ビジネスパーソンに遊んでほしいフリーゲーム・インディゲーム9選

夏真っ盛り。ビジネスパーソンの皆様はいかがお過ごしだろうか?お盆は休みを取れただろうか?今回は、忙しい皆様の空き時間をさらにビジネス一色に染めるべく、フリーゲーム・インディゲーム作品の中から選りすぐって「ビジネスパーソンに遊んでほしい作品」をピックアップしてみたい。

休み中もビジネスをテーマにしたゲームをプレイしていれば、きっと休み明けもボケずにゲーム感覚で仕事にとりかかる事ができるだろう。同僚に一足も二足も差をつけて自慢してしまおう。

World End Economica

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人気ライトノベル『狼と香辛料』の作者である支倉凍砂氏がシナリオを務める、全3部作の大作ノベルゲーム。本作は小説化もされており、現在はSekai Projectにて原作の英語化プロジェクトが進行中となっている
舞台は、人類が月面都市に住むようになった架空の世界。主人公の少年「ハル」は、株式投資で生計を立てるトレーダーとして生活していた。彼はある日事件に巻き込まれ、数学の天賦の才を持つ少女「ハガナ」と出会う。その出会いが彼の運命を、その後8年という長い時間に渡り、大きく変えていくこととなる……
全3部作のうち序盤となる1部では、ハルとハガナの出会いと親睦、そして結末に待ち受ける悲劇が描かれる。1部ごとに年代が変わっていき、当初は少年だったハルは次第に大人となり、新たな仲間も登場し、頼りになる部下にも出会う。物語は現実に起こった経済上の事件をモチーフとしながらも、その背景について非常に丁寧な説明がされており、物語を楽しみながら幅広い経済・金融用語を覚えることが出来るだろう。
本作で描かれるテーマは、「お金」と、そして「人間」について。人はなぜ、なんのためにお金を稼ぐのか?そのようなテーマを真正面から描くヒューマンドラマが描かれる。無慈悲なビジネスのルールが支配する月面都市にて、人間として生きるハルが、8年間の時を過ごして最後に見つけたものは、いったい何なのか?その結末をぜひとも見届けてほしい。(poroLogue)

購入情報:制作者様サイト

レミュオールの錬金術師

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数多くのフリーゲーム・同人ゲームを制作してきたサークル「犬と猫」。多くのヘビーユーザーを生み出してきたサークルの作品から、今回はフリーゲーム『レミュオールの錬金術師』を紹介したい。
本作は「仕入れた商品を売って、お金を稼ぐ」という、ビジネスの根底であるお店運営が主となっているため、経営シミュレーションゲームの初心者にこそぜひオススメしたい1作品だ。ふとしたことから膨れ上がってしまった借金の返済のため、商店を運営することになってしまった主人公の女性「ティコ」。弟子の「ルヴェル」の補佐を受けて商店を切り盛りし、借金返済のためにお金を稼ぎまくることが目的だ。お店を運営する以外にも、登場すキャラクターたちとの交流などサブイベントが存在し、それらを見るのをあわせると、かなりの長い時間楽しめる作品となっている。
本作は、PCの他にもiOSとAndroidにも対応している(※こちらは有料の作品)。つまり、スマホでもお店の経営が出来るのだ。自分に合った端末でプレイしてみよう。
(poroLogue)

PC版無料ダウンロード:制作者様サイト

iOS版ダウンロード(240円、無料版の「レミュオールの錬金術師 Lite」もあり):

Android版ダウンロード(257円):
Android app on Google Play

ストロベルパティ~小さな町のパティシエール~

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本作は「乙女チック経営SLG」と銘打たれた、女性向けの洋菓子店経営シミュレーションゲーム。主人公の少女は、都会から町興しのためにやってきたお菓子職人。決められた期日までに開店資金を返すために、洋菓子店を切り盛りする。
ゲーム内容としては、お店の運営だけではなく、ケーキの素材を集めるための森の散策や、町の人達との交流、そして恋も……といった内容で、まるで『牧場物語』のようなゆったりした時間の流れが楽しめるのが特徴だ。レシピを入手してケーキを作り、お客さんに売るほか、近くの森を探索して果実を採取したり、町の人々の依頼に応えて信頼をつかんでいくことが出来る。
最初のうちは作ることが出来るケーキの種類も少なく、お客さんに満足してもらうことは難しい。そこでお店を繁盛させるために必要になることは、何よりも町の人達と交流だ。困っている人の手助けを行ない、信頼を得る。その一方でケーキのレシピを覚え、材料を集め、そして満を持してケーキを販売…といったように、販売までの過程を地道に積み重ねていくことで次第にお店を繁盛させることが出来る。このようにゲームの段階設計がとても丁寧に作られているため、女性に限らず幅広いユーザーにもオススメできる作品となっている。ぜひ遊んでみてほしい。
(poroLogue)

