もぐらゲームス執筆陣の選ぶ 2016年おすすめフリゲ・インディゲーム18選

インディーゲーム,フリーゲーム

2017年に入って、はやくも一週間が経過した。みなさんは昨年はどんなゲームをプレイしただろうか?

まだ新年明けて間もない時期、これからプレイするゲームを探し始めている人もいることだろう。そこで、今回はそんな読者の方々に向けて、もぐらゲームスの執筆陣のうち8名が、2016年にプレイしたゲームの中で特におすすめできるフリーゲーム・インディーゲームを18作品特集する。各執筆者が昨年プレイした中で心に残った「各々の名作」を順番に紹介していくので、気になった作品があればぜひ遊んでいただきたい。

『箱庭えくすぷろーら』

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フリーゲームRPG『箱庭えくすぷろーら』は、斜め上からの視点・クォータービューが特徴のアクションRPGです。プレイヤーは各地に散らばるダンジョンを自由に探索し、冒険できる地方を少しずつ開拓していきます。
 
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美しいドットで描かれたゲームは多々ありますが、本作では特に襲いかかってくる女の子型のモンスターのドットアニメーションに光るものがあります。可愛らしいだけでなく、縛ったり抱きついたりと「フェチズム」にこだわった動きは、完成度が非常に高いです。凶悪な攻撃ほど作り込まれているので、見とれているとあっという間に負けてしまいます。

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ボコボコにされるのを楽しむのも嗜好としてはアリですが、本作では彼女たちと戦うための多種多様な攻撃手段が用意されています。武器は種類ごとに使い勝手や攻撃範囲が大きく変わり、アイテムも魔導書や大きなタルの爆弾など様々。それらには使用回数や所持数の限度があり、装備やアイテムを使い分けて戦う必要があります。

他にもユーモアに富んだテキスト、冒険達成度を示す「実績」も用意されています。壮大な冒険を小さな箱庭に詰め込んだ本作は、手軽に濃厚な体験をするのにうってつけです。最近のアップデートでXinputゲームパッド(XBOXコントローラーなど)や低スペックモードにも対応したので、気になったらぜひ挑戦してみて下さい。
(ノンジャンル人生)

タイトル:箱庭えくすぷろーら
製作者:すき(suxamethonium)
価格:無料
ダウンロード先:http://ux.getuploader.com/twsuxa/

紹介記事:
フリーゲームアクションRPG『箱庭えくすぷろーら』 遊び心を詰め込んだドット絵の箱庭で、自由度が高くてちょっとだけエッチな大冒険をしよう!

『メイジの転生録』

メイジの転生録はダンジョン探索要素をカットした「ノンフィールドRPG」というジャンルのフリーゲームで、ゲーム投稿企画「VIPRPG紅白2015」にて総合1位、ユーザーによる人気投票企画「フリゲ2016」でも多くの票を獲得した作品です。架空の都市「宿命ヶ原」を舞台に、主人公の魔黒理人が前世に目覚め異能を操る者【メイジ】達の戦いに巻き込まれます。

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独特な作風の絵や設定など、一見すると思春期の頃に誰もが思い描いたような世界観のようです。しかし、RPG特有の冗長さを徹底的に省いたキレのある展開、強烈な個性のキャラクター、言葉の大洪水と言えるほどインパクトのあるテキスト群でプレイヤーを圧倒していきます。「これは本気で言っているのか、それともギャグなのか?」と思っているうちに物語が一転二転し、息もつかせぬ展開がプレイヤーを待ち受けます。

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「CLOSS FAIT BATTLE」と呼ばれている本作の戦闘では、遊び心に満ちた戦闘の演出と、合間に挟まれるイベントシーンが驚きを与えてくれます。オーソドックスなターン制コマンドバトルでありながらも敵の行動バリエーションが多彩で、最後までプレイヤーを飽きさせません。

敷居が高そうに見えますが、遊びやすさに重きを置いたゲームデザインのおかげで、すんなりと進めることが出来ます。物語と戦闘でゲームが構成されているので、RPGが苦手な方や時間のない方にもオススメです。
(ノンジャンル人生)

タイトル:メイジの転生録
製作者:unbreaktell
価格:無料
ダウンロード先:http://www.geocities.jp/vipkohaku2015/entry31.html
※プレイの際にはRPG_RT.exeファイルの移し替えが必要です。

