コラム:フリーゲームをはじめよう。「第1回 誰もが最初は知らない、フリーゲームという未知の世界」

フリーゲーム,連載

2016年が始まって2ヶ月が経ちました。去年沢山のフリーゲームがリリースされたように、今年もすでに多くのゲームが配信されています。その中には、まだ広まっていない今年を代表する名作があるかもしれません。それを探し当てることも、フリーゲームの楽しみのひとつだと思います。

さて、もぐらゲームスでは今まで100を超えるフリーゲームを紹介してきました。しかし「興味はあるけどいまいちプレイの仕方が分からない」、または「実況プレイ動画では知っているけど触ったことのない」人もいるかと思います。無料で遊べると言っても、どういうものか知らなければ敷居は高く感じるものです。そこで今回はゲーム紹介をお休みして、フリゲ入門向けの連載コラムを書いていこうと思います。短い間ですが、ぜひお付き合いください。

フリーゲームは手軽ではない?

先日友人とフリーゲームについて話をしました。彼は趣味でコンシューマーのゲーム(企業が家庭用機向けに開発・発売しているもの)を好んで遊ぶ人でしたが、パソコンで無料で遊べるフリーゲームについてはほとんど知識がありませんでした。彼は「スマホで無料のゲームがすぐに遊べるのに、一度パソコンを立ち上げて手間をかけてゲームを遊ぶの?」と言いました。これは最もなことかもしれません。スマートフォンの普及以降、ゲームはより手軽に遊べるようになりました。据置ゲーム機や携帯ゲーム機も、購入からプレイまでサポートが充実しており、今や誰もが簡単にゲームを楽しめるようになりました。

それに対しフリーゲームは、最初から誰にとっても手軽なもの、身近なものとは言えません。大半のフリーゲームをプレイするには、Windows系のパソコンが必要です。しかしスマートフォンやタブレット端末の普及により、パソコンを触る機会が減った方は多いと思います。また、ゲームのダウンロードやインストールの知識は自分で調べる必要があり、中にはいくつかの関連ソフトが必須の場合もあります。そもそも、どんなゲームが出ているか知ることができなければ、手を出しにくいでしょう。

image00
一度理解すればぱっと遊べるフリーゲームも、最初は誰もがわからないもの。でもその壁を超えさえすれば、たくさんの楽しみが待っている。

しかし、もぐらゲームスで紹介している通り、フリゲ関連のイベントの開催など、その人気は日に日に拍車がかかっております。

あの人気フリゲRPGがカフェに!ざくざくアクターズ「ハグレ王国コラボレーションカフェ」11月20日から開催

フリーゲームオンリー同人誌即売会「Try&Re:save」。10月12日開催!

手間がかかっても遊びたいと思わせるフリーゲームの魅力は一体何なのでしょうか。

創作者の数だけ世界がある

フリーゲームの大半が、個人によって開発されております。コンシューマーのソフトとは開発規模が違うため、例えば3Dのマップ表現や通信対戦などに対応しているものは数少ないです。しかしながら個人でゲームを作るということは、企業の開発では得にくいメリットがあります。それは「創作者の思い描いた世界を、ダイレクトに表現できる」ということです。

例えば『ゆめにっき』は、怪奇的な夢の世界を「散歩」するゲームです。ドットによって徹底的に描かれたマップやキャラクター達が織りなす世界は、初めて踏み入れたプレイヤーを圧倒します。一方、ゲーム性は表現を優先するためか、他のホラーゲームより控えめになっています。商売としての考えが絡むコンシューマーでは、こういった大胆な設計は通らないかもしれません。ですがフリーゲームならば、創作者のアイデアや世界を実現することができるのです。

image01
国内だけでなく、海外にまでも大きな影響を与えた『ゆめにっき』。その世界観はフリゲ創作の模範としても名高い。

フリーゲームでは創作者の数だけ世界が無数にあります。例えば魔王を倒す物語であっても無数の解釈がされていますし、自分自身が魔王になる物語も様々な視点で描かれております。ホラーであれば怖がらせ方や仕掛けも創作者によって大きく異なりますし、キャラクターや舞台も限りなく広がっていきます。もしどれを遊ぶか迷っても、多くのフリゲのプレイ時間は5時間以内や10時間以内のため、プレイヤーは気軽に遊べます。

image02
先日、フリーゲームの投稿コンテスト「VIPRPG紅白2015」にて総合1位の評価を得たRPG『メイジの転生録』。"誤字"を含めた独自の世界観を構築し、「RPGはこうでないといけない」という束縛を見事に打ち破っている。

今やゲーム作ることは企業だけのものではなくなりつつあります。組織の枠を超え、誰もが表現者としてゲームを作る時代がやって来ました。フリーゲームを遊ぶということは、ただゲームを楽しむだけではなく、そういった創作の輪を体験することでもあるのです。

あなたは誰にも縛られず、どのゲームから始めてもいい

「興味は持った。でもどこから始めてみたらいいか分からない」という人もいると思います。基本的には自分の好きなジャンル(RPGやアクションなど)から気になったものを選んでみるのがいいでしょう。もぐらゲームスではジャンルごとの定番をチョイスした記事もありますので、そういった有名作から始めるのも手です。

苦手な人にはおすすめしない、本当に怖いフリーホラーゲーム特集

定番!おすすめフリーゲームRPG作品13選

初心者にも!おすすめシミュレーション系フリーゲーム11選

しかし何よりも大切なのは、ゲームを選び取るあなたの感性です。あなたが「面白そう」と思ったこと以上に信頼できる判断基準はありません。例えばそれで自分とは合わないゲームに当たったとしても、次のゲームを選ぶ時の判断材料になります。もちろん自分にとって相性の良いゲームと巡り合えば、最高の時間を満喫できるはずです。

連載の第二回となる次回では、筆者のオススメするフリーゲームをいくつか紹介し、あなたのゲーム選びのサポートをします。もしかしたら次に手に取るフリーゲームが、あなたのゲームライフを大きく変えるのかもしれません。

  • ノンジャンル人生(@nongenre_zinsei

    普段からRPGの考察と『メイジの転生録』の話ばかりしている人です。2016年にはもぐらゲームスにて連載「フリーゲームをはじめよう。」を寄稿し、近年はVR・VTuberの記事なども執筆しました。noteでは「一期崎火雀」名義でゲーム関連のコラムを書いています。

    自身もRPGを制作中。

    note:一期崎火雀(ノンジャンル人生)