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はじめての宿屋さん

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本作は墓荒らしダンジョン探索RPG『積層グレイブローバー』や、過去を探す探索ホラーADV『虚白ノ夢』を制作したカナヲ氏によるフリーゲーム作品。ジャンルとしては、宿屋経営シミュレーションにRPGを組み合わせた意欲的なものとなっている。
主人公の少女(デフォルト名は「ヤドコ」)は、亡くなったおじいさんの宿屋を受け継ぐことになる。宿屋運営について全くの素人である少女は、宿屋の娘である親友「ムギ」に協力してもらい、従業員の女の子たちを雇い、宿屋の運営・増築を繰り返し、ときにはダンジョン探索を行なって強敵を討伐し、宿屋としての収益を上げていくことになる。
本作で注目すべきは、経営部分とRPG部分が相互に関係しており、非常にバランスよくまとまったゲームデザインとなっているところだ。たとえば、従業員に払う給料は次第に上昇していくが、その他にもダンジョン探索を行なってレベルをあげても上昇していく。やみくもにレベルをあげていると、一方で人件費がかさんで赤字まっしぐら……ということが待っている。強敵を倒すために強さをとるか?それとも給与の安さを取るか?まさにビジネスにおける「トレードオフ」を体験できるゲームバランスが秀逸なものとなっている
宿屋経営に限っても、従業員の労働方針、宿屋の宿泊費、お客さんに出す料理……などを試行錯誤する楽しみがあり、「運営計画を立て、実行し、結果を見て、修正を行なう」、「どうすればコストを最小におさつつ、利益を最大化できるか?」……といった、経営の本質的な要素のいくつかを簡易的に楽しむことが出来る。コンパクトな経営シミュレーションを楽しみたいビジネスパーソンにはぜひともプレイしてほしい作品だ。
(poroLogue)

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世界の半分を商人にやろう

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「世界の半分を お前にやろう!」
そんな某有名RPGのセリフを思い出すタイトルの本作は、勇者と魔王の戦いに「商人」が第三勢力として介入するという異色のゲームだ
魔王軍を倒すための勇者の進軍にあわせ、戦地となる国や地域に武器や道具などの生産施設を作り、商店を開店して売りさばく。勇者によって平和になった地域では武器などの需要が下がるので、新たな戦場に商店を建築し、また武器を売りさばく。そして、ときには強すぎる勇者を止めて戦いを長引かせるために、あえて「魔王の力の封印を解く」という、傍から見れば危険すぎる手段も使うことが出来てしまう……。勇者と魔王の戦いの裏で、商人もビジネスのためにシビアな戦いを行なっていることを痛感できるゲームとなっている。
ゲームバランスとしてはなかなか歯ごたえがあり、ゲーム中で参照できる損益計算書を参考にしたり、販売する道具や武器の「需要と供給」の関係に常に気をつけていないと、気がついたらあっという間に赤字経営になっているということもあるだろう。前述したように、平和になって物資の需要が減った地域からは「戦略的撤退」するなどの経営判断の思い切りが大事だ。
売上目標を達成するために経営計画を立て、実行する、という一連の流れに面白さがあるので、やりごたえのある経営シミュレーションを求めている人はプレイしてみてほしい。
(poroLogue)

ダウンロード:制作者様サイト
(※本作には無料版と、追加シナリオが含まれた有料版が存在します)

Frontier Black Smith

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次に紹介するのは鍛冶屋経営シミュレーションゲーム『Frontier Black Smith』。舞台は大陸東部の新天地、フロンティア。そこに現れる魔獣を狩り財を成そうとする人々を「ハンター」と呼んだ。プレイヤーはそこで、腕っぷし一つで財を築き上げるハンター……になるのでなく、ハンターたちに武器を売りさばく「武器屋」となる。そしてフロンティアでトップの商人となるのが主な目的だ。
武器の生産や職人・店員の雇用を行なって武器屋の基本的な商売行ないつつ、「経営戦術」と呼ばれる手法を使い、宣伝や人材発見などを行なうことも出来る。また、自分の店で売った武器を持つハンターが魔物討伐で活躍すると、自分の店が有名になるなど、自分でタッチできる経営部分以外にもイベントが用意されていることも奥深い。本作はシナリオ付きのチュートリアルモードが存在するので、そちらから始めてみよう。物語に沿ってゲーム内容を説明してくれるので非常に分かりやすい。
鍛冶や店員の配置などのUIが非常に良くまとまっており、ウィンドウの配置を自分の好きなように設定できるため、操作性が優れているのもポイント。やや難易度に歯ごたえがある本作だが、武器の生産や職人雇用など計画立てて少しずつ店を大きくしていく楽しみは、まさに経営シミュレーションゲームの醍醐味と言えるだろう。
(poroLogue)