関連記事:
コラム:フリーゲームをはじめよう。「第1回 誰もが最初は知らない、フリーゲームという未知の世界」

『Rush Dungeons!β』

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現れる敵をひたすら倒し続け、次々と入手できる装備品を吟味しながら自動戦闘で進んでいく放置系フリーゲーム。全滅してもこれといったペナルティはなく、じわじわとキャラクターを成長させていくシミュレーションゲームや、ハックアンドスラッシュゲームで遊びたい方へおすすめの一作だ。一度攻略できなかったマップを、装備品を強化したり入れ替えたりしながら突破する瞬間が何と言っても快感である。

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同じ装備品でもレア度によって効果が違う。強化し続けてきた愛用の武器とレアな武器を入れ替えるか・・・?そういった“選択”を次々と迫られる。手に入れた装備品の自動売却システムもあるので、ゲームを放置してご飯を食べにいくというのも選択の一つだ。食べ終わって戻ってくると、資金が集まっていて、レアな武器も手に入っていて、キャラクターもレベルアップしていて、嬉しい事尽くし!

本作は第8回「WOLF RPGエディターコンテスト」の画像/音声部門にて1位を獲得しており、放置ゲームということに反して「放置して画面を見ないのはもったいない!」と思わされたほどの、踊り狂う熱の入ったドット絵アニメーションも見どころだ。
(vanillaice)

タイトル:Rush Dungeons!β
制作者:Najicore
クリア時間:5時間程度
価格:無料
ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/12685

『Hyper Light Drifter』

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『Hyper Light Drifter』は、崩壊した文明や荒れ果てた遺跡の世界で自身の病を治すために旅をする探索型のハードなアクションゲーム。

「剣」と「銃」を駆使し敵を倒していく本作をハードアクションと呼ぶのは、「雑魚敵でも普通にやられてしまう」からだ。アクション後の一瞬の硬直に隙が発生するので、ゴリ押しプレイがしにくいゲームである。敵に囲まれたり、角に追いやられるとあっという間に死んでしまう。しかし、死亡時のコンテニュー画面が無いため、戦闘がハードでもストレスに感じることはない。

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『Hyper Light Drifter』の戦闘の深みを出しているのが、緊急時の戦闘サポートアクション「ダッシュ」である。本作は「盾」が存在せず、敵との間合いの取り方が戦闘の鍵。瞬時に攻撃回避、そして間合いを一気に詰めて攻めに転じる。ダッシュが戦闘にスピード感を与え、攻撃のバリエーションを広げることでスタイリッシュさを生む。

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極彩色に彩られた独特な世界は、レトロ風の雰囲気を出しつつも新鮮味が感じられる。探索や戦闘の合間に座って背景を眺めてはいかがだろうか。
(みたらし)

タイトル:『Hyper Light Drifter』
開発元:Heart Machine
クリア時間:10時間~
価格:1,980円
購入はこちら:

紹介記事:
『ゼルダ』や「ジブリ」の影響が息づく『Hyper Light Drifter』は美しくもムズかしいアクションRPGだった

『Pony Island』

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ゲームを開始して飛び込んでくるのは、陽気で緩やかなBGMと共にポニーが楽しそうに跳ねている和やかなスタートメニュー。しかし、心癒されるのは最初だけだ。ゲームを始めようとすると、雰囲気は一気に変わり、画面はモノクロ、モーター音のような重い音が耳を包む。いったい、何が起こっているのか……。

『Pony Island』は大きく分けると「アクションパート」と「プログラミングパート」に分かれて進行していく。若干のびっくり要素があるが、怖がりな筆者でもプレイできる範囲の演出なので安心していただきたい。

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「アクションパート」は、スタート画面に出ていた「Ponyくん」を操作しハードルを越えていく。ハードルにぶつかることなく、飛びきればゴールというルール。難易度としても簡単であるため、シンプルなパートだと思うことだろうが、しかし、ゲームを進めていくうちに……。

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次に、ゲーム画面内で現れる「バグ」を治す「プログラミングパート」。現れたバグをクリックするとプログラミング画面へと移る。プログラミングといっても、専門的な知識は必要ない。表示されている「鍵」を下の「鍵穴」へと導ければクリアとなる。

本作は、ゲーム初見の驚きが大きな魅力のひとつなので、内容の紹介はここまでにしたい。興味を持った方は是非『Pony Island』をプレイしていただきたい。あなたは、ふだん遊んでいるゲームの「裏側」を覗けるかもしれない……。
(みたらし)

