気に駆け抜けるように堪能できるのがシナリオ面における本作の大きな見どころだ。

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それぞれの信念や激しい感情がぶつかり合う、熱いシナリオが魅力

ボス戦は弾幕バトル!剣と魔法の両方を使いこなす立ち回りも醍醐味

本作のフィールドは、画面端へ移動すると画面が切り替わるタイプ。街や草原など自由に行き来できるマップのほか、ストーリーの進行に応じて攻略していくことになるダンジョンがあり、こちらは1画面ごとに「特定の敵の撃破」「目的地(画面端)への到達」といったクリア条件を満たすことで先に進める、ステージクリア型アクションゲームのような作りとなっている。1画面ごとにタイムリミットがあり、クリア時の残り時間とノーミスなどの各種条件によってボーナス経験値が得られるのもポイントだ。

基本的なアクションは剣による近接攻撃とダッシュ、アイテムの使用。さらにゲームを進めると「魔法剣」を入手し、攻撃ボタンを押し続けることで魔力を消費して遠距離攻撃ができるようになる。ホーミングやオプション型など、さまざまなタイプの魔法剣を使うのも本作の楽しみのひとつとなっている。

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ダンジョンでは1画面ごとに、敵の撃破や目的地への到達などクリア条件が設定されている

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特殊なクリア条件やギミックなど、ダンジョンごとに特徴的な場面も

そして本作最大の特徴となっているのがボス戦。ボスは強力な魔法により「魔空間」を展開し、大量の弾幕による攻撃を仕掛けてくる。一方、魔空間ではティルの魔法剣が使い放題となり、バトルは一気に弾幕シューティングめいてくるという趣向だ。

ボスの弾幕は多彩で、また弾幕を撒きつつ敵本体も攻撃を仕掛けてくるといった、アクションRPGならではのボスも存在。ただ弾を避けながら魔法剣で遠距離攻撃するだけでなく、近接攻撃で敵本体を迎え撃ったり画面上の位置取りを大きく変えたりと、純粋なシューティングゲームとはまた違った、多様な立ち回りが必要となってくるのが本作独特のプレイ感を生み出している。

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ボス戦では魔法剣による遠距離攻撃が撃ち放題となり、激しい弾幕を潜り抜けながら戦う

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弾幕に囲まれる中、剣による斬り合いを繰り広げるような場面も

攻略の達成感と激動の物語が絡み合う名作

本作のボス戦は武人同士の一騎打ちという流れで始まることが多く、お互いの信念のぶつかり合いが弾幕バトルで表現されるような、物語とボス攻略の一体感も魅力。またダンジョンは洞窟といった一般的な意味での「ダンジョン」だけではなく、戦乱の地や緊急事態に陥った城内など、ストーリー展開に沿ってさまざまな場所がダンジョンと化すのも面白い。BGMも印象的で、本作オリジナルではないが「各話クライマックスのボス戦曲」などテーマ性のある使われ方をされており、物語を大いに盛り上げるものとなっている。

物語は意外性もありつつ、騎士や王族達による恋や策謀の物語といった王道感あふれるもので、リリースから10年以上経った今プレイしても全く色褪せることはない。ダンジョンやボス戦は厳しいように感じてもどこかに突破口があり、ゲームオーバー時のヒント機能も用意されているなどゲームバランスも絶妙だ。アクションRPGや弾幕シューティングゲームが好きなら、ぜひ触れてみてほしい作品だ。

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ゲームクリアに必須ではないサブダンジョンも。ドラゴンの住処には財宝が……?

なお、本作の作者であるMIR氏は現在、弾幕アクションRPGの第二弾『プリンセスシェイド リビジョン』を開発中。本作とストーリーの繋がりはないが、システムは本作を引き継ぎ、発展させたものとなるようだ。こちらも大いに期待したい。

【基本情報】
タイトル:ティルキッス ~Princess Shade~
制作者:MIR_Revision
クリア時間:約9時間(※筆者のプレイ時間。ボス戦等のリトライにかけた時間は含まず)
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
http://www.mir-rev.com/(サークル公式サイト)
https://www.freem.ne.jp/win/game/16574(ふりーむ!)

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    中村友次郎(@finalbeta

    フリーゲームと同人ゲーム、日本ファルコム作品をこよなく愛するゲーム好き。システムに凝ったRPGをとくに好んでプレイします。
    過去に十数年ほど、窓の杜の連載記事「週末ゲーム」の編集と一部執筆を担当していました。