無料ダウンロード:vectorダウンロードページ

スポンサーガ

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経営系シミュレーションゲーム『スポンサーガ』では、プレイヤーは冒険者を雇って依頼を遂行する「ヴィンセント商会」の経営者となり、教会や商人、王国などの依頼を受けてお金を稼いでいく。
「平凡で何が悪い?英雄と呼ばれる力などなくても、金さえあれば物語の主役になることができる。」
「スポンサーという立場でも、世界に貢献できていいはずだ。この世は英雄だけで回っているわけじゃない」 といったゲーム中の名言は、きっとビジネスマンの心に響いていくことだろう……。

依頼をこなしていくごとに、ストーリーは核心に迫っていく。経営シミュレーションゲームとしての難易度が高く、幾つか詰みポイントもあるので、攻略サイトなどを見ながら進めていくことをオススメしたい。なお、もぐらゲームスでもレビューに加え、いくつかのTipsをまとめているのでそちらもご覧いただきたい。(Noah)

お金のちからで世界を救おう―フリーゲーム「スポンサーガ」レビュー

スポンサーガ攻略まとめ お金のちからで世界を救うには

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ゲーム発展途上国ⅡDX

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お次は数多くのお手軽に遊べるシミュレーションゲームを送り出してきた「カイロソフト」の1作品『ゲーム発展途上国ⅡDX』を紹介したい。このゲームは、ゲーム制作会社を経営するシミュレーションゲームとなっている。
基本的なゲームの流れとしては、新作ゲームを開発するために従業員を雇い、企画会議を行ない、どんなゲームを、どのユーザー層に、どのゲーム機で出すかを決めていく。そして開発が進むごとに宣伝や詳細な仕様などを詰めていく。完成後はバグチェックなどを行なって、世の中にゲームを販売!そして売上で会社のゲームソフトの生産力や広報力を強化、そしてまた新作ゲームの開発へ……という形だ。
開発を完了したゲームは、某クロスレビューを行っているような名前の雑誌に評価される。また出来のよいゲームを世に出したときはゲームの賞で表彰されることもある。こういった評価が高いとプラスポイントとなるので、なるべく高い点を取ることを目指そう。
本作に登場するゲーム機やゲームソフトには、実在するゲームハードや有名ゲームソフトをオマージュした名前のものが存在する。ゲームに詳しくない人でも知っているようなタイトルも多いため、思わずクスリとしてしまうだろう。ゲーム会社を経営してみたい人はぜひ遊んでみてほしい。(poroLogue)

無料ダウンロード:開発メーカーサイト
(※本作は無料のゲームです)

波間の国のファウスト(ノベライズ版)


 
最後に紹介するのは『波間の国のファウスト』。この作品については、原作に年齢制限があるため、原作ゲームのスピンオフ作品である小説版を紹介させていただきたい。今回の冒頭にて紹介した『World End Economica』と同じく、架空世界での経済事情を描くものの、本作はより経済小説に近い、人間の生々しさが感じられる
物語の舞台は、経済的に破綻した近未来の日本という設定。その復興のために解放された経済特区である「直島」に存在する巨大企業の買収劇を巡り、キャラクターたちがその流れに翻弄されていく群像劇の形を取る。
原作ゲームのスピンオフである本書では、経済特区トップの実力者として君臨する少女「渚坂白亜」を中心とした、とある事業会社の買収劇が描かれる。入り混じる思惑の中でさまざまな人物が奮闘するが、筆者としてはその中の1人、自分で起した投資会社で実力を発揮していた青年「ケビン」の生き様に感じるものがあった。圧倒的な実力を持つ白亜という越えられない壁を前に、自分の人生を改めて見つめなおし、これからの自分はどうあるべきかと意思決定をする流れには見所がある。
本作は会社買収という非常にダイナミックで派手な物語が描かれるが、その一方で、人々が合理性と個人的感情との間で葛藤し、苦渋の果てに決断をするという生々しい姿も描かれるヒューマンドラマとなっている。日々色々な壁にぶつかっているビジネスパーソンにこそぜひオススメしたい作品だ。(poroLogue)

VR体験施設の検索サイト「taiken.tv」
  • 20140320163135

    通称のあP。「もぐらゲームス」エグゼクティブプロデューサー&共同編集長。ゲームをする人。「ゲームのちからで世界を変えよう会議」の中の人。経営戦略(ゲーム産業)と金融が一応専門分野。 MMORPG「リネージュ」の元プレイヤー(8年ぐらい、10,000時間ほどプレイ)。長らく一つのゲームをやりこむ派でしたが、最近は雑食気味にいろんなゲームをプレイしています。思い出に残っているゲームはリネージュ、ティアリングサーガ、勇者のくせになまいきだ。or2など

  • RRhrKuW3

    poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。