タイトル:『Pony Island』
開発元:Daniel Mullins Games
クリア時間:2時間~
価格:498円
購入はこちら:

関連記事:
Steamセールで買いたい!おすすめ名作インディゲーム20選

『Replica』

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突如、何者かによって連れてこられたプレイヤーの目の前に置かれたのは1つのスマホ。そして謎の人物に「このスマホの持ち主によるテロの証拠を見つけろ」と伝えられる。『Replica』は、全ての出来事がスマホを通じて起こり、スマホ内部で完結するゲームだ。日常ではタブーとされているスマホの除き見を堂々とできてしまう。

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「誰かに電話をかけて助けてもらおう」と思っても無駄だ。謎の人物が常にあなたを監視している。開放されるには、大人しく支持に従った方が良いのかもしれない。スマホから持ち主の人物像や交友関係を探りテロ事件を紐解いていく。パスワードは、一見ノーヒントに見えて、実は「スマホならではの情報」が散りばめられている。TwitterやFacebookのようなアプリ、写真、検索履歴などから情報を集めよう。

本作は、プレイヤーの行動によって変化するマルチエンディングなので、前回とは違った行動や新たに仕入れた情報を試してみると良いだろう。エンディングを通してまた新たな謎が出てくるかもしれない。一度見たイベントはスキップができるので、サクサクと周回プレイができる。
(みたらし)

タイトル:『Replica』
開発元:Somi
Mullins Games
クリア時間:2時間~
価格:298円
購入はこちら:

紹介記事:
他人のスマホを覗いて謎を解く背徳のアドベンチャー『Replica』 Steamにてリリース

『VA-11 Hall-A:Cyberpunk Bartender Action』

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近未来のディストピア都市グリッチシティ。その片隅で営業する認可バー「認可番号 VA-11 Hall-A」、通称「ヴァルハラ」を舞台に、様々な物語が交錯するノベルアドベンチャーゲーム。遠いベネズエラのディベロッパー「Sukeban Games」が開発した日本ゲームへのリスペクトを強く感じる作品だ。

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プレイヤーは「VA-11 Hall-A」のバーテンダーである主人公ジルとなり、「VA-11 Hall-A」に訪れるさまざまな顧客の要望に応え、カクテルを提供していく。多くのノベルゲームは選択肢で展開が左右されるが、このゲームは提供するカクテルで展開が変化していく。気分の落ち込んだ常連客に何を提供すればいいのか?謎かけのようなあいまいな注文にどう応えるべきか?全てはプレイヤー次第だ。

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近未来のディストピア都市というサイバーパンクな世界を舞台としながら、このゲームはほとんど「VA-11 Hall-A」店内で展開され、それ以外の場所は主人公の自宅ぐらいしか登場しない。だが、訪れる顧客たちはこの世界で職を持ち、生活をし、それぞれに悩みを抱えている。そして、その生活の一部を、悩みを、バーテンダーにふと漏らす。プレイヤーはその会話からグリッチシティという大きな世界を垣間見るのだ。バーという大人の世界を舞台に、味わい深いSF作品に仕上がっている。

残念なことに現在は日本語ローカライズされておらず、さらに口語表現が多いため読むのに慣れが必要と、日本人には正直勧めづらい。が、うれしいことに現在日本語ローカライズが進められている。ぜひ完成を待って、遊んでほしい。待つだけの価値がある作品だ。
(洋ナシ)

タイトル:『VA-11 Hall-A:Cyberpunk Bartender Action』
開発元:Sukeban Games
対応OS:Windows 7/8/10, OSX Yosemite, Ubuntu 14.04 LTS
クリア時間:15~20時間
価格:1,500円
購入はこちら:

『Okhlos』

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ギリシャ神話の神々は人類を振り回すことでおなじみだが、『Okhlos』はそんな横暴な神々に反旗を翻した人類の戦いが描かれる一大叙事詩だ。アルゼンチンの「Coffee Powered Machine」が開発した本作は、日本人が敬遠しがちなストラテジーゲーム(RTS)をユーモアと操作の簡略化で親しみやすくした快作だ。

