今後のアップデートと完成が期待される、注目の制作途中フリーゲーム3選(2020年11月号)

フリーゲーム,連載

日々、個性豊かな新作が誕生し続けているフリーゲーム。その中には完成品に限らず、現在制作途上のものもあり、公開後も都度実施されるアップデートで完成に向け、着々と進歩し続けている。

本記事では、そんな制作途上のフリーゲームより注目の3本を紹介。

今月はRPG、アクション、ノベルの3ジャンルからそれぞれ注目作をピックアップ。どれも今後のアップデート、完成版の登場が期待されるタイトルだ。機会があればぜひ、プレイしてその魅力を確かめてみて欲しい。

目次

  1. 願いの叶う場所 ~プロローグ~
  2. へんしょくトラベラー
  3. 精霊の眠る森 Forest of Fate

願いの叶う場所 ~プロローグ~

誰もが魔法を使える世界でただひとり、魔法を使えない少年リストが、大切なものを守るため剣士を志し、やがて人類の天敵とされる謎の存在「モート」との戦いに身を投じていく壮大な物語を描くロールプレイングゲーム。『願いの叶う場所 ~プロローグ~』の名で「ふりーむ!」、「フリーゲーム夢現」にて公開されている。

どことなくストーリー重視の王道タイプに見えるが、その実はハック&スラッシュ(ハクスラ)要素を押したRPG。序盤は王道系らしいストーリーイベント、マップ探索、敵との戦闘が繰り広げられていくのだが、主人公たちが「魔道連合」となる組織に所属してからは一転。複数の階層と奇怪な空間で構成された塔を登っては、武器を回収していくハクスラ色の強いダンジョン探索系のRPGになる。7階ごとにエリアボスが待ち受けていたり、探索中はセーブ不可能、敵との戦闘で敗北すると1階に戻されるなど、細かい仕組みも相応のものに変わるので、急に別のRPGが始まったかのような戸惑いを味わえる。他にも設定上、主人公は剣でしか戦えず、パートナーとなるヒロインは魔法主体で戦わねばならない制約が課せられたターン制の戦闘システムもユニーク。難易度も気持ち高めで、特にボス戦は「オーバーライド」なるボス当人が強くなるシステムの関係で非常にスリリングなものになっている。

ストーリーもギャグ多めだが、人類が窮地に追い込まれた情勢など背景はシリアスで、魔法を使えない主人公の謎と言った気になる伏線が随所に張られている。現状、現状、ダンジョン探索の第三エリア開始前までしか遊べないが、序盤との差異が露骨な本編構成と戦闘周りの制約で独自の個性が光っている。最終的に長編となるのかは不明だが、完成後がどうなるか期待してしまう1本だ。

[基本情報]
タイトル:『願いの叶う場所 ~プロローグ~』
作者:ろっく
クリア時間:2~3時間
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちら
※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/23960

※フリーゲーム夢現
https://freegame-mugen.jp/roleplaying/game_9056.html

へんしょくトラベラー

自走するキャラクターを制御しながらステージを駆け抜ける、いわゆる”ラン&ジャンプ”系とも称される横スクロールアクションゲーム。ルールは単純明快で、ステージを進みつつ、行く手に立ちはだかる敵を捕食して得点を稼ぎながらゴールへの到達を目指す。

最大の特徴は「補色」の法則に基づいた捕食。「補色」とは、色相環で正反対にある色同士の組み合わせで混ざると灰色になる色のことである。

「駄洒落かよ」と言いたくなるが、敵を食べるに当たってはその法則に基づく必要があり、都度、プレイヤーキャラクターであるカメレオンの「レオン」の身体の色を切り替えることが求められるのだ。一例を出すならば、橙色の敵に対しては青色、緑色の敵に対しては紫色と言った具合だ。このため咄嗟の判断と法則を見極める力が試される、唯一無二の手強さを兼ね備えたラン&ジャンプ系のアクションゲームになっている。基本、ミスの概念は無いので、敵を全く食べずともステージはクリアできるのだが、最高評価「S」とパーフェクトを目指すと、もはや脳を鍛えるゲーム同然な猛烈な刺激が直接響き渡る。そして、遊びながら補色について学べるという、一石二鳥なメリットも得られる。

スクリーンショットの通り、グラフィック周りも気合が入っていて、色遣いの鮮やかさには補色をテーマにしているなりのこだわりが光る。
全体的にゲームシステムの完成度の高さと奇抜さから、ありそうでなかった新鮮味があり、さらなる発展を期待したくなる出来。特にラン&ジャンプ系のアクションゲームが好きな人ならば要注目とも言える1本だ。補色の知識も得られる学習ゲーム的な一面もあるので、そう言ったものに興味がある方も体験してみて欲しい。なお、本作をプレイするに当たってはPlayStation 4のDUALSHOCK 4が必須のためご注意。(Xbox 360コントローラでも遊べるが、ボタン配置が大変厄介なことになるのでお薦めしない)

[基本情報]
タイトル:『へんしょくトラベラー』
作者:イトウイワモト
クリア時間:3~5分
対応OS:Windows
価格:無料

※ダウンロードはこちら
https://www.freem.ne.jp/win/game/24210

精霊の眠る森 Forest of Fate

「ふりーむ!」、「unityroom」で公開中のブラウザ向けサバイバルノベルゲーム。魔法学校の学園長の手引きにより、精霊が眠るとされる森に送り込まれてしまった生徒のひとりとなって、獣人や竜人と言った個性豊かなクラスメイトと共に脱出の手がかりを探っていくという内容。

ストーリーを読み進め、時折挿入される選択肢を選んで行動を決定していく伝統的なコマンド選択スタイルのノベルゲームだが、最大の特徴が「体力」、「水」、「魔力」のステータス。これらがストーリーを読み進めたり、何らかの行動を取る度に減少していき、最終的にどれかが0になってしまうと強制バットエンドになってしまう。

特に減りやすいのがテキストを読み進めるだけで減る「水」で、探索中に水を補充できる「泉」を見つけていかねば早々と不本意な幕引きを迎えてしまう。選択肢の挿入頻度も非常に高く、ひとつでも迂闊な行動を取れば3種のステータスに深刻な影響が。場合によっては自分だけ森からの脱出に成功する早期決着を迎えたりも。まさに油断ならぬ展開の連続で、終始緊張感漂う作りになっている。

公称では「ノベル型脱出ゲーム」を謳っているが、3種のステータスとその揺れ動きに気を配ることが試される点から、サバイバルゲームの色合いが強い。ストーリーでも主人公たちの境遇、探索の過程で暴挙に及ぶクラスメイトなどの描写、イベントが用意されているので尚更だ。体験版は300歩進むとクリアになるほか、選択肢次第で別のエンディングへも到達できる作りになっている。最終的にどれほどのエンディングが用意されるのかは不明だが、クラスメイトと絆を深め合ったり、森の謎を解き明かすなど多彩なイベントが導入予定のようで、非常に攻略し甲斐のあるゲームになりそうである。
一風変わったノベルゲーム、そして極限状態を題材にした作品が好きな人なら必見の新作だ。

[基本情報]
タイトル:『精霊の眠る森 Forest of Fate』
作者:星屑ポート
クリア時間:5~15分
価格:無料(※ブラウザ版)

プレイはこちらから
※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/24124

※unityroom
https://unityroom.com/games/forestoffate

  • シェループ(@shelloop

    様々なゲームに手を伸ばしたがる人。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションを与えると喜びます。

    Webサイト:box sentence