オリュンポスの神々はティターン族同様に人間を振り回していた。そんなある日、勉学に励む教え子を殺された哲学者がとうとうキレた……。本作は古代ギリシア期の長編叙事詩『イリアス』の作者ホメロスが語るもう一つの物語として始まる。ホメロスのギリシャ神話や歴史ネタを絡めたユーモアあふれる語り口は非常に軽妙だ。思わずクスっとくるフレーバーテキストも雰囲気を盛り上げてくれる。

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プレイヤーは怒れる哲学者を操作し、民衆を集め、扇動し、戦いへと駆り立て、横暴な神々とそれに仕える人外たちを駆逐していく。RTSを簡略化したゲームデザインから『ピクミン』シリーズと比較されることの多い本作であるが、本作は『ピクミン』シリーズよりもさらに簡略化された操作性が特徴だ。

基本的に群衆はカーソルの周りに群がっているだけで、哲学者から離れてどこかに移動しろといった命令はできない。”攻撃しろ”、”防御しろ”、”散らばれ”、”集まれ”の4つしか命令はない。哲学者から離れて待機することすらできないまさしく烏合の衆である。

だが、烏合の衆と侮るなかれ。敵を倒すたび、建物を破壊するたび、民衆はどんどん興奮していく。興奮した群衆は勢いづき、より強い攻撃を繰り出すようになる。強い攻撃ができるなら、より多くの敵を倒すことができるわけで、すると民衆の士気はさらに高まっていく。群衆は戦果を上げ続けることで、止まることない暴徒と化す。

加えて、道中のショップで民衆を対価にして英雄を購入することができる。英雄はステータス上昇や特殊効果をもっている貴重な存在だ。この英雄をうまく加入させることで、群衆はより強固で強大な存在へと育っていく。烏合の衆はいつしか神をも脅かす暴動の嵐となるのだ。

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しかし、いかに横暴で人間を振り回す迷惑な神であったとしても、神は神である。その力は絶大で、群衆を一瞬で屠る超常の力で対抗してくる。興奮する群集の勢いは神殺しを成し得るのか?それは哲学者であるプレーヤーの知恵と策略にかかっている。

しっかりとした日本語化。RTSながらゲームパッドでも遊ぶことのできるアクションゲームに近い操作性。RTSはちょっとなあ……という人にもぜひ勧められる作品だ。
(洋ナシ)

タイトル:『Okhlos』
開発元:Coffee Powered Machine
対応OS:Windows Vista/7/8/8.1/10 x86 or x64, Mac OS X 10.8 or later, Ubuntu 12.04 or later
クリア時間:5~10時間
価格:1,280円
購入はこちら:

『Move or Die』

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ルーマニアのディベロッパー「Those Awesome Guys」の開発した4人プレイのパーティゲーム。日本語ローカライズされており、オンラインでのマルチプレイにも対応している。

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タイトルの「動かなければ死ぬ(Move or Die)」というルールのもと、多彩なゲームで他プレーヤーを蹴落とし、優勝を目指そう。動かなければ死ぬルールは、プレイ当初は方向キーを押していればいいだけで、意味があるように思えないかもしれない。が、ゲームが白熱すればするほど動かなければ死ぬルールが牙をむくようにできており、対戦に緊張感を与えるスパイスとなっている。興奮のあまり、動くことを忘れ爆死しないように注意しよう。

ゲームの展開が非常に早くサクッと遊べるので、腰を据えなくとも気軽に遊べる。ゲーム時間も自由に設定できるので忙しいゲーマーにもぴったりだ。ゲーム仲間とワイワイ盛り上がりたいなら、『Move or Die』をぜひおすすめしたい。
(洋ナシ)

タイトル: 『Move or Die』
制作者:Those Awesome Guys
対応OS:Windows7, 8 or 10, Mac OS X 10.6+, Linux Ubuntu 12.04 – 13.10
プレイ時間:1ゲーム5~30分程度(設定でゲーム時間を調整可能)
価格:1,480円
購入はこちらから:

紹介記事:
Steam初心者にもおすすめなパーティゲーム『Move or Die』 「動かなければ死ぬ」ルールの緊張感で、右へ左へ盛り上がれ!

『Rabi-Ribi』

突如として動物のウサギから人間のバニーガールになってしまった女の子「エリナ」と、妖精の「リボン」のコンビが繰り広げるドタバタ探索型2Dアクション。台湾のデベロッパーによる作品ながら、アニメ調の親しみやすいイラストレーションと、日本語表示に対応している点が大きな特色となっている。

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アイテムを見つけることでアクションが増え、そのアクションを使うことで進めるようになる場所が増え、進んだ先で更に新しいアイテムを見つける…という、俗にいうメトロイドヴァニア型アクションゲームの「探索範囲を広げていく」という楽しみがしっかりと押さえられている。また、ボス戦ではシューティングゲームもかくやというハードな弾幕攻勢にさらされることになる。

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5段階から選べる難易度や、ゲームを1度クリアした後に解禁されるボスラッシュモード・スピードランモード、果てはアイテム収集率100%・0%クリアなど、様々な挑戦的な遊び方もできるようになっている。可愛くて歯ごたえのあるアクションゲームを求めている人はぜひ遊んでほしい。
(真野 崇)

タイトル: Rabi-Ribi
制作者: Kano-Bi , CreSpirit
クリア時間: 15時間~
対応OS: Windows
価格: 2,100円

ダウンロードはこちらから

紹介記事:
インディーゲームはアジアも熱い!東京ゲームショーで見つけた台湾・韓国・中国の作品5選

『SMASHING THE BATTLE』

眼鏡のセクシー巨乳美女がビキニパワードスーツに身を包み、手に持つ巨大な工具で並居る暴走ロボット軍団を蹴散らしまくるアクションゲーム。こちらも韓国開発ながら日本語にバッチリ対応している。

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大量に出てくる敵をひたすら殴って殴って殴り倒す「無双」系に近い内容で、ステージは短く区切られており、短い時間で少しずつ遊ぶのに適している。戦闘で入手したコインやパーツを消費し、主人公のパワーアップや衣装チェンジなどのカスタマイズもできるなど、ボリュームは十分。

高評価でのステージクリアを目指そうとすると、敵の攻撃を狙って避けつつ、武装のひとつ「マグネット」を使い、敵を一か所に集めてから必殺技で一網打尽を狙う必要があるなど、自身の立ち回りをうまく考えねばならず、予想外に唸らされた。

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とはいえ美女!鈍器!破壊!というのは大変にわかりやすく、七面倒臭い事を考えずに暴れることができる。良い意味でB級映画感にあふれた一本だ。
(真野 崇)

タイトル: SMASHING THE BATTLE
制作者: STUDIO HG
クリア時間: 6時間~
対応OS: Windows , iOS, Android
価格: 1,180円(Windows) / 120円~(iOS, Android)

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Android版
 
iOS版
 

『刺青の国』

任侠映画で著名な映画会社・日活が立ち上げたインディゲームブランド「SUSHI TYPHOON GAMES」の第一弾作品。美少女ゲームに任侠映画の要素である「抗争」「刺青」を組み合わせるという異業種から持ち込まれた発想がいかんなく発揮されており、2016年で最も挑戦的だった作品と個人的に評したい。

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メインパートは半自動で進行する戦略シミュレーションゲーム的な内容となっている。パートナーである乙女と共に東京23区の各区へ侵攻し、敵対組織の構成員やちんぴらを自身の組の門下へと取り込んでいき、最終的に全23区の制覇を狙う。

侵攻を進めることによる警戒度の悪化や、時折発生する「大規模抗争」に敗北するなどの要因で「仁義」を消耗していき、「仁義」が無くなってしまうとゲームオーバー。「仁義」を消耗しきる前に各地域への侵攻を進められるかどうかがポイントとなる。

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刺青は侵攻を進めることで徐々に入手できるMP(みかじめポイント)を消耗して掘ることができる。

刺青には特定の地区の侵攻を押し進める能力や、仁義の消耗を抑える能力などの特殊効果がある。初めは筋彫りから始まり、色入れを進めるごとに効果が強化されていく。
乙女の柔肌に刺青が彫り込まれていく様子には背徳的な胸の高まりを感じずにはいられなかった。
(真野 崇)

タイトル: 刺青の国
制作者: SUSHI TYPHOON GAMES
クリア時間: 3時間~
対応OS: PlayStation Vita
価格: 2,160円

ダウンロードはこちらから
https://store.playstation.com/#!/ja-jp/%e3%82%b2%e3%83%bc%e3%83%a0/%e5%88%ba%e9%9d%92%e3%81%ae%e5%9b%bd/cid=JP1664-PCSG00899_00-NIKKATSUSUSHI001?EMCID=jGMsepad-gpsaw-br_0010352

『Liberty Step』

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『Liberty Step』は、2016年までのJ-RPG的要素をシンプルに統合したオーソドックスなフリーゲームRPG。「ドラゴンクエストIII」や「セブンスドラゴン」シリーズ、「世界樹の迷宮」シリーズなどでキャラクターメイクに熱中したプレイヤーにはぜひプレイしてほしい作品だ。

キャラクターメイクができるという点、オンラインゲームでは必須の要素と思われるところだが、オフライン、とくにフリーゲームにてそれが実現できているタイトルは特に限られている印象がある。

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そんなキャラクターメイクのシステムを搭載した本作では、職業と性別による個性が色濃く出ており、そのデザインが気に入るとキャラクターメイクに熱中するだろう。戦闘画面でよく動くドットキャラ達が可愛らしい。画像ではうまく伝えられないのが残念である。

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メインストーリーの目標と受注したクエストが簡単に確認できる点も地味な魅力の一つだ。RPGツクールVXaceのデフォルトシステムをうまく生かしつつ、拡張スクリプトをふんだんに使用したシステムをシンプルに統合し、ゲームとしての完成度が高いという点で評価したい。

「世界樹の迷宮」をベースに、「ファイナルファンタジー」シリーズ風のサイドビューバトルが楽しめ、「自由にキャラメイクできるオーソドックスなRPG」として、是非プレイをお勧めしたい作品である。
(クレウス)

タイトル 『Liberty Step』
制作者 はきか
対応OS Windows
価格 無料
ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/13285

紹介記事:
育成探索フリーゲームRPG『Liberty Step』 キャラメイクでパーティを組み「神域」に挑め!

『Ultimate Chicken Horse』

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私の2016年イチオシは『Ultimate Chicken Horse』。ざっくりと言ってしまうと「最大4人で遊べる、ラウンド制の『マリオメーカー』」的なゲームだ。

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各プレイヤーはラウンドの開始時に、アイテムボックスの中から任意のオブジェクトをひとつ選択する。数十秒の間そのオブジェクトを自由に配置したら……よーい、ドン! 各プレイヤーは、わき目もふらずゴール目指して突っ走ることになる。ゴールするといくばくかの点数がもらえるので、これを何度か繰り返し、一定以上の点数を稼いだプレイヤーが勝ちだ。

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オブジェクトは多種多様、自分を有利にするよう足場を置いてみるもよし、他のプレイヤーを奈落の底に突き落とすトラップを仕掛けるのもよし。中には周囲のキャラや弾を全部吸い寄せるブラックホールなんてものもある。おまけに他のプレイヤーをトラップでミスらせるとボーナスがもらえるので、積極的に嫌らしい配置にして悲鳴を上げさせていくとよい。

ちなみに「全員がゴールした」場合は”簡単すぎる”とみなされ、ポイントは0点。一方「全員がゴールできなかった」場合は”難しすぎる”と判断され、これまたポイントは0点。どれくらいの難易度にするかのさじ加減がキモだ。

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キャラのアクション自体はジャンプ・壁ジャンプ・そして移動のみと単純明快なので、みんなでワイワイさくっと遊ぶのに最適(バグもちょっと多いのはご愛嬌)。酉年の幕開けに、友達とSkypeやdiscordでおしゃべりしながら遊ぶのがオススメだ。
(水原由紀)

タイトル:Ultimate Chicken Horse
開発元:Clever Endeavour Games
対応OS:Windows,Mac OS X,SteamOS
価格:1,480円(2017/01/09時点)
購入はこちら:

『ヴェスタリアサーガ』

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ターンベースのSRPGという成熟したジャンルで、ここまで新しいプレイフィールを得られることに驚いた作品。亡国の騎士である少年「ゼイド」を主人公としたドラマチックな物語と、戦術性の高いゲームデザインが大きな魅力となっている一作だ。

基本的なゲームシステムこそ古典的に感じるかもしれないが、ゲーム中盤以降は1マップごとに攻略法が目まぐるしく変わっていき、プレイヤーは常に試行錯誤を求められることになる。しかし、それでいて先へ先へと進みたくなるのは、祖国を解放するというマクロな物語の盛り上がりに加え、個々の登場人物の生き様にもしっかりとフォーカスしたミクロな物語が高い魅力を持っているからだと感じる。

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ゲームバランスとしてはユニットごとに明確に能力の差異化がなされており、特定のキャラクター育成に偏ることなく運用することが非常に重要となってくる。パラメータ上の差異だけではなく、特殊な効果を発揮する「スキル」を個々のキャラクターに分散して振り分けている按配などにも、ゲーム制作におけるヒントにしたくなるような、絶妙な巧みさを感じさせてくれる。

単純な力押しだけでは勝ち残ることはできず、この戦局をどうやって打開するのか?ということを考える楽しみは、謎解きにも似た面白さがある。解法を導くためのヒントの開示も的確に感じ、ゲームプレイ自体がさながら作者との対話であるかのよう。長編であるため気軽にというわけにはいかないかもしれないが、まとまった時間のあるときにぜひ遊んでみてほしい重厚な作品だ。
(poroLogue)

タイトル 『ヴェスタリアサーガ』
制作者 Vestaria Project
対応OS Windows
価格 無料
ダウンロード http://site.wepage.com/vestariasaga

『ひびかけ色のキセキ』

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ターン制戦闘ではなく、リアルタイムで進行するアクティブタイムバトルの方式が特徴のフリーゲーム・ノンフィールドRPG。魔法を学ぶ学生たちの集う施設である「学校」から始まる。田舎で教師をしている魔法使い「リジェ」は、とある事情で学校を訪れていたが、学校の現役生や、リジェのかつての同級生たちと再会する中で、世界に関する大きな陰謀に巻き込まれていくことになる……という物語だ。

特徴的なシステムが、リアルタイムで進む戦闘中に、キー1つで「ガード」を行なうことが出来る点だ。ガード行動に対応するキーを押している間、行動に必要なゲージの蓄積はストップするが、その代わりに敵から受けるダメージを軽減することが出来る。RPGでありながら、まるでリアルタイムのアクションのような要素が存在するのだ。

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また、本作の戦闘は、基本的に「魔法」を使用して戦う。通常攻撃やアイテムは存在せず、攻撃・回復・補助など全てを魔法を使うことによって行なう。戦闘中に使用できる魔法は、キャラごとのステータス画面で装備品のように付け替えることが出来る。キャラクターのレベルが上がるごとに使用できる魔法が増えていき、装備できる魔法の属性は・数はキャラクターごとに異なる。

戦闘中にはMPを回復するコマンドもあり、常にリソースの管理が必要となってくる、戦術性のあるRPGを楽しみたい方にはおすすめの作品だ。
(PoroLogue)

タイトル 『ひびかけ色のキセキ』
制作者 ecoddr
対応OS Windows
価格 無料
ダウンロード http://www.freem.ne.jp/win/game/10983

紹介記事:
フリーゲームRPG『ひびかけ色のキセキ』。魔法使いの女の子が陰謀に立ち向かう物語と、リアルタイムバトルが魅力

『片道夜行列車』

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『片道夜行列車』は、幻想的で童話的な世界を旅する短編フリーゲームRPG。童話的な世界観で語られる切ない物語と、つい魅入ってしまうほどの美しいマップ芸術がまず目を引く本作。

本作の主人公は、周囲から憧れられる才女の「ルナ」。生活に何一つ不自由のなかった彼女は、ある日、列車の「終点の先」に迷い込んでしまう。そこで突如、謎の人影が出現し、ルナの心に語りかけてくる。そこで彼女の「親友」の辿った運命を思い出したルナは、怪物と化した人影と戦うことになる。

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ゲームシステムとしては、戦闘中に切り替えることが出来る補助キャラクター「使い魔」や、HPが0になっても倒れることがない代わりに、所定のターン数で敵を倒さなければいけない「猶予時間」という、独自システムを駆使した戦闘が魅力となっている。

また、装備すると能力上昇やスキル獲得ができる「スフィア」の存在も特徴。戦闘スタイルに応じて「何を装備し、何を捨てるか」という取捨選択が鍵になってくる。ルナ一人で全ての役割をカバーすることは難しいので、使い魔の能力を考えて、どういったスフィアを装備するべきなのか考えることも面白い作品だ。
(PoroLogue)

タイトル 『片道夜行列車』
制作者 hako
対応OS Windows
価格 無料
ダウンロード http://www.freem.ne.jp/win/game/11409

紹介記事:
美しい童話的世界を旅するフリーゲームRPG『片道夜行列車』。「使い魔召喚」を駆使し、「猶予時間」の中で敵を倒す戦略性も魅力

『ファウストの悪夢』

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『ファウストの悪夢』は、台湾発のフリーホラーアドベンチャー。日本語で遊べる翻訳バージョンがリリースされている。

特徴としては、日本の名作フリーホラーゲーム『Ib』『魔女の家』をどこか彷彿とさせるような、それでいて本作の独自性を持って作りこまれた「物語」と「謎解き」のバランスが魅力となっている。またイラストレーションも、日本のフリーゲームの雰囲気とはやや異なりつつも、かわいらしくも残酷性の見える童話的な絵柄が目を惹くものとなっている。

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父を亡くした少女「イリザベス」は、父の葬式の後、叔母に連れられある屋敷にやってきていた。屋敷に入った叔母の後を追うイリザベスは、不思議な格好をした悪魔に出会ってしまう。悪魔から逃げようとするイリザベスだが、屋敷の外に出るための扉が消えてしまっていた。突然現れた黒い猫にも導かれるように、狂気と謎に満ちた屋敷の中を探索することになる……。

主人公であるイリザベスの体力と、プレイヤーの見える視界の広さが比例しているシステムに加え、「世界観に合致した謎解き」をしっかりと作りこむ丁寧さが印象的な作品。探索アドベンチャーにおいて、「世界観」や「物語」の無いところに無理やり「謎解き」を置こうとすると、ともすれば「鍵を集めて、扉を開ける」ことを繰り返すゲームになってしまいがちだが、本作は「物語の上に、自然と謎解きが乗っかっている」という巧みな設計を感じさせてくれるゲームだった。
(poroLogue)

タイトル 『ファウストの悪夢』
制作者 LabORat Studio
対応OS Windows
価格 無料
ダウンロード http://www.freem.ne.jp/win/game/11136

紹介記事:
台湾発フリーホラーゲーム『ファウストの悪夢』。『Ib』『魔女の家』を思わせる巧みな「物語」と「謎解き」

 
いかがだっただろうか。今回紹介した18作品は、2016年に各執筆人が遊んだゲームの中でも、特に心に残った作品だ。もし気になった作品があれば、ぜひ遊んでいただきたい。

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。

  • vanillaice(@0vanillaice0

    フリーゲームを遊び続けてかれこれ15年。パズルが主食ですが何でもやります。フリーゲームとともに生きていく。

  • みたらし(@MD5ch_com

    Steamでウィッシュリストに入れたゲームの価格をチェックするのが趣味。アクションとアドベンチャーが好きです。

  • クレウス(@kleus_balut

    ガジェット・3Dプリンタ・3D-CAD設計・電子工作などを趣向とする、いわゆるITホビイスト。
    機械が関わるもの大体何でも好き。特にゲーム。
    RPGツクールエターナラーの一人。

    学生時代、友人に勧められそのままフリーゲーム・同人ゲーム好きに。
    好きなフリーゲームは「シルフェイド幻想譚」

  • ノンジャンル人生(@nongenre_zinsei

    普段からRPGの考察と『メイジの転生録』の話ばかりしている人です。2016年にはもぐらゲームスにて連載「フリーゲームをはじめよう。」を寄稿し、近年はVR・VTuberの記事なども執筆しました。noteでは「一期崎火雀」名義でゲーム関連のコラムを書いています。

    自身もRPGを制作中。

    note:一期崎火雀(ノンジャンル人生)

  • 水原由紀(@mizuharayuki

    読みは「みずはらゆき」。ゲーム業界のはしっこに勤めつつ、色々書いてます。思い入れの強いゲームは初代『.hack//』や『風ノ旅ビト』、『Dear Esther』『ゆめにっき』『Ruina 廃都の物語』などなど。2015年マイベストははむすたさんの『ざくざくアクターズ』。美学と工学の交差するゲームを求め、今日も片道切符。Narrative関係勉強中。

  • 洋ナシ(@younasi

    海外インディゲームの情報同人誌を作っているただのオタクですが、声をかけられゲーム記事を書くことになりました。人生何があるかわかりませんね。そういうことがあるのは、もっとこう絵がうまかったりマンガが面白かったりする人だけだと思ってました。他の執筆者の方のように輝かしい実績はありませんが、世界で初めてSurgeon Simulatorでペン回しに成功したという地味な実績があります。

    ブログ:http://tukedai.minibird.jp/blog/

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。